前回#1

以前書いたの『Tさん』の話から、今回の話までの間を埋める駄文を少しだけ

 

僕は長年通っていた拝島モナミに限界を感じ、離れると同時に足を洗うことを決意する

そんじょそこらに、うんざりするほど湧いていた田山さんや安田さんを模倣したなんちゃってジグマ

自分もその例に洩れず、一人前にジグマ気取りで、一軒勝負を諦めるときがこの生活の終点であると嘯き(うそぶき)、この二十数年のぼうふら人生の中で、ただ一度社会に属すことができた三ヶ月を過ごすことになる

そして、就職中になんだかんだと言い訳をこしらえては打ち、そんな半端な打ち方で勝てる実力は当然なく、見栄を張り購入したスーツやカバンなどの出費も嵩み、あっという間に僅かばかりの貯蓄は底を付いた

会社では怒鳴られ、なじられ、呆れられ、それが今で言うパワハラならば、まだ救われたかもしれないが、すべては自らの能力不足のためであったので、惨めな自分を慰める余地など微塵もなかった

無学の自分が入れるような最底辺の会社で、そこにいる最底辺の人たちにすら、自分は生涯追いつけぬであろう社会への不適合を目の当たりにし、自尊心が耐えられず、逃げるようにしてパチンコの世界に戻ってきた

文無しの自分は、幼少期にほぼ関わりのなかった姉に、またパチンコを打つために10万円もの金を借りる

借りていた家も維持できなくなり、当時、縁のあった女性の実家へ転がり込み、その人の良い親兄弟から、いつになったら籍を入れるのかとの問いに、とうとう最後まで首を縦にも横にも振らず、これ以上ない不誠実さを以ってあたり、そして幾許(いくばく)かのお金が貯まると同時に逃げした

ただ、それはまだ先の話である

#2-Bに続く