~はじめに~

当コラムのお話を安田プロから最初にお聞きしたのは、実は一昨年も前の暮れの事でした。
当時はサイトも創成期で、懇意にさせて頂いてはいたものの、業界での足跡や繋がりを考えれば人選には事欠かないであろう彼の立場を考えると、私にとっては雲を掴むような気持ちであった事を憶えています。
しかしそれから約1年と半年…その後も熱心に声を掛け続けて下さり、心動かされ現在に至ります。

「ライターを名乗るならば、人を惹き付ける文章書いてナンボでしょ」
この業界に籍を置いてから、そんな古めかしい矜持をずっと持ち続けています。
私はツイッターで月に数回、オンタイムで稼動日記を上げているのですが、文章にこだわりを持つ先輩ライターさんに少しはそんな部分が評価されたのかな…と思うと光栄です。

今後しばらくはツイッター上で先に発表した稼動の『まとめ』+【悠遊道特別コラム】という形で更新させて頂く形になりますが…特にコラムは古参パチンカーとしての経験を活かした内容を綴って行きたいと考えておりますので皆様よろしくお願いします。

パチンコ必勝ガイドライター
     レイリー

【2018年3月29日(木)の稼動】

☆7:01☆

暖かな匂いがする

トーストの上に落としたバターのように
太陽が空に溶けている

吐息の白は透明になり
冬の終わりをそっと囁く

気付けば……春

遠くで鳥が、歌っている

車のエンジンをルルルと回す
「旅はまだかい?」
彼はご機嫌だ

さぁ行こう
今日も、負けられない。

☆7:51☆

白い壁に木の柱
静かに流れるオルゴールのBGM…

いつもの珈琲店で
“パンサラモーニング”
を注文後、そっと目を閉じ…深呼吸。
『朝の独り作戦会議』に興じる

今日の作戦は
“フットワーク至上主義”

早い話が「幾つかのアテは有るので足で稼ごう」ということ

台の見切りが勝敗を分けそうだ。

☆9:00☆

K市D店
殆ど並びの無い店に5分ほど並んだ後、入場
お目当ての009を確保し店内を一巡り

“木を見て森を見ずは後悔の始まり”

私のパチンコ辞書には、そうある
先ずは打つ前に場を見極める事から始めなければいけない

ふむ……場はそこまで悪く無い
傾奇者の面構えが妙に良いのが気になる所だ。

☆11:08☆

入場時押さえた009は右がダメンズ、次点の明菜は左が腐女子につき、一瞬D店を離れ近場のC店を見に行ったものの収穫は無し
ならば傾こうか…とD店に舞い戻り『戦(いくさ)』に突入

開始早々、32回転目にテンパイしたのは何と…7‼
やはり天下の傾奇者!

しかしその後は小康状態。当たるも中々連に恵まれず…
現在の持ち玉は1500発

さぁ、どうする?

☆13:34☆

回りの手応えに力押しを決め込むも、一時3000発まで届いた持ち玉が消滅してしまった
だがこの間2000発での抜き打ち計数では216回転…つまり、千円27回
右の増減が若干気になるが回りは十二分に足りている
上ムラだとしても25回は有りそうだ

“当たりを追うな、回りを追え”

私のパチンコ辞書には、そうある
諦めるのはまだ早い

勿論、追い銭だ。

☆15:41☆

持ち玉消滅から追い銭2,000円で次の当たりはやって来た…が、単発

「レイリー殿!お待たせ申したぁ‼」

傾奇者が待望の10連をもたらしたのは、250発弱の持ち玉が奇跡的に繋がったその直後の初当たりでのこと

その後も早い当たりを重ね、現在の持ち玉は6000発

回りも全く落ちていない
視界は、良好だ。

☆18:20☆

一応の持ち玉も出来、束の間の食事を済ませ店に戻ると

「レイリーさん!」

と、聞き覚えのある声が…
声の主は高知の友人“ひーくん”
こちらへ遊びに来ているらしい
気を利かせ、差し入れを置いて去って行った
ありがたいねぇ…

彼が差し入れてくれたコーヒーの力は素晴らしく、その後慶次は13連の大傾奇

現在持ち玉は12000発
早くも、勝ちが確定した。

☆22:27☆

随分更新の間が空いてしまったな…
けれど先刻ご承知の通り、回りに関しては「かなり足りている」台ゆえゴールまで持ち玉は右肩上がりに増えてゆくのみ…

“回る台に勝る台、無し”

私のパチンコ辞書には、そうある
これがパチンコに於いての唯一無二の必勝ロジックだ。

GET 49,750 $

さぁ酒…いや、反省会だ!

