カンジ悪ッ!

ゼロゼロ台の大海4アグネスに座ったら、隣でハマッてる若い男が、そのまた向こう隣にいる女(彼女のようだ)に何ぞ耳打ちされて、分煙ボードを乱暴にガシャッ!と引き出し、私との間に壁を作りました。
この店は禁煙店であるからして、煙がどうのではありません。

ふりだしに戻る。

カンジ悪ッ!

あたしなんもしてへんやん。
ムッとしましたが、おそらく彼女が超ヤキモチ焼きで、隣に女が座ったらすぐに壁を作れと言われてるのでしょう。けっ。
私もたいがいヤキモチを焼くタイプですが、こんなオバハン相手にもそんな事しろだなんて言いませんよ。どうかしてるぜ。
男も男だぜ。そんな小さい器だから絶妙にハマるんじゃい!と、心の中で悪態をついておきました。

こんにゃろ。
ムカッとくるとおかしなパワーが生まれるのか、こんなの完璧なオカルトだけれど、初当たりが軽くなったりするのです。ハンドルを伝って「えっらい怒ってはるやん!」という電気がビッリビリいくんでしょうか。

よくわかりませんが、やたらめったらと回るアグネスを掴んだ事は確かです。
そしてオカルトが今回も現実のものとなるのでした。ハマッてる隣を打て、なんてのも存在しますよね。ちなみに「まっきゃんの隣を打て!」というマイオカルトもありますよ。

77回転目に当たってそれが4連チャン。終わってすぐに6連チャン。そこからもサクッと怒濤のアグネス大連チャン、略してアグネス・チャン。

…………。

と言うわけで、違うアグネスになったりもしていたひなげしの昼下がり。

見る気もないのに、いやでも目に入ってくるのは、隣のカップルです。驚きました。なんと、彼女の台のボタンまで、いちいち彼が押してるじゃありませんか。

女に言いたい。

「そんなもん、このド素人のワシかて自分でやるで」と。

しかし時間の経過と共に、暗雲がどろろと立ちこめてきます。彼女の台もハマりはじめるからなのでした。罪な原幹恵(ラブ嬢)。

熱い流れを逃してばかりの展開にイライラきてるからか、彼の手を制して、もう自分で押すから!という雰囲気となっています。しまいには自らの強い意志というか、我を忘れてというか「ボタン鬼連打女」と化していました。

殺気立った横顔の目がつり上がっています。おいー。さっきまでの、彼氏にボタン押してもらっては顔を見合わせて「ウフフ♥」な感じどこ行ってん豹変。

まぁけど熱くなれてよかったね。帰り道、バカみたいに負けた彼氏と、お金どうすんのさ的な大喧嘩をしたとしても、こんな風に大のオトナがアツくなれたことに感謝してね。何しろケンカした夜は熱いしね。

どうかパチンコを嫌いにならないでね。

そして愛する彼の隣に座るのが、せめてババァだったのなら許すんだよ、お嬢さん。じゃないと原幹恵みたいな女の子にかっさらわれるかもよ。それか、彼が密かに隠し持ってる指輪と、ロマンチックなプロポーズの出番がなくなるかもしれないよ。

知らんけど。

プレイヤーの人柄が出るというのは、本当にそうだと思います。ハマッてもプロはどんどん冷静になっていくようですが、一般人はチンパンジー化するケースが多く見受けられますね。いや、チンパンジーの方がはるかにお行儀良いかも知れません。

私だって機種によっては「やんのか」「やれんのか」とハラハラドキドキします。
基本的には可愛い機種が好きだもんで、今のところはイライラより楽しむ方が勝っています。激アツを外しても、確信してた自分の心がちょっぴり恥ずかしくてニヤニヤ。とにかくもう私の場合は、怒るよりもションボリの方が大きい。一緒に「当たるかも!」と盤面を見ててくれた店員さんに肩を揉まれるので、よっぽどわかりやすいガックシなのでしょう。

リングでは手の落下に驚いて(未だにいちいち驚きます)、イスの昇降レバーを足でひっかけて、ストン!と座席を一気に下げてしまい、隣のおじさんを超ビックラこかしたりといった事も何度かありました。だから決してクールに打ってるわけじゃありません。どうせなら楽しまなくちゃ損だ、という考えが強いのか、イラつくよりも楽しむ方にシフトしているようです。

あ、それで思い出しました。

過日、おそらく日本一のパチンコ屋さんであろうと、師匠に聞いた秋葉原の某店で、偽物語の初打ちをしたことを。

この日は別に怒ったりしてませんが、「初打ちミドルは軽めに当たる」というもうひとつのマイオカルト(何個持ってんねん)でもって軽めに当たり、9000近い出玉と抹茶エリーゼをもたらす嬉しい結果を叩き出しました。

パチンコが高齢者のものだなんて誰が言ったのか。土地柄なのか、アニメやゲームが好きっぽい若い男の子ばかりです。遊戯人口が減ってるなんて嘘みたいな、空き台がないほどの大盛況ぶりでした。

両隣で打っていた男の子たちは、熱い展開に飛び上がって反応し、真剣にボタンを連打しています。その様子がとても微笑ましく、当たった時に思わず「おめでとう」と声をかけてしまいました。ビックリしてましたが、恥ずかしそうに「ありがとうございます」と、そして私が当たった時には、小さく「おめでとうございます」と言ってくれました。

勝てたからそう思うのかも知れませんが、和やかな賑やかな雰囲気で本当に楽しかったです。自分と同じように楽しんでいるのを見られると思っていませんでした。

色々と言われていますが、あんな風に楽しんで打てる人が増えたなら、業界の未来は明るいのになと思ったのでした。浅い考えでしょうか。夢でしょうか。