その日は寝坊をして10時少し前に家を出ました

既に陽もそれなりに高い位置にあり、気温も上がりはじめていましたが、軒先の紫陽花が軽く揺れる程度には風が吹いていて、すこぶる気持ちの良い朝?です

駅へ着くと、向かう電車の発車時刻まで15分ほどと電光掲示板が教えてくれているので、のんびりとホームへ降りてゆき、待合室のなかへ

そこのベンチには、先客としてご高齢の夫婦がいらっしゃいました

白いレースのカーディガンに、淡い色合いの花が散らしてある薄手のスカート、綺麗に纏められた白髪、ニコニコと小さく笑っているだけで不思議とそこの空間が軽くなるような、柔和な雰囲気の奥さん

ピンと背筋を伸ばし、糊を強めにきかせたシャツにスッとした形の登山帽、高級品という感じではなく、きっと長年大事に扱ってきたのであろう深い艶のある杖を片手に外を眺めている、端然とした佇まいの旦那さま

見ていて気持ちの良い、大変初夏の似合うご夫婦です

ポチは、二人の醸し出す空気をみださないよう待合室のドアをゆるっと閉め、しずかにスマホを眺めておりました

そんなおり、突如、

「うおぅ!!」

と奇声を発する旦那様

手にした飲み物を少しだけ掲げ、目を丸くして眺めまわしています

「あら、どうしたんですか」

これといって動じることもなく優しく訊ねる奥さんの雰囲気から、何かが起きたわけではないことが読み取れます

きっと普段からこのお父さんは構ってほしくて大仰に反応する可愛いお人なのでしょう

聞き返してくれる奥さんの反応に気を良くしてか、物足りなくてかはわかりませんが、奥さんの声に応じることなく、もう一度アルミのボトルを口に運んで

「う、うおぅ!!!」

と驚いていることを、より人に伝えるための反応を繰り返しています

せかすでもなく、ニコニコしながら見守っている奥さんの方へ、手にしている爽やかな黄緑色をしたボトルを向ける旦那様

「いや、お茶と思って買ったんだが…」

 

 

横目でみていたポチは思わず吹き出しそうになりました

「あらあら、それじゃあ新しいのを買ってきましょうか」

ふふふ、と笑いながら奥様が訊ねるも

大旦那さまは、珍しいものでも見るように、そのメロンソーダのボトルを右から下から眺めまわし、

「いや、いい。」

「これはこれで…おいしいな」

と、また一口飲んでは、「うおぅ!!!」と小さく体を跳ねさせていました

 

ポチが抑えきれない笑顔を隠すため、明後日の方向を向きながら、都度都度、心の中で大旦那様に突っ込みを入れていると、通勤時間から外れているためか、誰にも追われることなくのっそりとホームに電車が到着

こんな穏やかな気持を下さったお二人を、ポチは(絶対にわからぬよう)膝の上で小さく手を振ってお見送りしました

そうしてその後、近くの自販機を探して撮った例のメロンソーダの写メが先ほどのものです

 

ぽちのパチンコライフは今週も平和でした

 

負けましたけど

 

6/10~16 36h -46000円

運動(週合計) 腹筋390回 ジョギング26分 ドローインちょっぴり
6/16 (超空腹) 体重59.1 体脂肪18.2 w84.5