ご存知の読者さんも多いと思いますが、双葉社から刊行されている「パチスロ攻略マガジン」が3月6日発売の4月号をもって休刊となりました。今後はパチマガを統合した「月刊パチマガスロマガ」という新雑誌を創刊して情報を発信していくとのことです。

雑誌業界にとっての「休刊」は事実上の「廃刊」であり、一部の例外(数ヶ月後に復刊が予定された上で休刊する場合など。たとえば白夜プラネット騒動の際に連帯責任で休刊したガイド系の雑誌がこれに該当します)を除いて、復刊したケースはほとんどありません。かつては誌面でバチバチと火花を散らして牽制しあった仲ですが、有益な情報を発信してパチスロ業界を盛り上げたいと思う気持ちは両誌とも同じ。私は「良きライバル」という意味において、スロマガがなくなることに一抹の寂しさを感じずにいられません。

そんなわけで、今回は個人的なスロマガの思い出を振り返りたいと思います。

 

 

スロマガと必勝ガイドの表立った対立の始まりは「解釈の相違」によるものでした。

95年の春にガイド編集部から「ニューパルサー必勝ガイド」という増刊号(パチスロ必勝ガイド6月号増刊)が発売されたのですが、その記事の中でガイドの担当者はニューパルの役判定を「二段階方式」と紹介しました。ざっくり説明すると、ニューパルは最初に64分の1の第一判定を行い、これに当選するとボーナス判定へと進む。非当選だった場合は小役判定に進む…という流れです。

それに異を唱えたのがスロマガでした。

ニューパルの乱数生成カウンタは1本のみで、そこから取得された値が直接ボーナス判定に使用される。従って、二段階判定というのは誤りだ。単なる一発判定だ…と、そう主張したんですね。真っ向からニューパル必勝ガイドを否定する内容です。

 

結論から言うと、実はどちらも間違いではないんですよ。

パチスロには役判定の順番があり(レバーオン時に取得した乱数がどの役に当選しているかを順番にチェックしていく)、何らかの役の当選していれば当該役を揃えられるリール制御が選ばれます。マシン内部ではこの処理が一瞬で行われるわけですね。そして、ニューパルの場合は最初にボーナス判定が行われるんですが、取得した乱数が256以上だった場合はボーナスの可能性がないため、それがわかった時点で以降の判定を行わず、即座に小役判定の処理に移行する仕組みです。

これを二段階判定と解釈するか、一発判定と表現するかは解析人の考え方次第。正直、個人的にはこの論争に全く興味がありませんでした。まぁ、私が「パチスロ必勝ガイド」の誌面作りに参加したのは、95年の12月(月号で言うなら96年2月号)からであり、件のニューパル必勝ガイドの制作時には部外者だったことも大きいんでしょうけどね。

ただ、論争の中で「この書き方はどうなのよ」って思う記事はありました。以下、スロマガ96年11月号のニューパル巻頭記事より抜粋。

『G誌は当初はあたかも抽選自体が2段階であるかのように書き立てていた。本誌の指摘により多少言い回しを変えてきたが、曖昧な言葉で読者を煙に撒こうとせずに、きちんとした説明を行うべきであったと思う。もっとも、その能力がないのなら仕方がないが。』

冷静かつ正論に見える文章の中で、最後の一言だけは余計だと思います。

 

その後も、ガイドの看板ライターである「マッパチ(アニマルかつみ&ガル憎が結成したコンビ。正式名称は THE MAD PACHI-SLOT BROTHER’S)」をもじって、「マッハチ」なるユニットを誌面に登場させて本家マッパチを茶化したり、言葉の端々でガイドを暗にバカにしたり…。実際、噛み付いてくるのはいつもスロマガで、ガイドから喧嘩を仕掛けることはなかったように思います(パチンコ編集部についてはよく知りません)。

でもまぁ、私も一応はガイドスタッフですから、スロマガの記事を苦々しく感じていましたが、どこか他人事に冷めた目で見ていたのは否定できません。だって、私もガイドに入る前はスロマガの読者であり、カバン一つ持ってガイド編集部の門を叩いたとき、もしも吉良さんが拾ってくれなかったら次にスロマガを訪ねていたかも知れないもの。最初にガイドを訪ねたのは一番好きな雑誌だったからであり、別にスロマガが嫌いなわけじゃありませんから。

 

だけど、そんな私にも火の粉が降りかかってきました。

あれは忘れもしない97年12月号。当時、私はタコスロの担当ライターだったんですが、そのリーチ目の解説記事で以下のような解説文を書いたんです。

『タコスロにはボーナスフラグ成立プレイの概念があり、これがリーチ目の難解さに一層の拍車を掛けている』(注・原文は長いので一部修正しています)

