夏といえば怪談のような怖い話! ライター陣による統一テーマとなった「背筋が凍る話」となったわけですが、私にとって非常に難しいテーマだったりします。

メインとする機種は、コツコツのノーマル系。台移動するにしても、そこまでの負けを取り返そうとかまったく思いません。その時点をゼロとして、少しでもプラスになるよう努力するだけ。ネタ系も捕まったときのリスクとか考えると手を出す気がおきません。遠くのホールで打つのは面倒ですし、近場で揉め事は起こしたくありません。

そんな平々凡々なツマラナイ奴でして。パチスロを打っていて、すごい恐怖を感じたことがないのです。ビビリだから危うそうなところに近付かないからか。はたまた、恐怖に鈍感なのかもしれませんけどね。ネタに自信はないので「そういえばアレ怖かったな」と思いだしたことを2つばかり書いてみます。普通のスロッターでも起き得ることかな。

 

 

○場末のゴト師

1999年くらいかな。等価交換も増えてきましたが、私が通っていたのは7枚交換で台移動禁止のホールでした。『クランキーコンドル』や『タコスロ』といった設定1でも出玉率が100%を有に超える機種を残して設定も使ってくれていた優良店が地元にあったからです。しかも、お客さんは少なめ。台は選びたい放題でした。

ある日、見慣れないオッサンが『タコスロ』を打っていた私の隣に移動してきました。1000枚程度のコインが入ったドル箱を持って。「むむっ」と思いましたが、移ってくる前の台を確認。BIG回数0回の『ゲッターマウス』でした。あ〜こりゃ何かやってんな。

『タコスロ』を少し回すオッサン。当然、目押しは明後日の方向です。横目でチラリと見る程度だったのに「こっちをジロジロ見るな」と凄まれます。「回転数とか見てないと、どれが出る台なのか分からないじゃん」そう言うと、返ってきた反応は「なるほど」。納得すなっwww

精算ボタンを押すオッサン。クレジットの数は関係ありません。ホッパーの中にあるすべてのコインが勢いよくコインが下皿に落ちてきます。そして、ホッパーエンプティのエラーが起きる直前、ピタっと払い出しが止まりました。なんか電波系のゴトだったんでしょう。

行きつけのホールがゴトに遭っているのを黙って見過ごすことはできません。かといって、そこまで腹は座っていません。店員さんに報告しようと席を立ったら、実行犯を脇で見ていた仲間が、私の後を付いてきます。仕方ないので、パチンココーナーの自動販売機でジュースを買うハメに。この行動が功を奏したか『タコスロ』を最後に帰ってくれましたけどね。

 

今から思えば、危険な行動でした。等価交換ではなく7枚交換のホールと、リターンは少なくなります。パチスロのこともよくは理解していません。こんな輩に回ってくる時点で、ネタとしては末期です。一流のゴト師は、まだホールに警戒されていない違うネタに移っていたことでしょう。せめて壁役とか作っておきなさいよwww

今だから思えますね。何もされなくて良かったな……と。素人が気付くなんて、相手も素人なわけです。“他の客に見つからない。もちろん、危害も加えない”そんなゴト師の美学を求めるのが無理な三下です。何をされるか分かったもんじゃない。そんなわけでして、ゴトを見つけた場合もすぐ行動はせず、まず自分の安全を確保するべき。大事なホールだったら、事後で店員さんに教えてあげましょう。

ま、一番怖かったのは。これを報告してあげた1年くらい後のこと。アルバイトの店員に“いつも出してて、ゴトか何かやっているに違いない”と疑われたことですけどね。何もないときにも、台を開けにくること、くること。設定判別全盛期に、設定を使っていればそりゃ出ますがな!

 

○TPOの逆ストライクほど怖いものはない

パチスロライターになって間もない2000年の話。新しくパチスロ雑誌を作ることになった編集部なので、ライター陣は初心者マークばかり。メーカーとの付き合いも始まったばかりの大切な時期でした。しかし、とある新機種のメーカー取材で事件は起きてしまいました。

 

「やっぱ、クソ台だよ」

 

狭い取材ルームに響く、乾いた呟き。

私も含め、無職の人材ですから、社会適合性に欠けていたりするのは想像に容易いことでしょう。しかし、この言葉を発したのはライター見習いとしてきていた学生スロッターさん。なかなか良い大学だし腰が低かったので、キミは大丈夫だと思っていたよ……。いつもは、さっさと違う部屋に行く広報さん。今日はまだ部屋の奥の机に座っているんだよ。2時間の取材枠、まだあと1時間45分あるんだよっ(強打)。

言っちゃった学生さん、目に見えて顔から血の気が引いていましたけどね。同席していたベテラン編集さんも然り。私もそうだったことでしょう。そこから褒めまくる以外に選択肢はございませんでした。焼け石にお湯とはこのことです。

パチスロ以外の職業でも、まあ起こりそうなことですね。どんな業界でも、新人さんの教育は大切です。そんな怖くない? それでも、パチスロに関わる一番戻りたくない瞬間、場所といえば、このときです。

 

これくらいのことしか怖いことを思い出せないのは、怖いことを避けて無難にパチスロ人生を過ごせているのか、単に恐怖にズブいだけなのか。本当は、もっと怖いこともあるんですけどね。ライターを職業にしてしまったことですよ。まったく未来が見えない恐怖は、現在進行形で続いています。この話は恐すぎて書けません。職業選択こそ慎重に(汗)。


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