打ち手が考える「甘い機種」とホール側にとっての「甘い機種」に、大きな認識のズレがあるのは読者の皆さんもおそらくご存知でしょう。今回はその「認識のズレ」について考察しようと思います。

パチスロに「絶対に勝てる機種」は存在しません。もちろん、セット打法などの攻略法が通用する機種ならその限りではないのですが（過去には実際にありました）、今は純粋に「高設定ほど勝ちやすく低設定だと勝率が低い」と考えて間違いありません。いわゆる最高設定の6であれ、勝率が80％を超えるくらいの機種が普通じゃないですかね。しかも、この80％の中には「差枚数で＋1枚」という最低サンプルも含まれるため、日当という観点からは話にならないプラスであることも多いし、非等価交換の地域では交換ギャップによる負けも生じます。

とまぁ、こういった大原則があるにもかかわらず、プレイヤーは「甘い機種」と聞くと、座っただけで大勝ちできる夢のような機種を想像しちゃうんですよね。そんなん、絶対にありませんって。

一方、ホール側が考える「甘い機種」とは、客からぶっこ抜こうとオール設定1にしても、あまり利益が上がらない機種のことを指します。その代表例がゴッド凱旋です。凱旋が甘いなんてそんなわけあるか！　とご立腹の方もおられると思いますが、凱旋は5号機の中でもホール側があまり利益を取れない事で有名な機種なんですよ。なぜなら事故が多いから。偉大なのは設定不問の爆裂役…すなわちGOD揃いの存在で、これが頑張って働くと一瞬で店側の利益が飛んじゃうんです。凱旋で確実に回収するにはベタピンで放置するのが最も手っ取り早いんですが（設定1から設定1への打ち変えも天井が浅くなるのでNG）、この機種から客を飛ばしては営業が成り立たなくなりますから、店側も凱旋に関しては粗利よりも売り上げ重視で稼働させてるわけですよ。

 

以上の話を理解して頂いた上で、下に掲載したスランプグラフをご覧ください（ダイコク電機・パチロボのデータより引用）。さて、この機種は何でしょう？

うわぁ、エゲツない！　朝から全く良いところなく最大で5千枚も吸い込んで、最後にちょこっとお詫びの連チャンで千枚ほど戻しているのがわかります。これって、さぞかし波の荒いAT機…おそらく旧基準機だろうと誰もが思うことでしょう。

 

 

 

しかし、実は…。

驚いた方もおられるでしょう。なんと、フル攻略なら設定1でも機械割が103％にも達する、業界関係者の間で甘いと評判になっている「パチスロ ディスクアップ」だったりするんですね。

実はこの日、私も朝から隣の台で打ってたんですけど、この台を打ったお客さんは目押しがあまり上手ではありませんでした。でまぁ、いったいなぜここまで追いかけたのか不明なんですが、おそらく朝イチからポコポコとバケを引きまくっていたため、高設定と判断して打ち続けたのかなぁ…って。私は途中で帰りましたから、果たして最初のお客さんが最後まで打ち切ったのかどうかはわかりません（データは帰宅後にスマホでチェック）。だけど、甘いと言われるディスクアップでも、こんなに沈み込むこともあるんだと、そう知って背筋が寒くなりました。

ちなみに、この台のデータは以下の通り。

総ゲーム数　7935Ｇ

ビッグ　16回（1/496）

ＲＥＧ　19回（1/417）

ボーナス合算出現率（1/226）

 

ボーナス合算は設定1を遥かに下回り（内部確率は1/182.6）、REG出現率は設定6以上（内部確率は1/422.8）。ディスクアップの特徴として、同色ビッグは全設定共通299.3分の1。設定差があるのは滅多に引けない異色ビッグ（1/3120.8～1/8192.0）とREG（1/422.8～1/496.5）だけで、他にはチェリーとスイカ出現率に設定差があるのですが、この台は全設定共通の同色ビッグを引けなかったがゆえに大負けしたと、そういうふうに分析できます。

ようするに、いかに甘い台でも確率通りに引けないと酷い目に遭うんですな。実際、この台が見た目通りの低設定なのか、それとも同色ビッグの引き弱で負けた高設定なのかわかりませんが、パチスロに「絶対」はないということを理解して明日からの勝負に臨んで頂ければと思います。

というわけで、今回はこれにて投了！