ホール大手5社が共同で依存対策に乗り出す件だが、先月30日に共同声明を発表した。端的に言えば、依存対策は後手に回らず、予防を中心に積極的に進めていく。庶民の娯楽として安心して楽しめるパチンコを提供するといった内容である。

 5社による共同声明は次の通り。「合田観光商事、ダイナム、ニラク、マルハン、夢コーポレーションは、パチンコ依存に対し、遊技を提供する立場として、真に依存対策となる『予防』のためのアプローチに注力し、安心して楽しめるパチンコを提供いたします。そして、本日の取り組みの動画を一般公開し、全国のパチンコホールがパチンコ依存対策に取り組むよう働きかけていきます」。

 共同声明に係るパチンコ依存対策の具体的な取り組みについては、「パチンコを提供するホール法人の責務として、『予防』を中心としたパチンコ依存対策を行い、店舗で働く全従業員が行動する」、「同活動は5社に留まることなく、全国のホール法人が依存対策に取り組めるよう、先頭に立って啓蒙・牽引する」、「同日開催の5社合同依存対策勉強会の模様を動画サイト(YouTube)で一般公開し、だれもが学習し、行動できるようにする」としている。

 ダイナムの藤本社長は共同声明発表に至った経緯として昨年10月に施行したギャンブル等依存症対策基本法を挙げ、「業界でどういう行動が必要なのかという答えを求められたことがきっかけ。パチンコは昔からある日本独特の文化で下駄履きで楽しめる庶民の遊び、日常の娯楽として継続していく必要がある。安心で楽しいパチンコを提供するのが我々ホール企業の責務であるという共通認識のもと、今回の発表に至った」と説明。そして「5社に限らず共感を持っていただけるホールについてはどんどん輪を広げて、日常娯楽につながるようなのめり込み対策に取り組んでいきたい」と述べた。~以下省略~ web-greenbeltより抜粋 http://web-greenbelt.jp/news/detail.php?n=00011051

 ことが起きてからではなく、予防のためのアプローチに注力するという依存対策は果たしてどこまで効果があるのかは現視点では定かではないが、少なくとも今までやってきたこと以上の取り組みになるわけで、今後の展開を待ちたい。

 安心して楽しめるパチンコを提供するという意気込みは大いに歓迎したいが、一体何年前から同じことを言っているのかという疑問は残る。大負けの危険性を防ぐ=低貸し遊技にしても、当初は4円パチンコ、20円スロットでは敷居が高いというユーザーのためにまずは低貸しで慣れてもらい、そこから余裕がある人は4円パチンコ、20円スロットに移行してもらうのが狙いだったはずだ。それがいつの間にか低貸しで思いっきり利益を取ろうという動きになり、4円換算で千円15回も回らない1円パチンコが珍しくなくなり、全くもって安心して楽しめるどころではない状況に陥った。

 メーカーが遊べる機械を作ってもホールが買ってくれないという声を聞いたことがあるが、それがホール側の本音だろう。安心して楽しんでもらいたいと本気で思っているのなら、例えば時間あたりの投資金額を抑える機械をメーカーに作ってもらえばいい。ただ、スタート5個戻しや6個戻しの機械を作っても、おそらくホールは買わないだろう。まあ、ホールも商売だから仕方がないという見方もできるのだが、ある程度は痛みを伴う改革を進めていかないと、本当にこのままではジリ貧である。

 今後、どのような取り組みを持って安心して楽しめるパチンコを提供するのか、有言実行できるのか、当面しばらくは注視しておきたい。