昭和63年1月。中津市にある某土木建設業者で作業員をやっていた私は、現場で人身事故を起こしてしまいました。

原因は自分の後方不注意。これまでに何度も繰り返し書いてきた話なので、細かいシチュエーション等については省略しますが、要は「軽トラックのドアを開けた瞬間に米屋の配達バイクが突っ込んできて、そのままドアで引っ掛けちゃった」と、そういうことです。カブのハンドルを軽トラのドアにぶつけた米屋のオヤジは宙を舞い、そのまま道沿いのドブ川にダイブしてくれたお陰で軽傷で済んだのだけど、近隣の住民とトラブルを起こしたくない上司の命令により、翌日から自分は現場の合間に米屋の配達を手伝わされる羽目になって…。

そりゃあ、ヤル気もなくなりますわな。

畑違いの土建業に押し込まれたド素人が、年下の先輩にアゴで使われながら、いつか仕事ができるようになって見返してやると頑張ってきたけれど、こんな会社にはもう居たくない…そう思って、現場が竣工した時点(約半年後)で退職することにしました。

退職の意思を伝えると、上司はとても喜びました。そりゃそうだ。有力者からの紹介でコネ入社してきた厄介者が、現場で事故を起こして勝手にヤメてくれたんですから。

ともあれ、仕事を辞めた以上はパチスロで稼ぐしかないわけで、退職した翌日から私は再びホールに通うようになりました。

当時、私が打っていたのは東京パブコの1.5号機「ニューポート」。

 

ボーナス比率が1対2、完全吸い込み方式のマシンで、中身は1号機の「アーリーバード」と同じゲーム性でしたが、勝手知ったる機種で勝つために立ち回れば、当然のことながら負けるわけがない。この際だから、もう少しニューポートで稼いでから新しい仕事を探すか…そう思ったりもしたんですけどね。

直後に訪れたのが「2号機」の洗礼でした。

吸い込み方式の禁止、完全確率方式の義務化、天井機能の廃止、ウエイト機能の搭載(1ゲームの遊戯時間は4秒以上)、クレジット機能の搭載、シングルボーナスおよびシングルボーナス集中役の認可、フルーツゲーム(小役の集中役)の認可、3タイプへの細分化(A・B・C)…etc。

2号機の規制は締め付けるだけでなく、緩和された要素も数多くあるのですが、天井狙いやゾーン狙い等の立ち回りが全て否定されたことで、パチスロは極端に勝ちにくくなっていきます。

そして…当時、自分がホームグラウンドにしていた別府市のL店は、7月27日付けでニューポートを全て外し、代わりにアークテクニコの「アニマル」を導入しました。

これがまた、良い意味でも悪い意味でも「とんでもない機種」でして…。

詳細は次回のコラムで書きますが、この年の私の収支は下の通り。

昭和63年のトータル

1月  +78,500円
2月  +28,400円
3月  +51,700円
4月  +38,500円
5月  +259,100円
6月   +7,300円
7月  +252,400円
8月  +188,800円
9月  +55,600円
10月  - 46,000円
11月   -66,200円
12月  +47,100円

合計 プラス 895,200円

実質的に、アニマルを打ち始めたのは8月から。新装直後ということもあり、この月だけは設定状況の恩恵を受けて18万のプラスでしたが、翌月からは収支がガクンとダウンして、10月、11月は何とマイナスを叩いてしまいます。アーリーバード&ニューポートを打ち続けて1年半、月のトータルで負けることなど考えられなかったのに…個人的に本当に受け入れがたい現実でした。

まぁ、アニマルは2号機の中でもかなり特殊な機種でしたから、他の2号機と同列に語ることはできないんですけどね。いずれにせよ、この年を境にパチスロは大きく変貌していくのです。