別に内容が間違っているわけじゃありません。ごくごく普通の記事です。当時のユニバ系機種は1フラグに対して複数の停止テーブルが用意されており、両ボーナス成立ゲーム専用のテーブルもありました。タコスロは極めて特殊な制御(フラグ成立したボーナス絵柄が停止ボタン押下から4コマ以内にあれば無条件で枠内に引き込み、なければスベリコマ数を選択する)であり、それを説明する目的で書いた導入文章だったんですけどね。

ある日、編集部に行ったら、担当編集にこう言われました。

「今日発売のスロマガを見ましたか? タコスロの記事に喧嘩を売られてますよ」

えっ? と思いました。

当該号のスロマガが手元にないので正確な表現ではありませんが、要約すると「前号のスロマガでタコスロにはボーナス成立プレイの概念はないと書いたが間違いだった。それをご丁寧にもG誌が訂正してくれた。スロマガの記事の後追いをいつもご苦労さん。今後もG誌は我々の後追いと補足に頑張ってください」みたいな内容の文が、皮肉と嫌味たっぷりに綴られていたんです。

正直、なんのことだかわかりませんでした。すると、担当編集が前号のスロマガの記事を見せてくれました。そこには「タコスロにはボーナスフラグ成立プレイの概念はない」と書かれてたんです。

ああ、なるほどね。たまたま表現がかぶったために、当該記事を書いたスロマガの担当さんが気を悪くしたんだ。ただ、あらためて言わせてもらうと、ボーナスフラグ成立ゲーム云々の表現がかぶったのは本当に偶然なのよね。実際、当該号のスロマガ発売日にはすでに自分は記事を脱稿していたし、ライバル誌の粗探しをするなんて私の趣味じゃありませんから。

それでも、自分の書いた記事に喧嘩を売られたのはやっぱりショックでした。もちろん、ガイドの機種物は基本的に全て無記名原稿ですから、相手も私だとわかった上で喧嘩を売ってきたわけじゃないと思います。だけど、自分が自信を持って書いた記事に難癖をつけられて、思わずスロマガ編集部に抗議の電話をしそうになりましたよ。その時は、吉良さんに「この記事を書いた人は読者に向けて書いてるんじゃなく、己の感情に任せて書いてるんだから相手にするだけ損ですよ」とたしなめられ、危ういところで暴走モード突入は回避できました。

 

そして、他にもいろいろと両誌の対立はあったんですけどね。私が唯一、スロマガに完全敗北したと感じたのが「設定判別攻略打法」でした。

当時の4号機には小役補正機能が搭載されている機種が多く、小役還元率が設定ごとに微妙に異なったことから、特定のポイントゲームにおける小役出現率をチェックすれば設定判別が可能でした。

これは現在の5号機ような「設定推測」ではなく、試行回数を重ねれば超高確率で台の設定を看破できる、極めて信頼度の高い「設定判別」です。当初は両誌とも「ビッグ終了後から小役を意図的に揃えたりハズしたりしながら小役還元率の異なる状況を作り出し、そこでの小役出現率をもとに台の設定を判別する」という流れでした。その際には「チェックシート」という専用の用紙を準備するんですが、あまりにも目立つのと、途中でバケを引いてしまったら1からやり直しになるのが最大の難点でした。それを、スロマガの頭の良い人が改良して、新設定判別手順を完成させたんです。

説明すると長くなるので具体的な手順は端折りますが、ビッグ後にクレジットを落として所定の枚数になるまで投入し、以後は特定枚数を手に持ち、手入れX枚+クレジットで消化→手入れY枚+クレジットで消化を繰り返し(手持ちの特定枚数が尽きたら、再び同じ枚数だけ手に持つ)、クレジットのデジタルが特定の数字を表示した次ゲームが判別プレイ…という例のアレです。当時のスロプロはほぼ確実にスロマガの新設定判別手順を実践していました。かく言う私も、データ取りの仕事(誌面企画や91時間バトルの実戦)で設定判別を行う際にはガイド手順を使いましたが、前述したようにこの手順は目立つし判別プレイを得にくいため、プライベートでは専らスロマガ手順を使っていました。それくらいスロマガの新手順は完成度が高かったんです。

プライドでお腹は膨れませんからね、ええ(笑)。

 

あれから20年以上が経過。いつしか両誌の関係は非常に穏やかになり、ライターがCS番組等で共演するようにもなりました。おそらく、紙の媒体の衰退によって発行部数や売り上げを競う状況じゃなくなったのと、バチバチやってた時代を知るスタッフが少なくなったからでしょう。だけど一つだけ言えるのは、私がパチスロ必勝ガイドでライターをやってこられたのは、ライバル誌であるスロマガが存在したからこそ。過去のしがらみは多々ありますが、今はただ労いの言葉をかけたいです。

パチスロ攻略マガジンの皆さん、30年間お疲れさまでした。