女性問題、その他諸々により稼働を落とし、降格辞令から自己退職となった前回のお話はこちらから。


時は、2009年冬。

パチンコでは「スーパー海物語IN沖縄2」が、スロットでは5号機のボーナス+ARTの礎でもある「交響詩篇エウレカセブン」や「緑ドン」などが主軸としてホールを賑わせており、また、1パチも3割前後で導入率されていた頃。

人事異動の発令に対し辞表を提出した今、取り敢えずは次の仕事を探さないと始まらない。

と言う事で、付き合いの長いC氏(業界歴30年以上の物件ブローカーでもあり、元最大手D社のOB※某木造ゆったり館の方。)に連絡を入れた。。。


C氏「年末年始のかきいれ時に仕事が無い釘師なんてロクなもんじゃない!バカだな~(笑)」

猫店「仕方ないでしょ、降格人事なんて己のプライドが許さないし、あんな組織に居る意味はない!とりあえず、正月休み明けから販社社長とかにも声をかけるつもりではあるけど、今の段階で何か仕事の話はないかな?」

C氏「猫店長には借りも沢山あるし、一つ案件もある。ここは一肌脱ぐよ。俺に任せてくれ!」

猫店「さすがは顔の広いC氏!Win-Winな感じにするので、宜しくお願いしますよ!」
※実際に、東上野のメーカー・販社密集地を一緒に歩くと、C氏には四方八方から声がかかる


すると正月明けにC氏から電話。

話を聞くと、猫店長が以前にコンサルとして入った「ロッキー(仮名)社」の叩き上げ”ラオウ”社長から「営業部長の横領が発覚したので解雇した、後釜を探して数人面接したが、しっくりこない。猫店長を連れて来て欲しい。」とのこと。

ちなみに、余談であるがラオウ社長は、本当にラオウに似ている。(笑)

そんな余談はさて置き、願ってもない話である。

早速、ラオウ社長に会うべく、ロッキー(仮名)本社へC氏と共に出向く。

そして、本社に到着した我々を、会長をはじめとした4店舗法人の全役員が総出で出迎える。

  • ここでラオウ社長について触れておくと、前述の通りに叩き上げの社長であり、以前に猫店長がコンサルをしていた時代のクライアントでもある。(その時のエピソードはこちらから)
  • そして、このラオウ社長。私がコンサルとして建て直しを完了させた後に一度引退したものの、会長の要望で社長に復帰したとの事でした。

話は戻り、ロッキー社(仮名)にて具体的に話をすると、ラオウ社長の推薦もあり、即決で営業部長として採用が決まり、来月から出勤する事と相成った。

幸いにも、コンサル時代に系列の全店舗を覗いており、各店の立地、競合、店の設備なども概ね把握していた為、ロッキー社(仮名)としても最適な人材との事で、まさにWin-Winな話のまとまり方だった。

 

★初出勤★

当面は、本店本部を軸に動くことにした。

と言うのも、系列店舗は、遠方だと隣県で120キロ、他は車で概ね1時間半の距離なので、本部を軸にするのが正解だろう。

と言う事で、早速会長とラオウ社長へのヒアリングを設け、具体的に何をして欲しいのかを伺う。

すると、返ってきたのは「全店舗の売上、粗利、稼働を上げて欲しい」との要望。。。

猫店(心の声)「おい、順序が違うぞ。。先決は稼働の向上。利益、売上は後から付いてくるのが常識だろうよ。。。」

勿論、心の声であり、初出勤故に諸々を勘案し、此処はグッと堪える。

 

とりあえず、トップの意見を把握したところで、次は現場だ。

1日1店舗のペースで訪問の上、各店店長に対し問題点や要望、不満などをヒアリングする事とした。

・・・が、明らかに全店店長から感じる警戒心と反抗的なオーラ。

それもそうでしょう。

彼らからすれば「次期部長は俺だ!」と思っていたでしょうし、それを外部から来て掻っ攫った張本人がヒアリングに来ているワケですから、面白いハズがないです。

ただ、それはそれとして、同一組織に居る以上は業務を進める必要が有りますので、淡々とヒアリングをこなします。

そして、吸い上げた主な意見は・・・

  • 会長は「出せ!」、社長は「抜け!」と、両方から叱責され理不尽だし、現場がどうしたらいいのか判らない。
  • 全店舗の上納金(粗利入金額)ノルマが高い上に、4号機時代と変わらぬ数字を提示されており、不可能。
  • 「今日は出た、明日は何割だ?明日は取れよ!」と、1日単位で社長に言われる事が多々ある。
  • 島、ユニットなど設備が古過ぎる。トラブルが多く困るから改装したい。(再プレイも無い店舗もある)
  • 1ぱち、5スロを導入したい。
  • 機械代を上げて欲しい(買い過ぎは自らの首をしめると苦言を呈する)
  • 待遇全般、福利厚生への加入(未加入の為、社保、厚生年金は無い)、有休消化、etc…

