前回のコラムに綴った「本店グランドオープンの失敗」からの「社長から直々の再建命令」。

今回は、その再建の為に奔走した猫店長のお話です。

※前回のコラムはこちらから。

新店の再建計画を実施

グランドオープン前からの予想通りに「失敗」と言わざるを得ない初動から2週間。

社長に呼び出された私に伝えられたのは「本店を再建せよ」との命。。。

そう、白羽の矢が立ったのだ。(正直なところ、グランドオープン前からこうなる予感はしていたが・・・)

再建にあたって、先ずは助っ人としてA氏(後輩で業界経験15年の友達、元店長)を、更にB氏(SNSで交流があった人)を入社させることに。

とりあえず、私が元々店長を努めていた「既存店」はA氏に託し、私は本店の再建に専念することに。

ちなみに、A氏に「〇〇さんは(猫店長の)彼女だから。」と言ったら、返って来た言葉は「じゃ~厳しくしないとな」でした。。。(苦笑)

内心「頼むよ~お手柔らかに。。」と思ったが言える訳もなく、むしろ裏返しのように「そんなの当たり前だ!」と強がりを言う私。

話は本店の再建に戻り、最初に手をつけたのは問題点の整理。

すると、まず思い浮かんだのが社長の顔。

とにかくこの社長は具体的な金額を言わない(と言うか、怖くて誰も何も聞けない。。。)。

具体的な赤字許容や数値目標も提示されていない状態ではあるものの、動かなければ何も始まらない。

社長は前述の通りの人物像ゆえ、前提がない中で何かを提案しても【承認印】ではなく【怒号】が飛んでくるかもしれない。

が、パワハラに免疫がある私勝手に再建計画を立案。

この時点で立てた計画は、大体以下の通りだったと記憶しています。

  • クリスマス当日(12/25)の時差オープン:3時33分開店
  • 4円パチンコを等価交換→3.33円へ変更(スロット、1円パチンコは変更なし)
  • 4円コーナーに遊パチを2BOX80台新設(中古で調達、バラエティ化)
  • 4円パチンコ新台を20台購入
  • スロット新台8台購入
  • 販促の大幅変更(高級志向の路線を捨てパチンコ屋の演出へ一新)

これら内容を書類にまとめ、社長に稟議を上げると、「いいよ!わかった、それで行こう!!」と、拍子抜けするくらいにあっさり即答にて承認

「おいおい、パワハラなんて1回も無いし、むしろ理解ある社長じゃないか!」と、この時は思ったのです。

また、再建計画が通ったと言う安堵感と同時に「もう、後戻りは出来ない・・・!今度失敗したら私が全責任を負う事になるんだ。」と言う緊張感と不安感が押し寄せたのは、言うまでもないでしょう。

ともあれ、計画を実行に移すために、準備を始めます。

と言うことで、着手したのは遊技台の手配。

新台は6回払いとし、中古機は馴染みの業者に拝み倒して特例で12回の手形にしてもらう事に。

調達の目処は立ったものの、毎月【銀行融資金の返済】、【各リース代金】、【グランドオープン時と今回の機械代の支払い】などの決済が伴いますので【(会社的には)本当に危険な賭け】ではあるものの、コンサル時代に培ったテクニックで「自信に満ち溢れた自分」を演出し「大丈夫」と押し切ったのでした。

※銀行融資は「シンジケートローン」と言い、大手チェーンが高額を調達する方式。また、複数の銀行が出資する協調融資の為、返済計画が狂えば大変な事になる。(しかし、当時の会社に思いの外与信があることには、素直に驚きました。)

2日間臨時休業で準備と休暇

資金繰りを終え、計画に沿った機種入れ替えを行う為に12月23日、24日の2日間は臨時休業に。

23日に全準備を終えることとし、24日は各種作業で疲弊した皆の英気を養う為(※私は彼女とのお泊りデートの為)の休みに。

23日の準備日、私とA氏(後輩の店長)の二人で4円全台の釘を叩き、再調整を行う事に。

そして、がっつりと開けられた「ぶっこみ&バラ釘(前回コラム参照)」は、結局私が戻す羽目に。。。(開けたと聞いた時から、こうなる予感はしていたが・・・。)

