悠遊道をご覧の皆様、こんにちは。

新型コロナウィルスが猛威を振るい、危機感や閉塞感に苛まれる日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

声を大にして言いたいことは多々あるんですが、言い始めると止まらなくなっちゃうのでまた別の機会に…ということで。とっとと本題に入りましょう。

前回の続き、東京移住当初の1991年頃によく通っていた江古田のH店に導入された「リノ」のお話です。

新装3日目くらいでしたかね。少し客足も落ち着いた頃合いを見計らって、お昼過ぎにふらりと様子を伺いに行ったところ、居心地のよさげな角台が空いていました。

ちなみに角から2番目の台では、界隈の新装開店などでよく顔を合わせるプロ(もどき)グループのひとりが、台上にドル箱を2つ積み上げて得意げな表情で打っています。

いつも黒いサングラスをかけてて、ちょっと不気味な感じのする青年だったんですが、気にせず腰を下ろして遊技を開始すると、早々にビッグを引き当てました。

そしてビッグ終了後、「事件」は起こります。

リセット後の2ゲーム目でしたか。トマトが揃って「ぴろろろろ」とクレジットからコインが溢れました。すると、右隣の黒メガネが私にこう耳打ちをしたのです。

「次、揃いますよ」

…は? 揃う? 何が?

突然のことに、まるで狐につままれたような気分になってしまったのですが、そんな私の心中を察したのか、黒メガネが続けました。

「ビッグですよ。次、ビッグが揃いますよ」

彼は親切に補足してくれたつもりでしょうが、事情も知らないこっちは余計に頭が混乱してしまいました。

『ビッグが揃う、だと? なにを根拠に、そんなことを言ってるんだ』

そんな風に半信半疑ながらも次ゲーム、慎重に7を狙ってみました。そしたら、本当に777が揃っちゃったもんだから、さぁ大変です。

「……ね」

驚愕至極な表情を浮かべる私に対し、黒メガネは得意満面にそうひと言だけ発すると、再び自分の台に向き直り、何事も無かったかのようにポーカーフェイスで遊技を再会しました。

結局、黒メガネと言葉を交わしたのはその時だけだったのですが、その後も「ビッグ終了直後に小役が揃うとビッグが連チャン」という現象が幾たびもありました。

ただのポンコツな不遇台だと思っていたリノが、こんな面白い台だったなんて。

まぁ、本来のノーマルなゲーム性ではないことは当時の世情からわかっていたのですが。とにかく私自身のリノというマシンに対する評価は、この日の経験によってガラリと変わったことには違いありません。

それからちょいちょいリノを打ちにH店に通う日々が続いたのですが、導入から一ヶ月が経った頃でしたか。

バンドの地方遠征などもあって、しばらくご無沙汰ののち久しぶりにリノのシマを訪れたところ、そこには異様な光景が拡がっていました。

あれほど賑わっていたシマには客は疎らで閑古鳥が鳴きまくり、そして台をよく見ると精算ボタンがガムテープで塞がれていたのです。

「リノにいったい、何があったのか……」

その月の22日に発売されたパチスロ必勝ガイドに、その答が記されていました。

…というわけで次回は、「ラリラリマンボ」なる異名で当時のガイドの誌面を賑わしたリノのアレコレを書き綴りたいと思います。

それでは…再見!!