と言うのが主なところだった。

私も店長経験者なので、各店長の気持ちはよく判る。

しかし、上記をそのまま経営陣に伝えれば「ノルマ未達成の分際で、言いたい事を好き勝手言いやがって!」と立腹するのは必然。

なので、先ずは各店長に「小さい会社は理不尽の固まりです。それは何処でも一緒。店を少しでも良くしてから言いましょう!」と、一旦納得してもらうことにする。

この頃、県内で1パチ、5スロを導入しているホールは3割程度。

だが、「これからは間違いなく低貸しの時代が到来する。同時に各台計数器のパーソナル化も加速するはずであると。」言う確信があったので、早速会長と各社長を説得することに。

すると、これまでは各店長の稟議は却下されていたが、今回は私が前社で成功させた実データと言う根拠と、ラオウ社長の後押しも有った為、全店舗であっさりと導入実施に。

この低貸し導入により、2店舗(本店/スロ専)を除いて客数は増加。

駐車場も見栄えが良くなり、各店長も少しずつ自信が芽生えたこともあり、矢継ぎ早にイベントの仕切り直しなどに着手することに。

私の前社関連の店で好評だった企画も交えて実践していくと、緩やかながらに毎月の売り上げも稼動も上昇するのでした。

▼1パチが成功し、活気付く店内

 

二の矢

次いで着手したのは、イベント関連。

業界大手や強い大型店などでは「7の付く日は・・・」的な全体イベントが主体。

だが、小型店でそれをやるのは愚行

特定コーナー、機種などから着手することで、固定客を確保した上で、その信頼を得るのが先決であり大切。

それらを勘案したイベントを順次打つことにしたのでした。

▼女性客狙いの、カワイイ育成イベント♡

▼甘デジコーナーのイベント

更なる施策

ロッキー(仮名)に入社してから8ヵ月くらい経った頃だろうか。

役員会議にて「全店舗の島を倒し改装、低貸しに各台計数器の導入を!」と提案する事にした。

すると、全社長が「これ以上、銀行やリースの借入は嫌!だいたい、審査に通らないでしょ?」と猛反発

実際に、数千万単位の融資を受けるには3期分の決算書提出が必要であり、かつ、全て黒字が不可欠となります。

が、それは想定内であり、事前にC氏を通じて某メーカーに「手付金ゼロ、改装費全額手形36回均等払い」と言う内容でO.K.を貰っていたので、改装案は無理なく実施可能であると説得。

結果として、4店舗中3店舗にて、10数年ぶりに島を倒し改装。(3ヵ月に1店舗のペース)

残念ながら、改善が見込めないスロ専はクローズする事になりました。

この改装案を実施した結果、各店店長も私を「有言実行の人」と認めてくれ、心を開いてくれました。

 

人事発令!

改装後の各店については、本店以外は順調。

各店の毎日の客数、稼働、売上、利益をはじめ、島図面(何の機種がどの場所に何台設置中か)、遊技機の契約状況まで頭にインプットされています。

時を同じくして、本店の店長が設定情報を漏洩していた事が発覚!

緊急の役員会議が開かれ、本店店長の解雇が即決

そして、「営業部長と兼務にて、本店店長も担って欲しい。」とのことで、猫店長が二役になったのでした。

とは言え、前部長は横領で、その部下である本店店長は設定漏洩で、二人とも解雇。

思わず「そりゃ、本店ダメだわ。。。」との本音がポロり。

それが聞こえたのか否かは定かではないですが、帰り際にラオウ社長から呼び出しを受けることに・・・


ラオウ「オイ!お前は俺の前でだけ、ぶりっ子しているイエスマンだろ?」

猫部長「いえいえ、そんな事はございません。(内心は(・∀・)ニヤニヤ)」

ラオウ「会長以下、他の社長、役員も『猫さんは営業力あり成績も上げてくれた。が、言う事を全く聞かない。人を見下した感じでバカにしているんじゃないの?』と言っているぞ。」

猫部長「ラオウ社長のように、実績もあり、理に適っている方の発言なら尊敬して素直に聞けます。しかし、身内で現場経験も無い素人が言う理不尽な事はに反論してしまいますね~。」

ラオウ「お前、それに『視察』とか言って競合の新店やリニューアルする店へ出向いているが、本当は自分が積み上げて儲けるのが目的なんじゃないか?会長も言っていたぞ!」

猫部長「ラオウ社長、そんなにイジメないでくださいよ~♪我々みたいな田舎者は、地元客を大事にした営業をしつつ、都心部から来た人が『都心と大差ないな』と思えるような店を創りあげないとです。だから、販促などをパクる為にも、視察は欠かせません。」


そんな風に咄嗟に言い訳をしたものの、心の中では「さすがは叩き上げのラオウ社長、図星じゃないか・・・」と思ったのです。

この後1年間、私は本店に掛かりっきりになり、競合5店舗中4位だった状態を、本来の順位であった2位に戻すのでした。

▼ジャグラーシリーズ40台は地域一番稼働を維持。
※ある日曜日の実データ
(等価、40台中BB30回超えは9台)

 

学びの日常

この頃になると、資金繰りや会計的な相談を受ける事が増えます。

しかし、無知な私はイマイチ分かりません。

とは言え、自身の知識とは裏腹に、会計士との打ち合わせなんかも順次入ります。

一念発起した猫店長、後々の事も考え、こっそりと勉学に励む事に。

結果、【日商簿記検定3級】を取得したのでした。

(次回へ続く)