国民の懸念が一向に収まらないことに危機感を抱いているというわけで、依存症の対策法案を先行して成立させたいようだ。関係者会議の設置が肝となるようだが、果たして世論は納得するだろうか。

自民党、公明党、日本維新の会の3党は、ギャンブル等依存症対策基本法案の修正に合意し、5月16日、共同で国会に提出した。一部報道によると、与党はカジノ解禁への国民の懸念が根強い現状を踏まえて、対策法案を先行させることを主張。先に閣議決定したIR実施法案の審議に先立って成立させたい考えだという。1月に提出されていた修正前の同法案は撤回された。

修正案では、日本維新の会が主張した関係者会議の設置を盛り込んだ。依存症対策を総合的に進めるため、官房長官を本部長とする推進本部を設け、医療提供体制の整備や社会復帰支援などの施策を国・地方自治体に義務付けるとともに、本部の下に関係者会議を設置。関係者会議は患者、その家族、専門知識を持つ有識者らで構成し、依存症対策の基本計画の作成や施策を評価の際には、本部は同会議の意見を聴く義務があると定める。

昨年秋の国会では複数のギャンブル(等)依存症基本法案が国会に提出され、その後、与党ワーキングチーム座長の中谷元氏(自民)らが中心となって、野党などに対してこの一本化を働きかけていた。関係者会議、野党案にはかねてから盛り込まれていたもので、一方の与党案では触れられていなかったことから、ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表らがこの設置を強く求めていた。

法案では、関係者会議の委員は20人以内で、ギャンブル等依存症である者等及びその家族を代表する者、関係事業者並びにギャンブル等依存症問題に関し専門的知識を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。~以上、web遊技通信より引用~ http://www.yugitsushin.jp/news/category/

 カジノ解禁はほぼ決まったようなものなので、後はどうやって反対勢力を納得させるかということになる。それにはまず依存症対策が急務ということで、この方向性は妥当なところだろう。特にギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子氏の要求がほぼ通ったことは、氏としても溜飲を下げたことと思う。

 後は世論次第になるのだろうが、ここまでやっても国民のギャンブルに対する嫌悪感はそう簡単には払拭できないだろう。4月の朝日新聞の世論調査だと、IR実施法案を今国会で成立させるべきかという設問に対し、「その必要はない」が71%にも上っている。

 パチンコもそうだが、一旦染み付いたイメージというものはなかなか払拭できないもので、こういったところは懇切丁寧に説明していくほかはない。間違っても、強行採決まがいに法案を成立させてはならない。