前回#5-A
僕はアンジェラスの中に自分の居場所を作ることに成功した
「ポチさん、店長がいまキンパルの設定変更してますよ!!」
「ば、バカか、菊池くん!そんなん教えてもらったら打てるもんも打てねーよ!!」
「気にしすぎっすよポチさん!そんなしょーもない台打ってないでとっととキンパル押さえちゃいましょう!!」
「なにを失礼なことを!おま、この台だって時給…、ほ、ほらあっちで呼び出しランプがついてるぞ!早く行きたまえ、ばかもの!!」
笑いながらかけていくバイトの少年
「いや~ポチさん、世の女性みんな頭どーにかしてると思うんすよ」
「うん、後藤くん、先にオチを言って申し訳ないが、君がモテない理由は、世の中の女性がおかしいのではなく、君がゴリラなのが理由だと思うぞ」
「いや、ちがうんすよポチさん、そもそも自分モテモテっすけど、モテるモテないではなくて、自分の求めるレベルの女性がいないんすよ、みんな腐ってるっす」
「うん、後藤くん、モテたかったら、まずそのヒゲだか顔毛だかわからんもんを、変なこだわりを持たずにきちんと剃ろう。店長にも怒られてたじゃないか」
「あ~、素敵な女性がどこかにいないかなぁ」
「後藤くん、それはいいんだが、そろそろ君を呼び出しランプで呼んだ理由を考えてくれないかな。モリモリになったこの箱を見れば、いま君が取るべき行動がわかると思うんだが…」
また、年末のある日、まわりを見渡しながらこそこそと近寄ってくる店長
「ポチくん、きみはどうせ年末一人で年を越すのだろう」
「ど、どうせって店長…」
「ああ、いや、ウチのやつが年越しソバやおせちを用意するからポチ君も来なさい。5人分も、6人分も作る手間はかわらないが、食べるときには人数が一人でも多いほうが楽しいもんだ」
「え、いやいやいやいや、お気持はありがたいですが、店長はバレたら色々と…」
「大丈夫大丈夫。何も悪いことをするわけじゃない。やましい事は何一つしていないのだから堂々としていればいい。だからポチくんはそんなことを気にせずに、当日になったら目一杯お腹を減らして来ればいいんだ。待ってるよ」
このような言葉をいただいたこともあった
僕自身、店の人らを好いていたこともあるが、それを踏まえても、分不相応な好意を寄せてもらっていた
余談:蛇足とは理解しているのだけど一つだけ店長の名誉のために付け加えさせて下さい
この時もそうですが、パチンコの勝ち負けに関わるようなやり取りは最初から最後まで一貫してありませんでした