パチンコは恋愛と少し似ている気がします。追いかければ逃げていき、思いが通じるとエンドレスラブよろしく、いつまでもいつまでも抱き合え、離れられなくなったりします。

だからたまに、パチンコ台を擬人化するのです。

時に粗野で横柄な男となって、何十回も当たっている台を前にして「おいこら、オレ以外にパカパカ股を開くんじゃねえよ」と悪態をついたり、時に「君ってイケナイ子ね」と奔放な女教師のようにつぶやき、時に従順で貞淑な妻となって「あなたの事を信じていますもの」と潤んだり、「ねえ今日も出してくれるんでしょ?昨日の夜だってあんなに…」と、時には娼婦のようによろめいたりもする。

カイジ沼が噴いた時は「あたし、やっぱりカイジに愛されてる!」と思わず店員さんに口走ってしまい、それはもう苦笑いとしか言えない笑顔を返されたっけな。

向き合い方はそれぞれですが、相手は機械という感覚を飛び越えて打ち出すと、展開次第ではなかなかに味わい深く面白いものとなって……イク時もあります。まぁ大概は馬鹿馬鹿しくなってしまうんですが、それでもこういう「お前と俺」設定は退屈しないでいいなと思うわけです。

例えばお気に入りのキャラクターがこちらを見つめてきた時、頬杖ついた斜め45度の角度から「なぁ、脱げよ。」つって普段言えないようなワイルドなセリフを繰り出せる良い機会ですよ。物語の主人公はいつだって自分で、なんにだってなれる。かく言う私だって実際は色気のカケラもないのに、パチンコ台を前にすると流し目の色っぽいイイ女をぶっこけるわけです。ま、えじゃないか。誰に遠慮がいるじゃなし。

そんなわけで気合い一発でのお題統一コラムに初参戦。熱の入れ方が10時の方角を向いとるわけですが。ま、ええじゃないか。元気があれば何でも出来る。

初めてパチンコを打ったのは2015年の春のこと。1パチです。それは『リング 呪いの7日間』でのオスイチ爆裂から始まりました。
そこからですので、パチンコ歴は丸3年とちょろっと。1パチから4パチに移行したのが2017年ですので、本格的に「打ったわあ」と言える期間は、まだ1年足らずということになります。しかも、いわゆる趣味打ちプレイヤーなので、デカいヤマというか、ドえらい展開はそう多くありませんでした。

そんな私が熱くなったと言えるのは、ホームランをかっ飛ばしたり、立ち回りがすこぶる上手くいった時よりも、やはり思い出すだに唇をかむようなズンドコに負けた日が自然と浮かびます。

それが次の3機種です。すべて4パチでの出来事でした。

新装導入された『リング 呪い再び』
わけもわからずにのめりこんでしまったトリッキーな機種『ダークフォース』
そして敬愛するプロ達が好んで打っていた(ように当時見えていましたが、実は世代的にも全員が原作ファンでというオチ付き)『めぞん一刻 約束』。

ようするにしこたま負けたわけなんですが、ま、えええじゃないか……て、イクないんだよッ!コンニャロ~!というわけで、これらが私の胸を波打たせ、焦りを回避するために脳が施す避難処置、フッとふいにエクスタシーに引き込んで痺れる思いをさせた機種です。

ここは熱いモノを語る大人の女らしく、それぞれをセックスにたとえましょう。悠遊道始まって以来のR指定?です。ただし今回は負けバージョンですので、非道系の男を描きますが、機種そのものはそれぞれ名(迷?)機だということわりを入れておきます。

そして全てが実体験に基づく話ではないとも申し上げておきましょう。耳年増の独り言である事を前もって言うなんて無粋ですが、この道を行けばどうなるものかと悩む多感なお年頃なのよ、坊やたち。 それに「汗ばむわぁ…」と松尾嘉代を意識して呟いてみたとて、山田花子につながる系譜ですんでね、バカボン。

 

 

先鋒 CRリング 呪い再びFPK(藤商事)

ホラーマニアの私は、パチンコ歴がリングから打ち始まったように、リングシリーズが今ももちろん大好きです。

最新リングは小当たり搭載で、ナント貞子と恋人つなぎ出来るらしいじゃないですか。ホラー映画はシリーズ化すると次第にコメディに寄ってくのがお約束なわけですが、パチンコのリングもどんどん遊び心が増していくのでしょうか。楽しみなところです。

