昔々、江戸時代は印刷機などなかったから、何かを大量に刷ろうとすると版画を利用していた。

版木と呼ばれる板を削って型を作り、それに墨を付けて紙に写す…自分が小学生の頃にしていた版画で、著書や浮世絵などの複製が作られて売られていたのだ。

 

当時はこの版木(はんもく)を作るのに莫大なお金がかかったため、印刷物の権利は著者(作者)ではなくこの版木の所有者にあったらしい。

これは後に、版権法で権利の所有者が著者に変更されたのを経て、現在の著作権法へと変わる。

著作権法は著作者が作品を作って利益を得るための大事な法律なのだが、パチンコ・スロット番組の演者はこれに悩まされている。

…と言うのも、今やホールを見れば右も左もアニメや漫画、ゲームのタイアップばかり。

タイアップのファンとしては嬉しい限りだが、これらの機種を打って何かコメントをすることは、著作権の侵害になる可能性がある。

何かコメントでイメージを損ねるとか、著作権で保護された音楽が流れるとか…。

観ている側からすると「どうしてこの機種を打たないのか?」と思うかもしれないけれど、そこには苦悩が隠されているのだ。

 

例えば、スロットで人気のあるルパンシリーズ!!

人気の演出と言えばカタカタと小気味良い音を奏でるタイプライター演出なのだけど、このタイプライター音に権利がある。

また、まどまぎのビッグ中の音楽もそう。

動画などでタイプライターやビッグ中の音楽に何か別のサウンドが被せられたりしているのは、それが理由だ。

ジャスラックに支払いをしていれば使用可能だが、DVDやYou Tubeなどは別でお金を払わないとサウンドが使えない。

 

他には北斗の拳や花の慶次シリーズも…こちらは番組やDVDの中で一定の割合(総時間の50%とか)を打つとロイヤリティー(使用料)が発生してしまう。

お金を払えば良い…けれど、番組の予算も限られているので、簡単にはいかない。

 

実は、常勝理論ではどちらかが北斗の拳を打っていたら、もう一人は別の機種をえっちらおっちら打っている。

同じくらいの実戦量があれば、オープニングとエンディングの時間でこの条件に引っかからないのだけど、もう一人が「見」をしてしまうとヤバいことになる。

北斗を打つ時は、実は相方にサポートしてもらっている…そんな驚きの新事実が隠されているのだ。

 

また、有名なところでは某ゲームメーカーの版権はかなり厳しい…監修に出せば大丈夫なのだけど、まず時間がかかってかなり早くの収録が必要になる。

そして、その監修の指導がすごかったのだ…。

 

ご存知の通り、パチンコ・パチスロの通常時の演出は敵の強さが逆転することが多い。

通常時はゲーム序盤に倒す雑魚キャラが頻繁に出てきて、主人公は負ける。

ラスボス的なキャラはなかなか出会えず、しかし、登場すれば高期待度だ。

 

当然実戦をすればそんな展開になるわけだが、それを監修に出したところ「〇〇はプレイヤーが最後に倒す敵なので、順番を入れ替えてください」と言われたらしい。

実戦はそのラスボスキャラを倒して初当たりしているので、他のキャラを倒してからと言われても…困ってしまう。

 

この話が広まって、その版元の機種は事実上、実戦不可能な機種になってしまった。

とても奥深いゲーム性があって人気な機種だけにとても惜しいのだけれど…こればっかりはどうしようもない。

何を打つかと聞かれて頭を抱える実戦の裏には、こんな苦悩が隠されていた。