そんな絶対的な一つの武器だけでも、それなりの成績をあげることはできただろうが、レッツくんの武器はそれだけではなかった
もう一つの彼の特徴は既成概念にまったく捉われない自由な発想
以前書いたコラムの「ノッポさん」に通じるものがあり、彼もまた基本タブーとされているギリギリのところを躊躇いもなく突くことのできる人種
捻り打ちに関しては、取り組みだしたのはそれほど早くはなかったようだが、精度の方は彼の目押しと同じく、目を疑うほどの精密さだし、効果が凶悪過ぎてゴト扱いされるような単発打ちや、完全な他人を打ち子として雇うことなどは、かなり早い段階から手を出していた
このようなサイトで彼の様な打ち手を褒めることはよくないのかもしれないが、全体を見回して、どの道が一番効率的に収支を上げることができるのかを瞬間で判断できる稀有な人間である
絶対的な目押し力をベースに、慢心することなく、というか、もっと効率的に儲かることはないかを、労力をかけずに模索し続けることができ、圧倒的なセンスをもって、思いついた手を次々と自分のものにしていく姿は圧巻の一言
冗談で安田軍団と命名して集まっていた人間の中で、一番実力と評価が一致していなかった人物なんじゃないか、とぽちは思っている
ネットの普及によって生まれた、人間の悪意の塊のような掲示板でも、僕らの地域で誰よりも早く叩かれたのも彼だった
彼は、それほど抜きんでていたのだ
だが、ノッポさんにしてもそうだったが、この手の天才肌は、どうも人付き合いが不得手のようである
ポチのように、他人に媚びを売らずとも生きていける力の証明でもあるのだが…
いつだか、安田さんが羽根物で玉を出しているのを見て、彼は、安さんに〇〇打ちしてるんですかと聞いたことがある
(〇〇は古典的なゴト、一例をあげれば「磁石使ってるんすか?」的なこと)
そのときの安さん度肝を抜かれた表情も、このサイトの読者なら理解できると思う
誌上プロのなかでも一、二を争う潔癖の打ち手に、冗談でも言っていい台詞ではない
ないのだけど、正直ポチには彼がまったく悪意なく、侮辱する気なんて欠片もなく放った一言であるのが容易に想像できる
悪意がないならば、人を傷つけても罪にならないかといえば、そうではない
そうではないんだが、なんとも擁護したくなる
ポチとのやり取りでも、ある日、役所で出くわしたとき、こんなことがあった
「ポチくん、どうしたの」
「あ、いや、人に聞いたらやった方がいい手続きを今までしていなくてね」
「え、ポチくん、今までそれしていなかったの」
「あ、うん。僕はどうもこういうことには疎くてダメだね。レッツくんはさすがだね」
「うん、ほんと勿体ないよ。ちょっと調べればわかることなんだからさ。ちゃんとした方がいいよ、、、馬鹿じゃないんだから、ははははは」
「え、え?あ、馬…、あー、あーいやそうだね。気を付けるよ、ハハハ…」
今までのレッツくんの言動や行動を顧みながら、総合的にみると、やはりここでも悪意は欠片もない
攻撃するつもりも、侮辱するつもりもないのだ
きっとレッツくんは、心を開いているという意思、気さくな感じの意味で「馬鹿じゃあるまいし」と使っている
が、レッツくんは常に目が笑っていない
いつも相手から目を逸らすことも、あまりつむることもしない
悪意はないのだろうが、相手を警戒している印象を強く受けてしまう
馬鹿じゃないんだからとの台詞も、口元と声は笑っているのだが、眼を細めることも逸らすこともなく、真直ぐ見てくる彼を、自分の様な相手の顔色ばかり窺っている臆病者ですら、ときに彼の真意がどこにあるか分らなくなってしまうことがあった
それでも、彼の言動を思い返せば、そこに悪意はない
そのような対人に対しての抜け落ちた部分は、むしろ愛嬌におもえる筈なのだが、とても可愛いとは言えない実力と、笑ってない眼差しが、
「ん?あ、あれ、もしかして僕はディスられてる??」
と、戸惑いを与えてしまうのだ
ただ、彼は、僕や安さんに限らず、他人に好かれようと嫌われようと、そんなことに関心がないようである
だからといって孤高というわけではない
彼ほどの実力者だと、もう、どこの店にいっても、半年も経たずに取り巻きの様なものが自然と出来る
いつ、彼の方を見ても、若いスロッターは目をキラキラさせながら、レッツくんにまとわりついている
人がギリギリのところで勝負しているのに、その日その日を勝ちながら、まだ手を付けるまでもない技術が、彼の引出しにはどっさり入っているのだから、その異次元ぷりに、憧憬の念を抱くのも当然である
ぽちが、今まで見てきた打ち手の中で、パチンコで勝てなくなる姿がまったく想像できない人間が五人くらいいたが、彼はそのうちの一人
ノッポさんは、パチンコというよりは、パチンコ業界のシステム、パチンコ店を喰らうイメージだが、レッツくんは、機種機種における攻略の効果を、上限をはるかに飛び越えた成果をあげる、いわば職人的なイメージ
そして、ノッポさんの様な「甘さ」がない
彼がだれかに執着をみせることが想像できない
倹約家でもあって、話がグっと安くなってしまうが、パチンコ屋で会うよりも、深夜のスーパーで見かけることの方が遥かに多い
そして、彼の稼働に土日、祝日、年末年始は関係ない
収支の数字だけに拘るのであれば、彼以上の人間もいると思うが、パチンコで生計を立てる、立て続けるという意味で考えれば、彼以上の人間を見たことがない
ぽちの考える「パ千プロ」の定義で測るならば、今も昔も変わらずレッツくんが「最強パチプロ」である
ポチはこんなことを書いている今も、どこかのパチ屋で皆が引くくらい出しているんだろうな
ちょっとだけパチンコ店での倫理観のお話
僕の倫理観のラインは、安田先生や、万回転さんのそれよりもはるかに低い
いままで両者のコラムをみていて、つくづく感じている自分との「違い」の一つ
でも、別にそんなものをお披露目したいわけでもないし、する必要性も感じていなかったのだが、ノッポさんやレッツくんのことを書いていると、自分は「清廉の身」との印象を与えたままの可能性を残して、二人の際どいスタイルを書くことが、どうにもこうにも具合が悪い
安田さんや万回転さんが眉を顰めるような事柄かもしれないが、僕は打ち子の使用に近いことをしていた事もありますし、いろいろのゴトと呼ばれる(または呼ばれるようになった)3割くらいの打ち方は、意識してやっていたこともありますし、現在もやっている部分があるかもしれません
当然なんでもありと考えているわけではなく、自分なりの「越えてはいけないライン」また「越えたくはないライン」というものも存在しますが、それらの自分に課したラインも食いっぱくれれば、自分の都合のいいようにラインを変えると思います
というか変えてきましたし
なので、僕のコラム内に出てくる人物の打ち方で、嫌悪感を持たれる何かがあったときには、それは描かれている彼らだけではなく、僕も同じ人種と捉えてもらって間違いないです
そして、それをこのような場で晒す僕の方を、より強く軽蔑してもらえると、少なからずこんなことを書いている罪悪感が薄れるので、どうかこの先は、そのようにお願いできれば、と考えている次第です