12月から『スーパーリノXX』の導入が始まっています。全国的な稼働は……あまりよろしくない模様。6号機でもリノシステムは健在なんだと喜んで打たれたマニアの方も「何かが違う」と思ったことでしょう。

面白いか面白くないかと言ったら、面白いとは思います。ただ、2015年の『リノ』や。2016年の『スーパーリノMAX』が残っている状況で、優先して選ばれるのは難しいのかな。『スーパーリノXX』が再評価されるのは、先代2機種をハズさなければならなくなった時なんじゃないかと。

バラエティコーナーで一定の支持を集めるシステムですからね。5号機と違って検定切れや認定切れの問題もずっと先になります。長く設置し続けられるのもメリットでしょう。導入を見送ったホールも、値崩れした中古市場で数台入れるのも悪くない選択だと思っています。

 

○机上の論理としては、ぬかりなかった

『スーパーリノXX』の問題点は、BIGの枚数が少ないこととトマトチャンス(特殊1枚役成立時の3択)の確率が下がったこと。導入前の短時間試打では、さほど問題にならないと思っていました。

BIGの枚数は減りましたが、トマト揃い1回の期待値は約605枚。『リノ』とほぼ同じ数値です。トマトチャンスの確率が下がった分は、ベース(50枚あたりの回転数)がアップすることによって、消費金額はほぼ同じとしています。こうやって数字を並べられると、同じように楽しめそうだと感じます。

 

しかし、実際にホールで打ってみての体感は同じではありませんでした。BIG枚数の少なさは、同じ枚数が出るならばより多くの当たりパターンを楽しむことができますが、陥落のピンチにヒリヒリすることも増えます。陥落率が大幅に下がったとはいえ、落ちる時は簡単に落ちます。そんな残念パターンは記憶に残るので、同じ枚数が出るような気がしなくなるんですね。

また、トマトチャンスまでの消費金額が同じでも、そこまでかかる時間は増えることになります。前の『リノ』を打ち慣れているばかりに、トマトチャンスの少なさから低設定を打たされている気しかしないのです。

機種は何でも構いません。1パチや5スロを思い出してみてください。ハマリ抜けまでにかかる金額は1/4になります。でも、ハマリのイライラまで1/4になりますか?

ホール関係者は、営業時間や勤務時間が変わらないので、ユーザーのイライラが1/4になっていないことは気が付きにくいものです。そして、客滞の割に売上が取れないと締める傾向になっています。

こういったホール・メーカー側の打算と、ユーザーの感覚との乖離が『スーパーリノXX』で露見したということでしょう。ただ、これはこの機種に限った話ではなく、これから6号機が抱えていく課題です。出玉率の幅など、設計部分は遊技機規則で定められていますから。

 

○6号機の課題

パチスロの出玉設計は“三すくみ”の関係となっています。「ベース・初当たり確率・一撃性」です。全部を合わせて100にする。どこかを削って、どこかに上乗せ。強い部分は持てて1つです。

5号機以前は17500Gの長期出玉率のみ下限も設定されていましたが、400G・1600G・6000Gの各段階(悪いところ取り)でも上限と下限が設けられました。これにより、ベースを下げることはより困難となりました。AT機はもっと。1Gあたりの純増を高くするほど、小役の確率がアップするのでベースは削るどころか高くなります。

 

ベースを削れないならば、初当たりと一撃性の部分しかいじれません。『HEY!鏡』は、疑似ボーナスを初当たりとユーザーが捉えたから成功例となりました。これがATに入ってナンボだから……というユーザーが大半であれば、重い機種とそこまでの人気にはならなかったでしょう。ヒットするかしないかは、微妙な部分がどう受け取られるかなのです。

5号機の時と消費金額が同じだから大丈夫だろう……ではなく、身銭を切って打った時の感覚をどう取り込むのか。それが各メーカーの課題になっていくような気がしています。バランスを取ったような『スーパーリノXX』でも感じてしまうのですから、まずは一撃性重視と遊びやすさ重視と。まずは両極を作って欲しいかな。そんなことを考えながら打っております(笑)。

ま、設定推測要素は低設定否定ばかりなので。3年以上使って機械代を回収するような長い目で遊ばせてくれることをホールさんにはお願いしたいです。6号機はそんなんばっかりになると思います。機種の魅力だけでどうにでもなる時代は、とっくに終わっています。