早いもので11月。この時期になると頭を悩ませるのが、今年のNo.1機種を決めるような企画です。良い機種がたくさんあっても、心に残らない機種ばかりでも苦しいもの。

どのような機種を選ぶかはそれぞれの個性となりますが、私は普通の方からすると変化球のような機種を選ぶことが多くなってしまいがちです。評価の基準に「よく作ったなあ」というメーカーの開発さんを誉め称えるような視点が入ってしまうんですな。ついつい。

 

語りたくなる筆頭は、6号機の近未来を提示した『HEY!鏡』ですが。もう1機種挙げられるとしたら『ルパン三世−世界解剖−』でしょう。

天井間近のCZに悶絶したり、やっと入ったヒーローズロードが即パンしたり。心が折られるような箇所もあり、好き嫌いは相当に分かれるかと思います。ぶっちゃけまして、勝ったことございません。意地でも出してみたいと思わなかったあたり、私も苦手な口です(笑)。それでも凄いと唸らされまくりました。

 

 

今回も役構成の写真からスタート。『ルパン三世−世界解剖−』のキモは、2種BB(2)です。2種BBとは、ボーナスの一種。よくある使われ方は『アイムジャグラー』系や『ハナハナ』系など主にノーマルタイプでREG扱いとされているMBです。ただ、この機種はまったく違った使い方をしています。

通常ゲーム中は、天井までのカウントダウンをしてくれますが、ゲーム数ではなく小役などによるコインの払い出し枚数で管理されています。初期天井は252。この2種BB(2)の規定払い出し枚数が「251枚を超える」となっているのがポイント。この機種は、皆さんが思う“通常時とボーナス中が逆転”しているのですね。

このこと自体は、導入前からいろいろなサイトで書かれていましたし、言葉にすると簡単です。しかし、具体的にどのようなことをやっているのかを説明したサイトを見たことがないので、書いてみようかと思います(笑)。

 

こちらの役構成写真に「CB」というものがあります。2種BB(2)中は、このCBの高確率状態となっているのです。何もボーナスを消化していない“純粋な通常時”よりも高確率というだけで、実際はそれほど高いわけでもありません。おまけに、このCB消化で揃うのは1枚役。コインを減らせるボーナス中の完成です。

 

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頭がハテナになった方へのワンポイント解説

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・2種BBは2つの形態がある

・連続して小役が揃うMBが一般的な2種BB

・1Gだけ小役が揃うのがCB

・規定枚数までCB高確率となる2種BBも

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このCBの出現確率が本当に高く、その消化で15枚小役が揃うようなら、ちゃんとコインの増えるボーナスとしても機種を作ることができそうですよね? そんな機種もありました。2006年と5号機最初期に登場した『ランブルローズ』(KPE)たった1機種です。

1機種だけにしか採用されなかったのには理由があります。CBが成立するまでにコインは減ってしまいます。ゆったり消化していても、その間にBIGを抽選することはできません。ジャグ系のMBのように、どんどん小役が揃うタイプのほうがメリハリを付けられるので、すっかり廃れてしまいました。

 

これらのマイナス要素をプラスへと変える逆転の発想こそ『ルパン三世−世界解剖−』です。消化中にコインが減らせる。BIGも抽選せずに済む。規定枚数到達でボーナスが終了するので、天井というゲーム性も作れる。

もちろん、2種類BB(2)終了後の“純粋な通常時=ヒーローズロード”を魅力的なものにしなければ、コインを吸い込むだけの機種となってしまいます。そこで、コインの増えるボーナス確率を破格にしているのです。『リノ』の応用編とも言えますがね。

って、かなり端折ったのに長過ぎっ! まだこれだけでは『ルパン三世−世界解剖−』は語れません。天井を待つだけの機械になってしまいますもんね。そんなわけで、次回に続きます。

 

難解な機種なので、説明も難解になって申し訳ないですが、少しばかり理解に役立つかもしれない補足をば。

私には気をつけて使い分けている言葉があります。“通常ゲーム”と“純粋な通常時”です。純粋な通常時とは、リプレイ確率のアップしているRT中でもなく、ボーナスを内部保有していないまっさらな状態のこと。もちろん、どのボーナスも抽選することが可能です。この純粋な通常時がどこなのか? これを考えるとシステム推測がはかどったりします。