この年は、いわゆる「AT機元年」です。1月の下旬にサミーから登場した「獣王」が大ヒット。それを見たほぼ全てのパチスロメーカーがサミーに追随し、まるで雨後の筍のように次々と「獣王タイプ」と呼ばれる爆裂AT機をリリースしました。
有名どころは以下の通り。
獣王(Sammy)、インディジョーズ2(ロデオ)、サイバードラゴン(山佐)、猫de小判(アリストクラート)、クレイジーレーサー(メーシー)、ダブルチャレンジ(ロデオ)、ヘラクレス2(アルゼ)、トリックモンスター(オリンピア)、ゴルゴ13(平和)、コンチ4X(アルゼ)…等々。
これらの機種は、毎ゲーム超高確率でAT小役(15枚役や12枚役など)が成立していますが、払い出しの組み合わせが何種類もあり、一度に全ての組み合わせを狙うことが不可能なので、通常時はフラグ成立したAT小役の大半を取りこぼしてしまいます。ただし、特定の条件をクリアしてAT=アシストタイムに突入すると、各リールに狙うべき絵柄のナビが発生し、それに従って目押しするだけでモリモリとコインが増えていく…という仕組み。パチスロにおいて本来は特賞であるはずのビッグボーナスは「高確移行契機」の役割に甘んじており、「まずはビッグを引き、高確から転落する前にAT抽選契機の純ハズレを引く」というのが、AT抽選の王道でした。
その爆発力は通常Aタイプや技術介入機の比ではなく、ここに来て空前のAT機ブームが到来します。
「小役構成を極端に複雑化してサブ基板でナビを出す機能なんて、パチスロのプログラマーなら誰だって思いついていたよ。だけど、実際にそんな機種を作ったらパチスロは滅びるかも知れない。はっきり言って、サミーはタブーを破っただけだね」
知り合いのプログラマーさんは、このように言っていました。
だけど、明らかにこれは大ヒット機種に対するやっかみでしょう。タブー破りだろうが抜け駆けだろうが、獣王が多くのファンに支持されたのは紛れもない事実。ある意味で、獣王は「コロンブスの卵」だったんじゃね…と私は思います。
もちろん、この年にヒットしたのはAT機だけじゃありません。
ナイツ(山佐)、デカドンちゃん2(アルゼ)、サーフトリップ(アルゼ)、宝船(平和)、ハードボイルド(Sammy)、ラスベガス(オリンピア)、サンダーV2(メーシー)、大ガメラ(Sammy)…等々。
詳しいゲーム性を解説すると長くなるので、それに関してはまたの機会に。ただ、この当時は少し前のパチスロ事情のように「猫も杓子もART機」ではなく、特殊なゲーム性を持つ機種や、大量獲得タイプ、AR機、マイルドなAT機…等々、プレイヤーの選択肢が多数用意されていました。結果としてパチスロ界は大いに盛り上がったのですが………。
この年の9月末、サミー系の機種全般に通用する破壊的な攻略法が発覚しました。その名も「コピー打法」。これは直前に成立した役のフラグを「次ゲームにコピーする」という技で、驚くことにその手順は、スタートレバーを「ゆっくり叩く」だけ。私は深夜に電話をかけてきた知り合いのプロから初めてこの話を聞いたのだけど、正直言って最初は何かのジョークだと思いました。そりゃそうだ。過去に発覚した攻略法はいずれも、複雑なセット手順があったり、高い目押し力が要求されるものばかり。なのに「レバーをゆっくり叩くだけ」って、あまりにも嘘くさいんだもの…。
「だったら、自分の目で確かめてみなさいよ。一般客にも広まりかけているから、ホールに行けば誰かしらやってるはずだよ」
そう言われて翌朝、近くのホールに行ったら凄いことになっていて…。
獣王を例に挙げると、コピーの対象は「純ハズレ」。獣王の純ハズレ確率は205.4分の1~243.6分の1と非常に低く、これを引いた次ゲームにコピー打法を実践すればAT当選確率が合算で2倍に、更にその次ゲームにも実践すれば3倍に…となるわけです。現実的には4~5Gのフラグコピーが限度だったらしいのですが、獣王のAT性能は「1Gあたり+約10枚」であり、現在でいう高純増AT機の3倍以上。この抽選確率が数倍にアップすればどうなるか、考えるまでもありませんね。
