所変われば、何とやら…と、いうわけで。前回に引き続き今回も、「パチンコ店における地域格差」に驚いたり戸惑ったりした昔話を、綴らせていただきましょう。

ライヴツアーなどで頻繁に東京を訪れ、本番までの待ち時間とかオフの日などには、ほぼほぼパチンコを打って暇を潰していたのですが、前回も話したハネモノの「その時点での客の持ち玉ではなく、台のトータルの差玉個数」で打ち止め終了となるシステム以上に「えーっ、マジでーっ!?」と驚いたのが、換金…あ、失礼。景品交換所です。

前回登場した、滞在先の近場のお店の場合は、知人から場所を聞いていたので戸惑うことはありませんでした。しかしある日、池袋の繁華街にある店で打った際、「事件」は起こります。

何を打って、どれくらい出たのか。残念ながらそういう肝心なことは思い出せないんですが、ともかく出玉を交換し、景品を手にしました。しかし、交換所の場所が、わかりません。

「これ、どこですか?」

カウンタ嬢に、訊ねました。ところが彼女は、素っ気なくこう返してきたのです。

「教えられないので、他のお客さんに訊いてください」

なんじゃ、そりゃ。

仕方なく、カウンタそばの裏口を出たところで待っていると、景品を両手に抱えた中年サラリーマンが出てきました。大勝ちしたのか、ほくほくな表情です。

気づかれないよう、少し距離をあけてついて行きました。まぁ、気づかれたところで、こっちも景品を抱えているわけですし、別にいいんですけど。

で、裏路地をしばらく進み、角をひとつふたつ曲がって…ってな感じで、3分ほど歩いたでしょうか。古ぼけた、怪しげな雑居ビルに、辿り着きました。彼は、迷うことなくすたすたと階段を上がって行き、1分ほどしてお金を数えながら降りてきて、ネオンはためく夜の街へと消えて行きました。

さぁ、いよいよ自分の番です。2階に上がると、そこにあったのは「(有)○○商事」と記された小さなプレートが掲げられた、事務所のような一室。開け放たれたドアから中を覗くと、玄関の脇に受け付けのようなカウンタがあり、内側に小太りのおばちゃんが座っていました。

「景品はココに置いてください」

そうマジックで殴り書きされたトレイに景品を置くと、おばちゃんはそれを持ってパーテーションの向こうに消え、しばらくすると戻ってきてトレイをカウンタの元の位置に戻しました。トレイの上には、「景品の対価」が置かれていました。

無事に交換でき、ほっとしました。すると、「もーっ。なんで、店からこんなに遠いねん」という、疑問というか腹立たしさというか憤りみたいなものが入り交じった感情が、ふつふつと沸いてきたのです。

戦後、いちはやく三店方式を確立・導入した大阪をはじめ関西では、たいていホールの直近のわかりやすい場所に、きわめてわかりやすい形態で、交換所が設置されています。だから、それが当たり前のことだと思い込んでいたんですね。ところが、東京はそうじゃなかった…と。

いまでこそ東京の交換所も、わかりやすい場所にわかりやすい形態で設置されてたりしますが、二十数年前に健全化される前は、総じて店から少し離れた非常に分かりにくい(というか、怪しい)場所にあって、初めての店なんかだと、ほん…とに戸惑うことしきりだったのです。

インチキな交換所に案内されて、ぼったくられたこともあったんりしたんですが…はい。それについては、次回お話ししましょう。

では…再見!!