これも時代と言ってしまえばそれまでかもしれません。

 

しかし、どうしても許せないというか暗澹たる気持ちになった先日の稼働内のヒトコマ。

 

その日はいわゆる全体イベントでスロの高設定を狙いに行き、諸々の状況から特定の機種に必ず設定6が入ると踏んでいました。そのお店には常連の「これで食ってます」感バリバリな方も多数いて、かといってそこまで突き詰めている感のある人もおらず、その機種に必ず入る、と確信して立ち回るようなのはボク一人という状況。

 

かといって、そんなに簡単なお店でもないので、機種までは絞れてもその中のどこに設定6が入るかまでは読み切れていない中、朝から一人でひたすら掘り起こしていました。すると……

 

「どうすかそれ?調子いいんすか?」

 

「ビタ押しの画面とかどんな感じでした?」

 

「(ボクが止めた空き台を)これどうすか?クソでした?」

 

とまぁ気軽に聞いてくること計三人。

 

聞いてくるまではいいんです。そら、自分がお金を使って得た情報なわけですからそう簡単に渡すようなもんでもないんですが、このぐらいの歳になってくると、そんなところでウルフ感出して「はぁ?なんでテメエらに教えなきゃいけねえの?」なんて説教かますのも面倒なだけなんで、それなりにありのままをお伝えしてあげるわけです。

 

が、問題はここから。

 

 

ありがとうの一言も言えないってどういうこと??

 

 

そのお店の常連さんは、兎にも角にも怖がっているんです。低設定を打つことを。でも、今のパチスロなんて自分で打たなきゃ分からないような情報が一杯あって、そこへの投資はお店を知るための必要な投資。そこから先に読み切れる確かなものがあって、そうするが故にこの日のように他者が読み切れていない設定6に辿り着けるわけです。そして、仮にそれが失敗だったとしてもそこから自分の血肉になるものがある。それは外から見てて分かるもんではないんです。

 

でもね、お店からのアシストだけを待ち、ひたすら打たずに徘徊したり、休憩所でスマホゲームに没頭してたり、あげくに美味しいとこだけ他者から情報をかっさらう。何のリスクも負わずに得だけしようとするその姿勢。

 

そんなやり方で自分が成長できると思ってんのか、と。まして、そんな礼節を欠いた相手に本当にこちらが正確な情報を伝えてるとでも思ってるのか、と。だから君らは通い始めて間もないボクに先を越されてしまうんだ。君たちの方がこの店は長いはずなのに。

 

 

少し飛躍するかもしれませんが、ネット社会の弊害だと思います。なんでも自分は分かっている。自分は上手いことやっている。知識先行でそう思っている人ほど、本当に大事な核の事は何も分かっていないんですよ。あまりにも「人」というものを軽視しすぎじゃないか、と思うわけです。

 

先日、安田さんが田山さんのことというコラムをアップしていましたが、そこで書かれていたように田山さんが今の時代で生き残っていけるかと言えばそれは分かりません。打ち子を雇い、引き子を雇い、お店にもお客にもこれ以上なく配慮しない形で自分の期待値だけを最大化するようなやり方で稼ぐ人間が確かに今は正しいのかもしれません。

 

でも、じゃあパチプロってなんなの?という問いに対しての明確な答えを田山さんは持っていたと思うし、「何をやったって稼げるやつが偉いんだ」という姿勢に理解を示しつつも我が道を行くのが田山さんだったのではないかと思います。

 

そういった矜持があるから一定部分認められてきたのが「パチプロ」ではないんですかね?

 

パチンカスだのスロッカスだの社会の人からは言われて当然だとしても、勝つためだけ、自分のためだけ、その為なら何をしたって構わない、そんな思いでやってきた人ばかりだったら、社会の極一部でとは言え他者から認められることは無かっただろうし、そこに惹かれる人もいなかったはず。同じパチンコ・パチスロをするプロではない人たちからも尊敬を集めるのは何故か。その違いがあるはずです。

 

ボクは東急田園都市線青葉台駅近くの今は亡きビッグスペースというお店で晩年の田山さんをお見かけした程度です。もしかしたら会えるかも……とそのお店に通うこと数日、本当に会えて、でも話しかける事もできなくて、隣でUFO伝説を打てた事が今でも大切な思い出です。2.5円交換だったそのお店で、田山さんは雑誌にある通り本当に夕方には切り上げていきました。

 

ボクは4号機がバリバリに盛り上がっていた時代に育った世代ですから、田山さんに憧れは抱きつつもそんな格好いいスタイルを真似してこれた訳ではありません。しかし、田山さんしかり、安田さんしかり、「パチプロ」を誇らず、驕らず、それでもこれが自分の道だ、と進んできた先人たちを心の片隅に置きながら近づいていこうとはしてきました。ただでさえ社会にとっては迷惑な存在であるからこそ、せめて同じ空間にいる人たちには礼と感謝の気持ちをもって、その場その場を大切にしていこうと思いながらやってきました。

 

そういう矜持を得る機会そのものが、雑誌を読まず、ネットで勝ち方だけを覚えた子たちにはないんだろうな、とパチプロのタブーを平気なツラで冒してくる若者たちを見て思うわけです。だからあえて辛辣なタイトルを付けました。ボクらなんてみんな社会の野良犬みたいなもん。だとしても、せめて凛とした野良犬でありたい。ボクはそう思っています。

 

パチスロで高設定をどこに入れるかを読むのも対店長との人と人。確かにライバルだけれども現場のプロ同士空気を読みあうのも人と人。その中での礼節は、パチンコ・パチスロで食わせてもらう者として最低限忘れてはならないと思いますよ?

 

自分に胸を張って生きたいならね。