ちなみに、攻略法が通用した原因は「レバーセンサーの不具合」でした。当時のサミー系筐体(ディスクアップ以降)では、レバーを半入力の状態にすると新たな乱数を取得しないままリールが始動したそうです。
コピー打法が全国的に広まるや設置店はシマ封鎖を余儀なくされ、当然のことながらサミーは対策部品の供給に追われたのだけど、全国に設置されている何十万台ものサミー系機種(コピー打法の被害に遭ったのは獣王、インディ、ダブチャレ、猫de、ハドボ…等々)に全て行き渡る部品を、すぐに用意できるわけがない。
…で、ここからは噂レベルで聞いた話なので真偽のほどはわかりませんが、サミーの窮地を見かねた某ライバルメーカーが、自社の部品がサミーの筐体に流用できると知って不足分を提供したのだとか。当時、この某メーカーはサミーと仲が悪いことで有名だったのに、上杉謙信よろしく敵に塩を送ったわけです。弱っている敵を叩くのは王者の美学に反する…って、ことなんでしょうね、たぶん。
いやぁ、ええ話やなぁ…てな感じで、コピー騒動は静かに幕を下ろしたのでした。
なお、この年の私の収支は以下の通り。ほぼ1年を通して「キャッツアイ」をメインに打っていました。だって、すげぇ面白い機種だったんだもの…。
平成13年のトータル
1月 +126,200円
2月 +161,000円
3月 +100,500円
4月 +85,500円
5月 +44,000円
6月 -118,500円
7月 -267,000円
8月 -112,700円
9月 +183,000円
10月 +519,000円
11月 +68,000円
12月 +258,000円
合計 プラス 1,047,000円
前年よりも更に年間収支がダウンしています(涙)。
この年が最後の100万オーバーでした。
いや、今年はまだ終わってないし、頑張ればもしかして…。
もしかしねーよ(笑)!
はじめまして。
コピー打法懐かしいですね。
丁度その時期にわたしは沖縄で遊んでまして。
当時の沖縄といえばトリプルクラウンが八割以上
25Φスロットの設置はほぼ皆無でした。
9月末からの1週間ほどバカンスを楽しんで地元に戻るとSammy系列 の台が軒並み稼働停止状態になってました。
はい!
流行りに乗り遅れましたね。
知り合い連中は3日で100抜いたなど景気のいい話を聞かされたものです。
広石さんの年間収支も10月に跳ね上がってますねw
この時期の広石さんはキャッツコラムばかりだったのはうっすら記憶にありますよ。
これからも楽しみにしています。
お疲れ様です。
その通りです。
当時はその大手メーカーのレバーが代用可能だった為、かき集め一晩で全交換して
乗り切りました。今みたく無承認変更だの騒がない時代でした。
当時は何の制御だか忘れましたが、特許がうんぬんなど訴訟になり犬猿のメーカーでしたね。
今では合資会社を設立し、共同で部品調達なんてことになっています。
私の前勤務先もハードボイルドでやられてしまい、1日で330万抜かれましたよ。
当時のパチスロ熱が蘇る記事でした!あの頃は色々なゲーム性でホールに行くのが楽しみな時代でしたね。
ディスクアップもリメイクされましたからキャッツアイも同じ仕様でリメイクしてくれたら嬉しいですね。
これからもパチスロの昔話等で楽しませていただきます。
>並んでもらい隊ラッキョさん
コピー打法が発覚した直後、対応が早い店は翌日からシマ封鎖してました。
遅いところでも4〜5日で稼働を止めたみたいです。
ただ、メーカー&販社の営業マンは後始末が大変だったらしいですよ。
お悔やみ申し上げます…としか言いようがありませんが。
>猫店長さん
さすがに店側の立場から現場を見ておられた方の言葉は重い。
確かにハードボイルドはそれくらい抜かれるでしょうね。
ストック機ですからボーナスをコピーするだけで凄いことになりますから…。
>Low-Keyさん
キャッツアイの版権は今どこがキープしてるんでしょうね。
少し前まではオリンピアさんでしたが…。