で、この時のリングは、導入から少し経ってはいましたがまだまだ新台扱い。1パチに下りて来るまで待っていられなかった私は、4パチである事もガッテン承知の助で、リングイン。ああん早く早く!とはやる心で打ち始めるのでした。

ところが(あれ)・全く(声が)・何も(遅れて)・起こらないまま(聞こえるよ)、ただひたすらにハマリ続けていくのです。

当時の私は何の考えもなしに1パチを打っており、確率についてはもちろん、確変やボーダーについても全くわかりませんでした。それどころかどこを狙って打てばよいのかすらわからないような始末。

しかも回らない台に座り、それでものんきに「いずれ当たるだろう」と、勝つことよりも、展開や当たった感じがどうなのかだけを見てみたいという気持ち、その一点のみで打ち続けていたのです。一回当たったらもう止めようという感じでした。今なら「正気ですか」と呆れかえる所ですが、本気でそう思っていました。どんな感じで当たるのかを見たいだけ。

総投資は5万円で当たりゼロ。4パチですから多少の覚悟はしていましたが、とうとうこれ以上はだめ、つまり手持ちの軍資金が消えていき、変だな、どうして一回すらも当たらないの?と信じられない気持ちで席を立ちました。そしてあるある展開で、次に座った客に大爆裂された事を、ああ瞳を閉じて思い返してみれば

 あれ?あたし、泣いてる……?

となってしまうのでした。

初めて喫した大敗。ヴァージンショック台というわけで、操を持ってった男が、お前マグロでつまんねーんだよという捨て台詞を吐いて、あっさりとヤリ○ンに乗り換えてったような虚無感に襲われました。敗北感ではなく、ただひたすら脱力しました。でも初めての男だから、リングを今もなお大切にしているといった感じでしょうか。違いますけど。

 

 

中堅 CRダークフォースM3 (高尾)

当たり出すとすっごい☆という噂を小耳に挟んだのと、初当たりが軽いというただの思い込みから打ちました。総投資は5万5千円です。

止め打ち不要のうたい文句の通り、目まぐるしくセグが動き回り、当たった時にドゥンとSFっぽい低い音がして、そこで初めてゴクンと飲み込む時間が訪れる、それくらい息をもつかせぬ台でした。
けど大当たり確率は一体どう計算しているんだ!と思うほどに、ひたすらぐるぐる見つめさせられるという拷問プレイでした。

薔薇の色にドキドキしながら打ち続け、当たってから先は身悶えするほどあっという間の展開です。
これはあっちゃこっちゃ体位を変えるのは楽しいけれど落ち着かず、奥で薔薇が赤く染まる前に、様子を聞きもせず果てる身勝手な男といった具合でした。

こういう奴は大体が奉仕の心を忘れており、オノレのイチモツ一点のみを過信して女に嫌われるタイプです。あの黒い筺体を思い出してみてください。なかなか言い得て妙ではありませんか。現場からは以上です。

 

 

大将 CRめぞん一刻~約束~ (平和)

その恋の行方が、もどかしくも時にはらはらと泣けてくるストーリー。なのに、やおら煽りや荒っぽさが目立つオラオラ展開を繰り広げる機種という印象です。

顛末は以前書きましたが、現時点ではこの日があたし史上最も熱かったように思います。費やした額は口に出したくないほどダントツに突き抜けています。

とにかくあの時の私は本当に熱に浮かされたようにどうかしていて、このままじゃ行き詰まって風呂に沈められるとわかってるのに、悪いホストに手をかけられた客のように、お前はオレなしじゃだめだろ?と洗脳された女のように潤んだ目で打ち続けました。 疑う気持ちを胸の奥に押し込んで、ずぶずぶと底なしにハマッていく感覚すら楽しんでいたのです。

この一戦では「ブン回してやった」と思っているのは私だけで、そんな実の伴わない、形から入っていくスタイルを嘲笑うように向こうは「メロメロにさせてやったぜ」てなもんです。あいつなんかチョロイと。やり手の手練手管、お釈迦様の手のひら状態だった気がします。