☆23:06☆

都会のど真ん中で人だかりが出来ているので「何かな?」とよく見てみれば……桜
もう少し暖かかったら夜桜見物がてらの一杯…なんて風流なのだが、夜はまだ冷えるねぇ

さて、反省会
「今日自分がどんなパチンコを打ったのか」
を大まかにでも知る事はとても大事

明日、勝つために。

まず、今日の立ち回り

95点

・低交換店のチャンス日を朝イチで狙ったこと
・近場の店も見て結論を出したこと
・回る台を掴み、結果を出したこと
辛めに見てもかなり良い部類だと思う
朝の作戦も、好日当で終日打てる台が見つかったのなら無用というもの

勝つ時にこそシンプルな立ち回りが多いのは、勝負の常だ。

次に、台の正体
本日打った台は

“CRA 花の慶次〜雲のかなたに〜XN-K”

回転率 25.8
電サポ増減 0
等価ボーダー +6
時速差玉750発程の優秀台

結果は出木杉君だが…甘デジの終日遊技だと高確率で1万発近い出玉にはなる計算で、そこまで運に恵まれた訳でも無い
勝ちは、当然の結果だと思う。

反省は、ここまで。

今回の余談は今月(3月)珍しく編集部から2度も依頼のあったデータ採りの話

私は滅多にデータ採りをしないのだが、それでも年単位では2〜3本のデータ採りの依頼を受ける
そこでいつも思う事が1つだけ有る
それは

「ガイドでデータ採りから入って、しかも残ってる人って…凄いな」

ということ

他誌のシステムは知らないが、ことパチンコ必勝ガイドに限れば勝とうが負けようが、データを上げるまでは全てライターの「自己責任」となる
ゆえにデータ採りで負けてばかりでは破産するし、現にそれで去った人もいると聞く

「下手クソでは、とても務まらない」

という訳だ。

「厳しい世界」

一言で言ってしまえばそれだけだが、昔ならば新人はそこから編集部や読者の信頼を勝ち取って行ったのだろうと思う

良いデータを読者さんに届けたいが為に徹夜で並んだり、勝つまで通ったり…誌面の片隅に載る実戦データは、実はライター達のプライドの結晶なのかも知れない。

ケ・セラ・セラ
明日は明日の風が吹く

【悠遊道特別コラム】
今回「余談」としてお話させて頂いたデータ採りについて、もうちょっと深く掘り下げた話をさせて頂きましょうか…。
「まさかそこまで厳しくは無いんでしょ?」
と思っている方々は、大間違い。

想像して下さい、殆どの場合そのデータは、「私が打ちました」と全国数万人が見る雑誌に顔写真付きで掲載されるのですが、そこに「また負けちゃいました…テヘッ!」なんて書いても“必勝”を謳う攻略誌では笑いのネタにもならないのです。

締め切りの都合上、特に先行実戦ライターに与えられるチャンスは1回か…2回、しかしそこに良台の保障などというものは一切有りません。
パチンコは盤面が見えるゆえ優れたライターさんは瞬時に日当を把握するのですが、例えるならば…朝座った瞬間にスロットで言う「設定3確定やん…」なんて状況もザラにありますし、そこから動けない場合は「ココ1番のヒキ」も当然必要になって来ます。

そんな状況下でも、負け続けてしまうライターはやはり編集部からの依頼が減るという過酷さ。
でも“必勝ガイド”という雑誌の価値や信頼はそこから生まれると考えるとそれは…必然。

私が知る愛知の直営店だけでも、
かつて1人でデータ採りに来ていたかおりっきぃ☆や、台に座れず直立不動で空き台待ちをしているゼットン大木さん、過酷な徹夜並びが連日に及びホテルに帰れずダンボールで寝ていたムム見間違い君、氷点下の中で雪に埋もれながら徹夜並びを貫き通したトラマッスル君…挙げればキリが無い程の『データ採りドラマ』を見て来ました。
中には徹夜で並んだものの入店し着席後に倒れてしまったり、軍団に割り込みを食らい続け3日連続で台に座れなかったり、徹夜並びの朝に寝ボケて転んで骨折してしまったり…の『報酬ゼロドラマ』もありました。

けれど全員、ちゃんと生き残っています。
なぜなら「少ないチャンスで素晴らしいデータを持って帰る」素敵なライターさん達だからです。

破産寸前や報酬ゼロ…当時は洒落にならなかった話も、今は昔。

時代の流れで「データ採り」の仕事なんて少なくなってゆくのでしょうが…パチンコライターになった方は華やかな舞台を夢見る前に、是非1度経験して頂きたい仕事でもあります。
表舞台で活躍されている有名ライターさん達が『今そこにいる理由』を、少しは感じる事が出来るのではないでしょうか。