誰しも、一度や二度は「裏切られた!」と言うような経験をされた事が有るかと思います。

かくいう私も、「部下が車を買う」、「部屋を借りる」等の連帯保証人になったり、現金を貸したりと、手を差し伸べたものの、その後弁護士から私宛に通知が・・・と言うような経験が幾度も有りました。

ところが、不思議なもので、これらは時間が経つと許せる(と言うか、諦められてしまう)ものなんですね。

さて、前回のコラムで綴ったように、本店を軌道に乗せた後は彼女の待つ駅前店に戻りたい!!」と思っていた猫店長。

念願叶って、その思いが実現しますが、そこで「生涯、許すことができないような仕打ち」を受けることになってしまうのでした。。。


◆今回の主要登場人物

  • A氏・・・業界歴15年で猫店長の知人、猫店長が本店再建に奔走していた間の駅前店店長
  • B氏・・・SNSで知り合った元店長?の無職(求職中で行き場が無い為、私が知人と偽り副店長で入社させた)

猫店長リターンズ

▲再現イメージ

晴れて数ヵ月ぶりの駅前店勤務。

やっぱりこの店は、設備が古くとも居心地がいい!

更には、スタッフみんなが「店長おかえりなさい!」と歓迎してくれ、その中にはA氏が店長である事が嫌で来月で退職するつもりだったスタッフ2人も居ました。

私も含め、モチベーションも高い状態。

「皆で力を合わせ、頑張りましょう!」と、改めてスタッフと一丸となり、駅前店に従事します。

すると、久しぶりに顔を合わせた常連客からも「待っていたぞ」と言ってもらえ、店長冥利に尽きます。

※ちなみに、時効だから言ってしまいますが、分岐以上のイベント台で閉店まで粘った常連が不発に終わった後、私に「明日も来るから。」と言ってきた際に「出て納得するまで放置するから、追いかけな!」と言うような、限りなくグレーな駆け引きが日常的にあったのです。

さて、手法と詳細は省きますが、私の駅前店復帰に伴い“猫店長リターンズ”と銘打ち、新台入替(※実際は、全部本店から外れた中古台)&交換率の変更等を行い、金曜日12時オープンを敢行!!

すると、復帰前では60人~80人の稼働だった店に180人前後が集まり、上々の再出発!

ここから当分は、稼働が終日100人を切る事は無く、目標ノルマも問題なく達成。

▲本店から外された中古機を「新台」として活用!!

一方、私が抜けた本店ですが、予想通りに本格的に粗利確保を始めた為、稼働が日に日に落ちています。

※実は、駅前店に戻りたい理由は「彼女が居るから」だけではなく、本店における「20数億の返済、その為に粗利確保の必要がある、その舵取りは並大抵じゃない=再び沈むリスクが大!」と言う構図から抜けておきたい。と言う腹黒い計算もあったのです。

 

「駅前店に戻り、日常数ヵ月」

本店グランドオープンの準備開始以降疎遠であった「店長らしい”自由時間”」が、駅前店復帰後にようやく訪れました。

極端な話、ノルマさえ確保していれば、何をやっていても許されるのです。

ただ、スタッフ皆と良好な関係を継続するには、せめて昼休憩交代中くらいはホールに出るのは必要です。

そうして信頼を維持しつつ、「彼女と過ごす時間」を捻出します。

彼女は早番専門の為、私も基本的には開店から店に居るようにし、公休日も周囲に怪しまれない程度の月に2回位一緒に休みました。夕方の終業後は隣駅で待ち合わせ、そのまま遊ぶ日々・・・

※彼女は元々、私が連れて来た人材の為、誰も怪しまないですし、しっかり怒る&叱る&注意する等、スタッフとして平等に扱っていました。(実は事前にすり合わせた猿芝居もありましたが(笑))

「社内恋愛発覚」

駅前店に戻り9ヵ月くらい経った頃だろうか。

こんな適当に仕事をしていれば稼働が下がるのは明白で、日に日に売上・粗利も減っていきます。

そんなある日の朝、辛い事があったのか、彼女に元気がありません

駅前店は1階がホール、2階が事務所、休憩室、更衣室、倉庫となっており、彼女が倉庫に景品を取りに来たタイミングで私も事務所から倉庫に向かい、そっと彼女を抱き寄せました

・・・時間にして、2分くらいだっただろうか。

妙な視線を感じ、周囲を見渡すと、清掃スタッフのオバちゃんが目を丸くして固まっているではないか!!