この大将戦からめぞん以前・めぞん以降と分けられるほど今の私は保守的です。常識的な中に投資を収めるようになったからで、ミドルは滅多に打たなくなりました。今のところは遊パチ中心です。ただ、そんな中でも手堅く刻んでいく機種ではなく、カイジやジョーズ、乙女シリーズみたいにイキ癖がある機種(※個人の感想です)を気付けば打っていたりします。

けどでも、たまに自分がとても歯がゆい。

じゃあそもそも私が求めているのはどんな機種なんだろう。

一気に絶頂に達するようなゴージャスなもの
なのか
スローにいつまでも抱き合い、何度でも達したい
のか
抱かれんじゃない、あたしが乗っかんのさ!
なのか
甘いクリームを食べた時のように頭の後ろがしびれてトロンとなるようなキス
が欲しいのか
ねえもう早くとせがんでねだるまでじらしまくってほしい
のか
いやらしい子ね、あたしをどうするつもり?というお姉たま感を醸し出したい
のか
ひたすらに耐えがたきを堪え忍んでいくプレイ
なのか。

困ったな。女はいつでもワガママで注文が多い。しかもいつも同じじゃない。

どの機種にも言える事ですが、流れを掴んだら、波に乗ったらば、劇的なクライマックスへと連れていくモノばかりだというのはわかっています。

旧MAX機を知らず、経験が浅く、プレイ時間も短く、好きな機種ばかりを打ってしまう癖がある私ですので、激アツからの連続イキや胸アツな時間はなかなか訪れないかと思います。今から実戦で無理矢理に熱くなろうとしても、邪念のせいでうまくイケないでしょう。

でも私は待っています。私の殻を破り、のめり込ませ、熱くさせてくれるモノを。いつまでも忘れられないモノを。コトが終わりベッドでするとりとめもない会話のような、甘ったるい余韻をいつまでも感じさせてくれるモノを。

じゃあ思わせぶりにホール内を歩いて観察していきましょうか。何しろ選び放題なのだから。私が女王様です。

それとはわからないギリギリのラインでイロコイを仕掛ける有能ホストのような奴はどこにいるの?
朝から晩までベッドから出られないような思いをさせてくれるのは誰なの?
突き放したかと思えば、情熱的に抱きしめてくる彼を「もういやだ」と心では思っているのに、触れられたら引っ張られてしまう、どうしようもなさを味わうのはいつなの?

スカートの裾をぐっとたくしあげて席に座り、今日もこう話しかけるのです。「ねえ、あたしを楽しませて」と。

してくんないならお仕置きよ。台を綺麗になめしたバラムチで引っぱたくか、美しく亀甲縛りを入れるかを考えつつ、こうして私の人生での”熱い日”は上書きされていくのでしょう。

嗚呼。
勝つも負けるも、あたしに声をあげさせ、夢中にさせる機種(オトコ)よ
あたしの奥を強く突き動かす(役)モノよ

さあ、出てこいや!

 

【直近の情事】

今から実戦で無理矢理イクなんて出来ないだろうと書きましたが、ふいに訪れたプレミアム展開を報告して、二段締めと参ります。

現実逃避と言う名の〆切目前の夜のこと。ブラッと寄ってちょこっと遊んで気分転換するつもりのジョーズが、虎柄とレインボーから全回転を経て大爆裂してしまい、つくづくコトにはタイミングが大事であるのだなあと思わされたのでした。

この後、ヒト・サメ異種間でどうしようもなくイキまくったわけですが、閉店間際となっても一向に衰える気配のない、ジョーズの勢いがただひたすらに怖かったです。

何度か書きましたが、ほどほどに勝てればいいという考えがあり、万発を超えたらソワソワしてしまう私なので、終わらない彼に泣きそうになるのでした。負けて泣かされる日は多々ありましたが、イカされ過ぎて泣く事もあるだなんてタコこら。

とにかくもういやだ、こんなの求めてない、あたしもう帰りたいと怖がってしまうようじゃ、ホントまだまだよね。オキテ破りの処女返り。

 

【そして言い訳への三段締め】

ド素人の私に出来る事なんて知れていますが、ふと悠遊道にも「お色気」のひとつやふたつは必要なんじゃね?という考えでもって挑戦したわけなんです…

ンが!

大してR指定じゃないんじゃね?

つーか

ところどころ何かプロレスじゃね?

投げっぱなしハテナをオチとします実況席。ではまたお目にかかりましょうさようなら!

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