平成5年は、いわゆる「4号機元年」となる記念すべき年です。実際に、4号機第一弾となる「チェリーバー」(エレクトロコインジャパン/現エレコ)がデビューしたのは前年の12月でしたが、当時はまだ元気の良い3号機がブイブイ言わせており、4号機への本格的な入れ替えが始まったのは、平成5年の春に山佐の「ニューパルサー」が登場してからだったように記憶しています。

当時、4号機は一般的に「新要件機」と呼ばれていましたが、その語源となった新要件…すなわち、3号機の要件からの主な変更点は以下の通り。

 

●ビッグ中はボーナスインを含む全ての役判定を「期待値方式」で行う。

~~~3号機以前の機種は一部の例外を除き「純増方式」が採用されており、何ゲーム目にボーナスインが成立するかあらかじめ決まっていました。たとえば、3号機の「リノ」では、普通に小役を揃えているかぎり必ず小役ゲームの3G目・9G目・17G目にボーナスインが成立し、ビッグ入賞時の払い出し15枚(純増12枚)+10枚役(純増7枚)×14回+ボーナスイン(純増-3枚)×3回+JACゲーム(純増14枚)×18回(6G×3セット)=353枚が純増枚数となります。まぁ、JACハズレがあるから毎回必ず353枚獲得できるとは限らないんですけどね。これが4号機では全役が毎ゲーム一定の確率で抽選されるため、ボーナスインを引けないとパンクするんですよ。もっとも、この仕様を逆手に取ってリプレイハズシが誕生したのですから、期待値方式はパチスロ攻略の歴史に大きく関与したことにもなります。

 

●ボーナスゲーム中はJACの当選を「最高8回」までとする。

~~~1~3号機のJACゲームは最高6回でしたが、これが8回に引き上げられたことでレギュラーボーナスの純増枚数が底上げされました。ただし、ビッグ中は小役ゲームのメイン役がそれまでの10枚役や15枚役から、8枚役や6枚役に格下げされ、純粋なハズレも出現したので、普通に消化して純増370枚くらいに落ち着く機種が多かったです。

 

●ビッグ終了時のリセットを自動解除で行う機能を認める。

~~~今の若い人たちは信じられないかもしれませんが、3号機以前の機種ではビッグが終了する度にいちいち店員さんを呼んで、手動でリセットしてもらってたんですよ。その手順は「鍵穴にドアキーを差し込んで左に回す」だけですが、1号機&1.5号機の時代にはドアを開けて3点スイッチ(主電源をOFF→打ち止めスイッチをON→主電源をON)でリセットする機種もありました。その後、3号機時代になって、打ち手が自分でリセットできるように改造していた店もありましたが、これが無承認変更に該当することは言うまでもありません。

 

●ランプ類や音などによる成立フラグ告知機能を認める。

~~~いわゆる、確定告知ランプなどですね。数年後に独自のジャンルを築き上げる北電子の「ジャグラーシリーズ」は、この規定がなければ誕生しなかったことになります。ちなみに、成立フラグの告知はボーナスだけではなく小役にも認められました。現在で言う「チャンス予告演出」や「小役ナビ演出」などがこれに該当します。

 

●フラグの持ち越しを禁止する(ビッグ&レギュラーボーナスを除く)。

~~~現在のパチスロは、小役を取りこぼすとフラグが消滅してしまいます。しかし、3号機以前の機種では成立した小役を揃えるまでフラグを持ち越す機種もあったんです。ある意味、目押しが苦手なプレイヤーへの救済措置と言えなくもありませんが、3号機以前の機種で通常時に小役を狙っていたのはプロまたはセミプロクラスの打ち手のみだったので、4号機で持ち越しを禁止されたことに対する一般客の反応は、「成立ゲームで小役を揃えないと消滅するなんてひどい話だな…」って感じでした。

 

●リプレイ機能の追加。

~~~リプレイとは文字通り「再遊技」のこと。リプレイ絵柄が揃った次のゲームは、コインを投入しなくてもレバーを叩くだけで遊技が可能となります。4号機の規定では「概ね7.3ゲームに1回の割合で出現」とされました。

この当時、一般客の多くは「4号機は出ない」というイメージを漠然と抱いており、世の中に定着するまでにかなりの時間を要したのですが、3号機の検定が切れる直前くらいから激しい勢いで増殖していきました。当時、圧倒的な人気を誇っていたのが、前述した山佐の「ニューパルサー」。この機種は、4号機から可能となった「ボーナス告知機能」の搭載に敢えて背を向け、カエルキャラやFM音源の採用といった工夫を凝らすことで、伝統の大量リーチ目系のゲーム性に新鮮味を加えることに成功しました。累計販売台数は約22万台と言われており、十数年後にサミーの初代・北斗の拳にこの記録を破られるまで、永きにわたって販売台数記録の頂点に君臨します。

 

ちなみに、この年の私の収支は以下の通りです。

平成5年のトータル

  1月    +273,900円

  2月     -10,100円

  3月    +27,800円

  4月  +390,600円

  5月  +116,400円

  6月    +55,200円

  7月    +51,100円

  8月    +137,000円

  9月     -147,500円

10月    +217,200円

11月    +29,700円

12月  +102,300円

合計 プラス 1,243,600円

 

へぇ…結構勝ててるじゃん! そう思った方には申し訳ないんですけど、この年の収支の大半はパチスロではなくパチンコで叩き出していたりします。そう、パチンコとパチスロは光と陰、阿と吽、表と裏の関係にあり、昔から交互に規制されてきてるんですね。メインは、いわゆる連チャン機。私は特に平和の機種が大好きだったんですけど(綱取物語など)、この年にデビューした西陣の「CR花満開」も死ぬほど打ちました。花満開の何が凄いって…3or7で大当たりすれば確変に突入し、以後は2回連続して通常絵柄で大当たりするまで確変が継続するんですよ。しかも、確変中は3or7出現率が「15分の6」にアップして、平均5.25回の連チャンを期待できたんです(通常時は表面上の出現率と同じく15分の2)。さらに、大当り終了後の1個目の保留玉が「8分の1」で大当りに書き換えられる特典まであって、保1で左デジタルの花びらが散ったらそれだけでご飯三杯はいけました。

 

でもって、秋口だったかな…いわゆる「ダービー物語事件」が起きて、連チャン機に鉄槌が振り下ろされることとなり、結果的にCR機が大増殖する流れになります。

いわゆる、大当り確率が400分の1前後で、確変突入率が3分の1、以後2回ループ仕様のCR機です。これもまぁ、アリっちゃアリなんですけど、大当り確率が低くなりすぎました。これまでの連チャン機はいずれも大当り確率がせいぜい240分の1前後で、CR花満開の設定3ですら308分の1だったってのに…。

そうそう、若い読者さんはご存じないでしょうが、初期のCR機は「3段階設定」になってました。設定変更で出玉率を管理できるので釘調整が不要になる……な~んてコトも言われてましたが、多くのホールは「ベタ3」で放置して釘を開け閉めしてたんですな。先述したCR花満開では、設定1の大当り確率が269分の1、設定2が289分の1、設定3が308分の1となっており、パチスロの設定とは呼称の概念が真逆でした。

 

今回は何かパチンコだけの話になっちゃいましたね。

次回はパチスロの話をできる…かな?