高い連チャン性能を持った現金機が問題視され、業界はCR機の導入に腐心する。やがて後々問題となるCR花満開が設置台数を伸ばし、CR機時代が本格的に到来することとなる。その頃、G誌の関係者御一行は台湾に赴く。主な目的はブームとなりつつある台湾現地でのパチンコを視察、体験することであった。
―台湾パチンコって、今でも普通に営業しているんですよね。ただ、法的に賭博行為が違法と見なされるので、換金はできないようですが。
もう記憶があまり定かではないのですが、僕が行ったのは確か93年か94年あたりだったと思います。今はどうなっているのか分かりませんが、換金は日本のパチンコ店と似たようなシステムで可能でした。脱法行為をうまくすり抜けるやり方だったのかもしれませんが、まあ良く同じようことを考えるものだと感心した覚えがあります。ただ、そういうことよりも、ギャンブル性の高さには驚きましたね。
―日本で設置されているものと比べて、普通に中身が違っているとか?
そうですね。明らかに初当り確率を落とし、連チャン性能を上げたものばかりでした。ほとんどの機種は日本で活躍していた現金機で、大当り図柄で連チャン数が決まる機種が多かったように覚えています。
―偶数で単発、奇数で連チャン、7図柄だと大連チャンとか?
いや、単純に当たり図柄の数字の数で決まっていましたね。111なら単発、999なら9連チャンとか、そんな感じでした。
―分かりやすいと言えば分かりやすいですね (笑)。
ハンドル固定は当たり前 (太い輪ゴムが用意されている)、掛け持ち遊技も黙認、深夜営業当たり前、あと驚いたと言うか、これはマズいだろうと思ったのは、明らかに玉の打ち出しスピードが速いんですね。
―確か日本の法規では1分間に100発と決められているんですよね。
そうですね。厳密に言えば1分間に400円を超えないようにしているから結果的に1分間に100発が上限となるようですが、日常この感覚に慣れている人間からすると、台湾パチンコの打ち出し速度は異常でした。1分間に120発以上は発射されていたと思います。それで前述のような連チャン性能を持っている、おそらく初当り確率は相当低かったはずです。
―Aさんは当たったんですか。
ダービー物語で大当りしたのを覚えています。確か図柄は6だったかな。その数字の通りに保留玉で連チャンしました。ちなみに僕が行った店は中規模店で、客数もまばらで、特に繁盛しているようには見えませんでした。事前の情報では鉄火場のような雰囲気で、熱気にあふれているといったような、そんな話もあったんですけどね。あと、改造された機種ではなく、正規に台湾オリジナルの機種をSANKYOが販売していた時期もあったように覚えています。また、未確認ですが、一時期は日本でチェーン展開していた大手店舗が台湾進出をしていたという話もあります。
―今でもYouTubeなどで台湾パチンコやパチスロの実戦動画とか普通に見られますけど、裏モノだの、爆裂だの、そんなキーワードばかりです。
健全に発展しているかと問えば首を傾げざるを得ないですよね。換金行為は違法だし、僕が行った頃のような、合法的にパチンコ店というカタチで営業しているところはほとんどないでしょう。換金できないゲームセンター形式か、はたまた摘発上等で非合法的に営業しているとか、そんなところだと思います。日本だって、いつまでも今のような状況でいいわけはないですよね。初心者の人にパチンコを教えても、いざ換金となるといきなり敷居が高くなって、一緒に交換所に行ってあげないと不安になったりする。どうしてこんな仕組みになっているのか聞かれても、うまく答えることはできないです。
―それは確かに。
3店方式だとか、合法だとか、そんなことを言っても、店内で換金すればいいじゃないのと言われるのがオチです。以前はメーカーやホールの方でもこういうことを真剣に考える人がいたんですけど、現状を鑑みると、やっぱり少数派なのかなと思ったりします。今回は台湾パチンコから始まって、何か真面目な話になってしまいましたが (笑)、スマパチもスマスロもLT3.0プラスもいいですけど、パチンコ業界の社会的立ち位置を真剣に考え、機械の射幸性の問題やグレーゾーンと言われ続けている換金システムに本気で取り組まないと、本当にこの業界は縮小する一方だと思いますね。