そんな調整作業の途中、社長が現れました。

社長「猫さん、明日はどのくらい出すの?」

猫店「300万円くらいです。28日くらいまでに累計7~800万円の赤字となる予定です。」

社長「そうだね、そのくらいならいいよ!その後はどうするつもりだ?」

猫店「29日~正月3が日はトントン~数%の利益、その後少しずつ取ります。海は1ヵ月くらい台粗-5,000円を継続、1月は概ね1500万~2000万円の粗利での着地を目指します!」

社長「それなら、既存店の粗利も有るから大丈夫か。それで行こう!」

と、社長は納得したものの、この会話で猫店長が並べた数字は「試算や予測に基づくもの」ではなく「その場で勝手に口から出た『いかにもな数字』」だったのは、ここだけのお話と言うことで。

※ちなみに、初日の赤字は330万と、あながち嘘でもなかった結果に(笑)

12月25日3時33分新たな船出

運命の12月25日。

開店前のスタッフのモチベーションも高く、また、経験上このような状態であれば5割以上成功に結びついており、そう言った意味では心不安の種は非常に少ない。

いざ、開店時間を迎えると、瞬く間に「ほぼ満席」となったのである。

あからさまなプロも多数居る様で、応援に駆けつけていた他支店の店長から「止め打ちを注意した方が良いのでは?」と進言が。

この問に私は「プロだってマナーが良い人はそれでいい。むしろ、そのプロが『ゴトが来た』と教えてくれることもある。プロが必ずしもデメリットであるとは限らない。プロの気持ちも判る。」と返したのですが、その言葉を横で聞いていたA氏が「猫店長自身がパチプロだからだよ」と、とんでも発言!

私は「な、何て事を言うんだ!」と思うも、周囲に居た数人の支店長達も大爆笑である。

 

正月明けに”間髪入れず第二弾”

高稼働と言う順風満帆な滑りだしから始まった再建計画。

ここで一気に集客拡大と固定化を成し遂げるべく、正月営業明けから直ぐに第二弾再建計画を実施!

その目玉として目を付けたのが、再販が決定した「牙狼」

販社の知り合いを(過去の恩義をチラつかせながら)拝み倒し、念願の30台導入

この第二段が効いたのか、予想より上々の稼働が続き、休業前と同位の「地域二番店」の座に返り咲いたのでした。

更に、この成功事例により、社長、先輩店長も私の事を認めてくれたのです。

※当該店は現在も営業盛況である為、数字データの公開は控えさせていただきます。

 

次の計画?

本店も軌道に乗り、肩の荷が下りた私の次の計画は「彼女が居る既存店へ戻る」こと。(笑)

本店の売り上げと同様に「帰りたい気持ち」も右肩上がりに推移しており、遂には社長に人事異動を提案。

これもまたあっさりと承認され、以下の人事発令により既存店へと凱旋する事になったのです。

  • 猫店長:本店 → 既存店(元の駅前店)
  • A氏(後輩店長):既存店 → 社として2番目に大事な店
  • 猫店長と喧嘩した先輩店長:社として2番目に大事な店 → 本店

この頃、A氏に託していた既存店は緩やかに稼働が落ちており、また、A氏は厳し過ぎたが為にスタッフから総スカンをくらっており、そんなA氏の下で働かざるうを得ないスタッフ達のモチベーションも下がっていたのでした。

この「社長と私の二人で決めた人事」ですが、数日後の店長会議で発表される前にこっそりと彼女にだけ教えたところ、「猫店長が戻るのが嬉しく&スタッフ皆が喜ぶだろう」と、黙っていられなかったようで、瞬く間に女子スタッフ全員に伝わってしまうことに。

勿論、A氏の耳にもその話は入ることとなり「何で店長の俺が知らない話をバイトまでが知っているんだ!」とご立腹。

流石に「申し訳ない」と平謝りをしたのでした。

 

紆余曲折あったものの、無事に既存店に戻った猫店長は「猫店長リターンズ」と題したプチリニューアルを実施し、既存店の稼動向上に着手します。

これが、結果として記録的な集客数を実現するも、その結果から私は天狗になってしまい、手を抜き始めることに。

更には、彼女との甘~い生活を楽しむも、それも稼働低下に直結。

そして、「人生最大の裏切り」を受け、会社を去ることになってしまうのです。

↓とうとう最後まで愛着が湧かなかった「本店」の一部スタッフと各支店長達。(猫店長は中央付近。)