先日、私が通っているホールが、パチンコ&パチスロの全機種・全台に各台計数システムを導入しました。昔パチプロだったお義父さん(嫁の父)は「ドル箱を積まなきゃ勝った気がしない!」と言って、頑ななまでに各台計数システムを嫌ってますけど、私個人としてはドル箱を積むより各台計数システムの方が好きだったりします。

 

まず、千円あたりの回転数を把握しやすい。計量カップを使えば同じことではありますが、店によっては軽量カップを禁止しているところもあったりしてね。それに、店員さんによっては箱を取り替えてもらう際にポロポロとこぼす人もいる。また、台移動の際や遊技をやめる際に店員さんを呼んで流してもらう必要がないところもいい。基本的に店員さんは遊技を終了する客のドル箱を流す作業は後回しにしますから(同時に呼び出しランプが点いたら箱替えの客を優先)、別積みしてる場合など全ての作業が終わるまでに十分以上かかることもあります。おそらく、店員さんにとってもドル箱の上げ下ろしは重労働ですから、これがなくなるだけで随分と助かるんじゃないですかね。

でまぁ、各台計数システムの歴史は意外と古く、グリーンべるとさんの文献によると2007年頃からマースエンジニアリングが開発した「パーソナルシステム」が本格導入され始めたそうです。つまるとこ今から約12年前ですね(注・悠遊道の読者さんに頂いた情報によると、20世紀の終わり頃にはすでに磁気カードに記録するタイプの各台計数機が存在していたそうです)。ただし、各台計数システムの場合、箱を積まないぶん出玉感の演出が希薄になるのが最大のデメリットと言えます。それゆえ、導入するのはもっぱら都内繁華街にある敷地面積が狭いホール。そもそも、空間的に余裕がある店ならドル箱を積んだ方が出玉のアピールになりますから、地方ではなかなか導入が進まないのも仕方がありません(出玉感を煽る必要のない1パチのみ各台計数機を導入している店は多い)。

 

ちなみに、私の通うホールは一言でいうなら「居心地の良い店」です。通路は広々、台間も広々、さらに全機種・全台に固定式の分煙ボードを設置し、お客さんの絶対数も少ない(笑)。私はこれまでいろんなタイプの店に通ってきましたが、居心地の良さはダントツでトップだと思います。

それで、どうしてこの時期に巨額の予算を割いて各台計数機を導入したのか…。いろいろと考えてみたんですけど、たぶん今後の経営を考えて最善の方策と判断したんじゃないかと。ホールにとって最大の負担は人件費です。新台の購入費用なんてものは、新台を買わなきゃ済むだけの話だし、電気代に関しても削減方法はいろいろありますが(件の店は数年前から店内の照明をオールLEDに交換し、今年は空調もかなり控えめです。そのせいで、最近は店内が暑くてしょうがない。真夏のパチンコ店はキンキンに冷房が効いてなきゃ…と個人的には思います)、従業員の給料を下げるわけにはいきませんからね。そうなると、店員さんの絶対数を減らして人件費を削減することになり、そのためには各台計数機の導入が最適だったんじゃないですかね。

そして実際、各台計数機の導入以降、店員さんの数が少なくなったようにも見えます。これがパチンコ店の経営立て直しに効果があると証明されたなら、今後はより多くの店に各台計数機が導入されるんじゃないかな。そうなれば私としては非常に喜ばしいことなんですけどね。

 

余談ですけど、先述したグリーンべるとさんの文献によると、パチスロ機向けの各台計数機はユニバーサルエンターテインメントが2011年に発表したとあるんですが、個人的にはもっと昔に似たようなシステムを見た記憶があります。あれは確か2005年くらいでしたか…。パチスロ業界は4号機時代の末期でしたが、一部の機種で「クレマン君ゴト」が横行した頃でした。

クレマン君とは、コイン投入口から板状の器具を差し込んで、クレジットを満タンにするゴト行為のことを指します。クレジット満タンにするゴトゆえにクレマン。その器具をクレマン君と呼称したわけですが、これを対策するには台に特殊なセンサーを取り付けるのが一般的で、しかしながら対策部品を勝手に取り付けることは「遊技機の無承認変更」に該当するため(実際に、所轄への申請を怠ったために営業停止処分を受けた店もあります)、簡単には行えないのがつらいところ。そこで考案されたのが特殊なメダル貸し機でしてね。千円札を挿入すると払い出し口から50枚のコインが出てくるのは一般的なコインサンドと同じ。違うのは、その払い出し口がパチスロ台のコイン投入口の真上に固定されていることで、つまるところコイン投入口を物理的に塞いでクレマン君を挿入させないようにしたんです。これなら台そのものを改造したことにはなりませんから、遊技機の無承認変更には該当しないわけです。

でもって、ボーナスを引いてクレジットを超えた分は下皿に払い出されますが、件のメダル貸し機には計数機が付いてましてね。プラスチックの蓋をぱかっと開けて中にコインを入れると、同じ枚数のコインがメダル貸し機の払い出し口から台に投入される仕組み。カードに貯メダルする機能こそい付いていませんが、これって現在の各台計数機の原型なんじゃないかな?

 

残念ながら、この特殊なメダル貸し機の正式な名称はわかりません。いや、正確に言うと調べたけどわかりませんでした。業界の黒歴史の対策機器という立ち位置につき、もしかすると存在そのものを闇に消したかったのかもしれません。…とは言え、先述したようにこのメダル貸し機が現在の各台計数機の原型なのだとしたら、ゴト師との攻防も業界の発展に少しは貢献したのかも?

そんなことをなんとなく考えた…という、ただそれだけのお話。