私は争いごとが嫌いです。仮に誰かとトラブルが起きたとしても、自分が一歩退くことで事態が丸く収まるのならそれでヨシとする性分につき、よほどのことがない限り何かに憤りを感じても自分の中で消化してしまうんですけどね…。

 

先日、すごく腹の立つことがありました。

きっかけは私のケータイにかかってきた1本の電話です。

私は知らない番号からかかってきた電話には出ません。電話を取ったら何だかよくわからないアヤしい勧誘で、貴重な時間を浪費させられた経験が何度もありますから…。それで、相手がメッセージを残してくれていて、誰だか確認できたのなら折り返す…ということにしているんですけど(メッセージを残してくれない相手は何かの業者か迷惑電話だと考えて完全スルーします)、先日かかってきた電話は留守電に「○○社○○編集部の○○と申します」と礼儀正しく名乗った上で、「ドラゴン広石さんにお仕事をお願いしたいんですけど…」というメッセージを残していました。

このとき、私は風邪をひいて声が出なかったため、ショートメールで「大変申し訳ありませんが喉の調子が悪いもので、具体的なご用件はメールにてお願いいたします」と返信しました。もちろん、パソコンのアドレスも一緒に送信しましたよ。すると、それからしばらくして「ライターさんを掘り下げる旨の企画を考えているんですが、アンケートにご協力をお願いできませんか?」というメールが届きました。

なんだ、仕事じゃないじゃん…と思ったけれど、せっかく電話をくれたのだからと承諾しました。もしかすると、いずれ何かの仕事に結びつくかも知れませんからね。

ところが、送られてきたアンケート用紙を見てびっくり。「ライターとしての月の収入はいくらですか?」とか、「その収入で生活できてますか?」とか、「兼業としてバイトなどを行なっていれば、具体的な時給も教えてください」とか、ちょっとこれはどういうつもりなのよと、アンケートを作成した編集者の社会常識を疑うような内容だったんです。だいたい、これまで一緒に仕事をしたこともなく、面識すらない相手にこんな失礼なアンケートを依頼しますかね、普通?

それでも、一旦は協力すると答えてますから、渋々ながら記入して返送しましたよ。もちろん、具体的な数字ではなく「○○が○個ぶんくらい」みたいにぼかして。非常に不愉快なアンケートだけど、これで義理は果たしたと、そう思ったんですけどね。

 

数日後にサムネが送られてきました。先日のアンケートをもとにページを作ったので、そこにコメントをお願いします…という、今度こそ本当に仕事の依頼でした。

だけどね、そのサムネを見て、アンケートのとき以上に驚愕しましたわよ。ページの上部には、いわゆる“人気パチスロライター”さんの写真がズラリ並んでいて「こんなライターばかりじゃない」の文言が…。そして、その下には私を含む数人の“あまり売れてないライター?”の名前が挙げられ、「俺たちの叫びを聞いてくれ!」というキャッチが踊っています。さらには、先述したアンケートをもとにしたと思われる、下段に並んだ数人の赤裸々な現状がぶちまけられていたんですよ。

それを見た瞬間にブチッとなりましたね。いや、確かに私は売れない低収入ライターですけど、それが悪いのかよと。人気がなく貧乏なことが誰かに迷惑でもかけているのかよと。それに、貧乏なライターをいじって笑いを取ろうという狙いが垣間見えて不愉快極まりない。そんな上から目線で見降ろすお前はいったい何様だと、そんな風に思いました。てゆーか、私と同じ枠に並べられてしまったライターさんたちは、こんな失礼なサムネを見て立腹しないんでしょうかね?

 

結局、私は次のようにメールにしたためて返信しました。

「こんな失礼なページのためにアンケートに答えたつもりはありません。ネームは拒否します。もう二度と連絡しないでください」

…あれから2日、ようやく気分的に落ち着いてきたんですが、ガイド3月号の原稿書きで忙しい時に心を乱されてすげぇ迷惑でした。たぶん相手からは「シャレの通じないめんどくせえジジイだ」と思われてるでしょうけど、私はそれでいいと思います。