平成2年の中盤から平成3年の前半にかけて、私が最も打ち込んだ機種がオリンピアの「バニーガール」とニイガタ電子精機の「アラジン」です。いずれもメジャーな大ヒット機種なので、細かいゲーム性の説明については端折らせていただきますが、前者は極限までボーナスの連続性を追求した超ノーマル級の出玉エンジン、後者は一撃必殺のシングル集中役・アラジンチャンスによる出玉のターボ機能がウリでした。

もちろん、良いことばかりじゃありません。出玉性能を追求した代償に、バニーでは通常時のコイン持ちが非常に悪かったし、アラジンでは両ボーナスがオマケに過ぎなかったのですが(特にアラジンのビッグはアラチャンのパンク役として嫌われた)、通常ゲームを盛り上げるために搭載された出目演出がとにかくアツかった。バニーの「ズレ目」とアラジンの「単チェリー」がそうです。

以下は当時のエピソード。

通常、アラジンのシマではアラチャンに突入すると台上のパトライトが回転したり、台の呼び出しランプが点滅したりして集中役を告知したのですが(現在の5号機で、ART中に台上のランプが点滅するのと同じ仕組み)、実はアラジンには集中役のシグナルを外部機器に伝える機能が備わっていませんでした。

では、どうやって外部機器はアラチャンを認識したのか?

実は、アラチャンには明確な継続サインがあり、集中役が継続中はシングルボーナスの抽選確率が6分の1にアップすると同時に(通常時は60分の1)、単チェリーの出現率が2分の1に跳ね上がったんです(通常時は200分の1)。つまり、外部機器はこれらの信号しか見ておらず、単チェリーが出現した直後の数ゲーム間にシングルボーナスが入賞すると、それをもってアラチャンと認識=ランプによる告知を行った…というわけ。そうした仕組みであるがゆえ、たまたま自力で単チェリーとシングルボーナスを連続して引いてしまうと、外部機器が誤作動を起こして告知を発生させたんですよ。

それともう一つ、単チェリーはボーナス成立後の等倍返しの役割を担っており、前述したガセ告知の直後にボーナスを引いたりしたらもう大変。打ち手はアラチャンを確信して下皿のコインをドル箱に移し、ロングランを期待して意気揚々と打ち始めた途端にバケが揃ったら…。そして、その消化後にウンともスンとも言わなくなったとしたら…。

いや、実際には本物のアラチャンを引いていたにもかかわらず、バケ後に自力のパンク抽選に引っかかった可能性もありますけど、下皿のコインを全てドル箱に移した手前、恥ずかしいやら情けないやらでいたたまれなくなり、その場を逃げ出した人を知っています。いやぁ、あんな恥ずかしい経験は本当に二度としたくありません。

…あ、いやいや、とにかくこの一件以来、私はアラジンという機種に対して疑り深くなり、下皿のコインを一気にドル箱に移す癖は直しました。

平成3年のトータル

1月  +201,100円
2月  +143,700円
3月   -41,100円
4月   -21,600円
5月  -153,800円
6月   +59,400円
7月  +300,800円
8月  -141,700円
9月  +121,100円
10月  +48,100円
11月  +17,300円
12月  -28,300円

合計 プラス 505,000円

この年は、2月くらいまで収支が好調でしたが、以後はだんだん勝てなくなっていきます。アラジンは単チェリーを目押しするだけで大きな収支差が生まれる機種であり、その一点が上級者と一般客の立場を分けていたのだけど、オール低設定になってしまえばどうしようもない。1日に1回引けるかどうかのアラチャンに夢を見るほど自分はお人好しでもなく(設定1のアラチャン確率は5957.8分の1)、以後しばらくは打つ機種を求めて放浪しました。

結局、アークテクニコの3-1号機「ワイルドキャッツ」と、ニイガタ電子精機の3-1号機「リノ」に出会ったことでそこに腰を落ち着けるのですが、イリーガルプログラムの連チャン機で安定して勝てるわけもなく、ご覧のような年間収支に落ち着いたわけでございます。

ちなみに、この年に登場した「3-1号機」は以下の通り。

コンチネンタル(瑞穂製作所)
コンチネンタルⅢ(メーシー販売)
アメリカーナマグナム(ユニバーサル販売)
スーパープラネット(山佐)
アラジンⅡ(サミー工業)
リノ(ニイガタ電子精機)
ミラクル(尚球社)
ワイルドキャッツ(アークテクニコ)
セブンボンバー(バルテック)
ドリームセブン(高砂電器)
ハンター(エーアイ)
ペガサスEXA(パル工業)
スーパーコップ(北電子)
ビッグベンハー(大東音響)
スペースバトル(日活興業)
ミラクルユーフォー(タイヨー)
デートライン銀河Ⅱ(興進産業)
ムサシⅡ(パイオニア)
バニーX.O(オリンピア)

一部、平成2年の終盤にすでにデビューしていた機種や、平成4年になって登場した機種も混ざっていますが、「2&3号機は全メーカー2機種まで」という決まりがあったため、各メーカーの販売戦略の都合によって登場時期が遅くなったり、はたまた3号機よりも2号機の方が遅くデビューするというネジレ現象も発生しました。また、これらの機種の多くは「闇の業者」の手でイリーガルプログラムを書き込まれて爆裂化。後に、メーカーが裏モノに関与したとされる「コンチネンタル」、「ワイルドキャッツ」、「セブンボンバー」、「リノ」は検定取り消し処分を受けますが、コトはそれだけでは収まりませんでした…。

(つづく)