慌てて彼女と離れ「しまった・・・、なんてこった!」と焦っていると、オバちゃんは無言で去りました。

実はこのオバちゃんはスグにサボる癖があり、しかも注意するとふて腐れるという面倒な性格であり、そもそも私と不仲だったのです。

勿論、この目撃事件以降、このオバちゃんに対して何も言えなくなったのは、言うまでもありません。。。

『オバちゃんの報復』

前述の目撃事件のしばらく後、よからぬ噂を耳にしました。

どうやら、虫の居所の悪かったオバちゃんがB氏(冒頭参照)に”抱擁”を密告し、更にB氏が社長にチクった模様。。。

ほどなく、私は社長からの呼び出しを受けるのでした。。。

社長「猫くん、最近元気がない(=「売上、粗利が少ない」の意味。)よな?何か報告することがあるんじゃないの?」

猫店「・・・いえ、特にございません。(心の声:店舗スタッフと付き合っている事を追求しようとしているのか・・・?」

社長「ふ~ん、わかった。あっそう。」

この素っ気無い社長の態度から、あることを察しました。

と言うのも、ちょうどこの頃A氏が、ある程度の業績を残しての円満退社をしており、新しい人選をする必要があったのですが、社長が私に相談に来ません。

この社長は選り好みが大変分かりやすい人で、人を嫌いになると「〇〇店長は顔が脂ぎってる!」だの、メタボの店長には宴席で「俺は食い過ぎる奴は嫌いだ!」との暴言を連発したり、逆に何も言わずに空気のように扱うきらいがあります。

そして、この素っ気無い社長の態度から、私は「・・・自分の番が来たな・・・」と、確信したのです。

『人事異動発令!!恩を仇で返す裏切り』

ある程度の覚悟を決めた状態で迎えた、新しい人事の発表の日。

以下の内容が通達されました。

後日聞いた話ですが、やはりB氏が盛りに盛って”抱擁事件”を社長に密告していたとの事です。

具体的には・・・

  • タイムカードを見れば、社内恋愛しているのがバレバレ。
  • 女に現を抜かしており、それが駅前店の稼働に反映されている。
  • 猫店長は、会社に対する熱意も気持ちも無い。

と並べ立てた上で、あろう事か「駅前店を立て直すなら、店長をやらせて欲しい!」と自ら社長に直訴したようです。

そんな人事異動の発令後、私は即日辞表を提出し、「周囲から色々言われるであろう環境に残る意味は無い」と彼女を説得し、一緒に辞めさせました

時は12月。

寒空に消え行く白い吐息を見つめながら、「彼女に現を抜かしたのは事実だし、自業自得ではある・・・。とは言え、行き場の無いB氏に声をかけて助けてやったのに、自分を蹴落として成り上がりやがって、恩を仇で返されたようなものじゃないか!!」と、怒りと失望が交錯した、やり場の無い気持ちに苛まれるのでした。。。。

※私はこの裏切りを受けるまでは、「人の紹介、移籍のお手伝い」など、所謂”おせっかい”を積極的に行っていましたが、この一件が引き金となり、以降は止めてしまいました。

 

おまけ~後日談~

私の後任として駅前店の店長になったB氏ですが、スロットの増設を主軸にリニューアルを発案・慣行するも、これが大失敗に終わり、結果として更に稼働が下がってしまい、スタッフもバタバタと辞めることに。

この一件が響き、僅か3ヵ月でB氏はパチンコ部門から追われ、会社の送迎係としてドライバーを経て、最終的に「不要な人材」の烙印を捺されて解雇されたのでした。

ちなみに、B氏が稼動を下げた駅前店は、グランドオープン時に海のぶっこみを開けたC店長が勤め、稼働を立て直して数年頑張りました。

また、このC店長は現在も業界周辺機器の会社に勤めており、私の行く先々で取引をして、現在も友好な関係が続いております。


次回は、コンサルタント時代のクライアント先であった「叩き上げ”ラオウ”社長」から営業部長として招かれるお話です。