「騙し討ちは嫌ですよ その1」

 長年メディアの仕事をしていると、「うん?」ということが時々ある。今回はそんなお話しです。

・その1
「スカパーで実践番組のロケをお願いします」と電話あり。
別に断る理由もないのでOKしたら、番組タイトルは有名な漫画家さんの名がついた「~の海物語スペシャル」だと。

 いやね、今思えば、細かく内容を確認せずに「割のいいバイトか」と、ホイホイ出て行く自分もどうか? と思いますよ。
 でも、当時は「なんだかなあ、日頃TVや誌面で自分が言っていることを全く知らんのか?」「それとも、全部知っていて、内容を話したら断られるから、世間知らずな自分に詳細を話さなかったのか?」と、疑心暗鬼&暗澹たる気持ちになった。

 勝つためにオカルトは排除の立場だが、ジャンルが違うんだからケンカを売る必要はない。そんなことをしたら、編集さんも悲しい顔になるし。
 でも、立場上、自分がその番組でオカルトを礼讃するわけにはいかない。そういう微妙に保っているラインをプロデューサーさんは無視だもんなあ。

 結果として、その漫画家さんも番組内では、そのラインを守ってくれて、事なきを得たと思う。そこはお互い大人だ。

 でも、自分はその後、件のプロデューサーさんの電話に出ることはなかった。細かく収録内容を聞かずに望んだ己の非は棚に上げて言うけれど、フリーランサーは自分を守るのも自分の責任だから。
 Sさん、悪く思わないでくださいね。