いやあ~、今年の夏も暑いっすね。予想気温38度って何だよ、体温か!
というわけで、今年もやることになりました。ライター陣による統一テーマ企画。
今回は納涼の意味も含めて、「背筋が凍る話」を参加ライターさんにお願いしました。
(ポロリ君と私の個人的な縁で、凄いゲストも寄稿してくれますよ!)

当然、私も書く訳でして、ちょうどお盆の連休でパチンコもほぼお休みでしたし、本日月曜日のブログ枠で発表してみますよ。

「それは昔々、まだ体感器攻略法があった時代のお話」

時は1991年。自分もまだ20代で、パチプロとしても誌上プロとしても駆け出しだった頃の事件です。

フィーバーボルテックスという機種がありました。

詳細は自分の回顧録を見てほしいのですが、
要は20世紀に一世を風靡した体感器攻略が可能だった、と。
自分はこの数年前にニューパニック(これも体感器攻略可能)という機種の為に入手し、使わずじまいだった時計のSEIKO社製の音楽機器である電子メトロノームを利用しました。
「ピッ、ピッ」という音の代わりに、「リレー」なる部品から「バチッ、バチッ」と体に振動が来る仕様にして、上着の内ポケットに入れ、お腹で振動を感じて、頭の中で「1、2、3、4~」とタイミングをずっと数え続けるわけです。

むろん、機種専用タイプではないから、時間と共に体感器と台の乱数とはズレが出てきます。ただ、入賞タイミングは止まった出目の結果から推測できるので、その度にトイレの個室に籠もって体感器の微調整を繰り返す、と。

前置きが長くなり過ぎましたね。要は地味な玉の節約ながら、「絶対に当たらないタイミングで打たない」ことにより、投資が半分以下になるってことです。
(回転体の狙い打ちに近い)
大当り出現率で考えても倍以上になるので、まあ、普通の店なら負けませんね。

やり過ぎると釘は終わるし、他の打ち手(ネタ屋)との無用なトラブルも嫌。そんなわけで、ボルテックスをやっていた頃は「2~3万取ったらその日はやめるか、次の店へ移動」でやってました。

「えっ、事務所? ビビりまくった顛末は…」

使っていたホールのうち一番近所のガラガラの店で、(釘が渋い上に止め打ちをしているから)盤面に何も起こらないストレスと闘いながら、何とか玉を出していると…。

店員さん登場。周囲を人が通る時は必ず(損は承知で)連続打ちをしてたんだけど、嗅ぎ付けられたかなあ。

話しかけられて緊張しながらの会話が数分
「すいません、店長が呼んでいるので、事務所まで来ていただけますか?」

(ゲッ、これヤバい奴? 荒っぽい回収営業で有名なチェーンだし、もしかして俺ってばボコボコにされる流れ?)

できるだけ平静を装いつつ
「う~ん、話ならここで聞くけど」

「そこを何とか…」

夏の暑い時期で、店内の冷房は強い店だったけれど、もうマジで背中に冷たい汗がバーッですよ。

(走って逃げられねえかな? いや、狭い店で出入り口は一つ。店員さんを擦り抜けないと無理やん!)

今ならスマホがあるから、ヤバそうなら110もできるし、ポケットの中で通話を押すだけの状態にしとく手もある。
でも、時は1991年。そんな文明の機器は我々一般庶民は存在すら知らないのでした。

結局、敵兵に捕まった捕虜の気分で事務所へ。あの時ほど心臓がバクバクいったのは無かったなあ。

でも、事務所で待っていたのは、30代と思しき優男の店長さん。彼の微笑みに自分をどうこうしようという類いの企みはないのを瞬時に感じて、フーッと気が抜けたのでした。

以下は蛇足。

「コーヒーでもどうですか?」

「あっ、はい、いただきます」

「お客さんは上手過ぎるんですよ」
「遊技をご遠慮してもらってよろしいですか」

(体感器のことはバレてんのかなぁ。でも、下手にこっちからつつくと薮蛇だよな。確かニューパニックの時に裁判があって、体感器は合法の判決が出てるけど、やっぱり後ろめたいのは事実だし)

注)後にパチスロの某機種で体感器+電波飛ばしが事件になり、違法となるずっと前の話です

数十秒考えたのち…
「わかりました。もう打ちません」

これで一件落着。店長さんの方も少しホッとしたように見えたので、すでにライターとして仕事をしている自分は、興味から10分ほど雑談へ持っていったものです。
・同じように出す人間は来ていたのか?
・このくらいの客付きで店は儲かるのか?
・多数のモニターのうち、事務所内までしっかり映っているのがあるのはなぜ?
(これは店長さんが「ウチは社員にも厳しいんですよ。我々がサボらないかを本社で見てるんです」と苦笑いで答えてくれた)

とまあ、当初にビビッたほどのことは何も無く、晴れて退店。
ただ、帰る前にトイレへ行った時にギョッとしたのは、当時はまだプライベートスペースには設置されることが珍しかったトイレの監視カメラ。しかも、しっかり個室にも!
ああ、体感器の調整をしてるのはバレバレだったっすね。ゴネなくて良かった♪

以後は攻略ネタがあるなしに関わらず、トイレに入ったら、監視カメラをチェックする癖がついてしまったのでした(笑)。


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