ミリオンゴット導入2日目、全台設定6の天国モードスタート

16台の機械から、わずか3時間で12万枚のメダルが払い出された。

翌日から、店内は大盛況・・・

いとも簡単に万枚が達成され、連日出玉ランキングが更新される日々が始まった。

このミリオンゴット、モードの仕組みを理解してしまえば1日単位での設定など意味はない。

設定6でもAの無抽選、ストック0にしてしまえば簡単に利益が出るのだ、設定1でもDの天国モードにすればメダルを出すことも出来る。

十字キーを使って自由自在にモードを切り替える事が出来るその機能は、客側が見る事が出来ない設定変更時の画面を前に行われる・・・

そこにはストックの残数が表示され、現在のモードを確認すれば何連荘するのかも判る、さらにストックがある場合は、ボタン1つで本来払い出されるはずのストックを簡単に消し去ることも出来てしまう。

またストックを貯めたい場合は、打ち込み機と逆押しを使って必要なだけストックを補充することだって可能・・・

その性能は凄まじく、ありえないスピードで万枚が達成される反面、ありえないスピードで回収もされる悪魔じみた機械であった。

自分が転勤して来る前スロットの売り上げは1日200万あるかないか・・・
それをAT機・ストック機を導入し1日の売り上げが300万になり喜んでいた。

しかしミリオンゴットはたった16台で1日の売り上げが300万を超えるのだ。

これだけの売り上げが上がる機械だからライバル店も黙ってみている訳も無く、導入から暫くすると客の奪い合いが始まった。

当然、私はモーニングの仕込みで対抗することに・・・

ミリオンゴットのモーニング!!Dモードの天国状態で客にプレゼントすればありえない位のメダルがでてしまう・・・

そこで伝家の宝刀の打ち込み機を使いAT中の状態へ、その後の連荘を継続させるか否かのGゾーンをモーニングとして扱った。

これが客に馬鹿うけ(笑)

早朝よりミリオンゴットのモーニング狙いの並びが発生する。

実はこのGゾーン一撃で9000枚の仕込みからハズレの設定まで仕込むことが出来るのだ。

複雑な手順を要するが何連荘するのか予め決める事が出来るうえに、その後のモードも設定しておくことが出来た。

当然、台のシステムや抽選方法を理解していなければ、ここに書いているような仕込みは出来ないが、必勝ガイドに書いてある内容や、メーカーに勤める林田君からの情報を頼りに検証を繰り返し集客UPに繋げていた。

このお店に通えば、今日は負けたけど明日は勝てるかもしれない・・・
そんな風にお客に思って貰えるような環境を作る事に徹底した。

開店系のガラの悪い連中が並んでいるときは、仕込んだモーニングを開店前に全て消してみたり(笑)ダンボールや物を置いて場所取り、横割りなど発見した場合は一発出入り禁止などの厳しいルールを設定した。

売り上げが面白いように上がるから、他のAT機やストック機に設定6も数多く入れる事ができ、それを狙ったスロットプロも集まり始め、その連中達との駆け引きも面白くなり始めた。

高設定据え置き狙い(リールガックン)の出目チェック等をしているプロには、同一設定打ちかえや、またその逆の6→1へ設定打ち変え後に同じ出目に目押しで止める自称ツバメ返し(笑)なんて技の名前を付けてスロプロを楽には勝たせない事に力を注いだ。

お店に通ってくれる全てのお客に設定6に座れるチャンスを提供することが、繁盛店、活気のあるお店づくりの1番だと考えていた。

そうなるとアルバイト従業員にまかせっきりに出来る訳も無く・・・

朝は早朝から並びのチェック。

営業中はプロや勝ち意識の高い人の行動チェック。

閉店後は機械調整と翌日のモーニングの仕込み。

ほとんど休みなく寝る間も惜しんで働いていたが、本当に毎日が楽しくて仕方なかった。(笑)

その甲斐あって稼働率地域一番店、同グループ内での稼働率もダントツの一位となり、ついに16台のミリオンゴットの月間売り上げが1億円を超え、本部より呼び出しがかかる・・・

上層部  『今回は素晴らしい結果を出してくれました!』

ゆきち  『ありがとうございます!現状に満足することなく更に結果を出していきたいと思います』

上層部  『それは頼もしい♪今回の結果のご褒美として会社からプレゼントをしようと思います。』

上層部  『なにか、欲しい物はないですか?』

ゆきち  『ほ、欲しい物ですか・・・』

社長   『そうです!あなたが今一番欲しい物・・・』

本当に欲しいものなど何もなかった・・・
お金が欲しいならパチプロを続けていた方がよほどお金になるし、そこには自由も沢山ある。

ゆきち  『釘師になりたいです・・・』

上層部   『く、釘師ですか(苦笑)』

釘師になりたい!と強く思いパチプロを辞めパチンコ店に入社、そこで働いているうちに自分が求めていた釘師になるには、お店ではなくメーカーや販社に就職するのが近道だと知った。

このままパチンコ店に勤め続けていても、追い求めていた釘師と言うポジションにはたどり着けない・・・

ならばと、一か八かで始めたスロットの仕込みが上手く行き今日までやって来た。

その自分を今まで突き動かしていたのは釘師になりたいと思う強い気持ちが有ったから・・・

突拍子もない返答に驚いたのだろうか、しばらく沈黙が流れたあと社長が話し始めた。

社長  『それは釘調整がしたいという事ですか?』

ゆきち 『はい! 店長では無く釘師としてやってみたいです。』

パチンコを始めたのは高校2年の夏休み、友達に誘われて始めたのがきっかけだった。
勝ったり負けたり繰り返す中で、ある日、釘が変わっていることに気が付いた。

いつ?だれが?どうやって・・・
ガラスの向こう側で変化する釘をみて、高校卒業と同時にパチンコの世界へ飛び込むつもりだった。

紆余曲折有って10年以上遠回りしてのチャレンジではあるけども、やれるところまではやってみたい!

そう思い釘師に対する強い思い社長や上層部へ話した・・・

社長  『良いでしょう!ただし一つ条件があります』

ゆきち 『じょ、条件ですか・・・』

社長  『はい。過去ではなく未来に通用する釘師になってもらわなければ行けませんから・・・』

この時、社長が言った言葉の意味は理解できなかった。

しかし、その社長の一声で、いよいよ憧れだった釘師への扉が開き始めようとしていた。

次回更新へ続く