一般社団法人RCPG(Resourceful Center of Problem Gambling リカバリーサポート・ネットワークの西村理事らが中心となって、昨年秋に設立)が「全ての関係者に絶対知ってほしいギャンブル依存問題の全体像」というタイトルで、法人設立後初めてのセミナーを開催した。

━━セミナー冒頭の基調講演で西村代表理事は、「ギャンブリング」という用語の定義が多岐に渡ることから、このズレでもって調査結果が比較できず、実態把握や対策目標の設定で大きな障壁となっている問題点を指摘。最近になり、薬物やアルコールの依存の考え方にとらわれず、プレイヤーの行動や問題、さらにはその経過を観察し直した結果、「Problem Gambling(問題のあるギャンブリング)」の実態や影響の全体像が浮き彫りになってきたとし、世界の研究者の考え方や対策に変化が生じてきている状況を解説した。

その上で西村代表は、今回のセミナーのタイトルに掲げた「Responsible Gaming(責任あるゲーミング)」の概念を説明し、本来、賭け事を楽しむ人の一部がこれにのめり込み、さらにその一部が問題あるギャンブリングになるのは個人の責任範囲の課題だが、賭け事を商業化することによって事業者の責任が問われ、事業の認可を行ったり税収や国民の義務と関連付けた場合は行政の責任が問われるという基本的な図式を解説した。そこで問題が生じた場合、これまでは行政の指導や規制強化で問題の収束を図る引き算的な対応が主となっていたが、世界的にはゲーミング産業の社会的な存在価値を向上させ、安全に遊んでもらうための働きかけや地域の産業として持続的発展に向けた取組みに変化していると述べ、「問題のあるギャンブリング」から「責任あるゲーミング」に対策の焦点がシフトしている流れを示した。また、日本でこれに取組む上でのポイントとして、民間による自主的な展開や、規制とは違う発展的思考や科学的根拠の必要性を例示。現在の遊技産業の取組みの一部は、すでにこうした「責任あるゲーミング」に沿った対応になっているとし、今後は持続性の視点を取り込んで産業文化に発展させることが課題だとした。━━以上、遊技通信webより抜粋 http://www.yugitsushin.jp/category/dantai/

 西村氏が指摘する、━━賭け事を商業化することによって事業者の責任が問われ、事業の認可を行ったり税収や国民の義務と関連付けた場合は行政の責任が問われる━━というのはまさに正鵠を射ている。ただし、この業界は何か問題が生じた際は事業者、すなわち業界側のみが一方的に責任を取るケースがほとんどで、許認可権を握っている行政が何か責任を取ったという話はほとんど聞かない。例えば射幸性が著しく高い機種、のめり込みを助長するような機種、それらを右から左へ素通りさせてきたのは間違いなく行政側である。こういったところは昔から何ひとつ変わっていない。

 また、氏は今後は指導や規制の強化だけでなく、民間による自主的な展開や科学的根拠の必要性にも言及しているが、確かに単に打ちに行く奴が悪い的な自己責任論や、業界が悪い=規制強化論では何も解決しない。責任あるゲーミングとはいささか大仰とも言っていいだろうが、RCPGの今後の活動に注目しておきたい。