私の令和はまだ始まっていないようです。書く原稿は平成時代の振り返りばかりとなっています。では、頭の中は平成のことだらけかと言いますと、そんなことはありません。いま気になって仕方ないのは昭和の機種だったりします(笑)。

先日のこと、巣鴨にあるパチスロゲームセンターのRIZEさんで遊んだんですね。打ったのは、昭和63年(1988年)に登場した『アニマル』。アークテクニコの2号機です。アニマルかつみ兄さんの前でこれを書くのは、心拍数が実に上がるんですが。えーっと。左リール中段7から中ブレでBIGに気付けたのでお許しください(汗)。

私がパチンコを始めたのは1990年。当時『アニマル』のシマはまさに鉄火場。恐ろしくて近寄れなかったんですが、1997年とパチスロ知識がついてから打ったら面白いこと面白いこと。新宿三丁目・池袋・高田馬場・小田急相模原など、機会と機械があるごとに擦るようになり、最終的には自宅に実機を導入してしまいました(笑)。

語りたいことはバッファローの群れほどありますが、私が悩んでいることに絞らせていただきます。“連チャンゾーン”と“打ち手の行動”です。

まだパチスロ自体が創成期ともいえる時期でしたが、『アニマル』は人気機種ということもあり、解析がなされています。連チャンゾーンは、2枚〜35枚の吸い込み(純減枚数)でA天井を決定し、到達時に高確率でボーナスを抽選する……とあります。が、A天井を抽選するタイミングが明記されていないような気がするんですね。

 

考えられるのは2つあります。まず、最初の1G目のレバー操作時。とすると、2枚掛け以上なら1G目にもボーナスが成立して揃う可能性があります。そして、連チャンゾーンは小役が一切揃わなかったとすると、オール3枚掛けでは12G目の36枚インまでとなります。

この方式であれば、1G目は2枚掛けにすべきでしょう。12G目に35枚インでロスなくゾーン抜けを確認できます。しかし、最初の1G目を2枚掛けする人は見たことがありません。そして『アニマル』を12G目に捨てる人もおりません。13G目です。その13G目にボーナスがヒットすることも多々あります。

こちらのほうが可能性は高いかな。最初の1G目に2枚〜35枚のA天井を抽選するというもの。理論上、1G目にボーナスが揃うことはありません。長い『アニマル』人生で数回目撃しているのはバグでしょうか(同じホールだけなので、基板が……という話もあります)。それは目を瞑るとして、この方式であれば1G目は1枚掛けで消化がベターとなるはずです。A天井を決定するだけですから。1枚掛けだと抽選が不利になるのであれば、誤って1枚掛けにした瞬間に青冷める人が続出するはず(コイン手入れなので多々ある)。しかし、そんなことはありません。

どちらにせよ、掛け枚数を減らしたほうがコインロスを避けられるはずなんです。しかし、やっている人は見ません。綺麗な13G目(39枚吸い込み)で揃うことがあるので、そこまで回すのが一般的となっています。

 

正確な抽選方式と、そこから生じる掛け枚数を減らすのが一般的とならなかったことの整合性が悩みということになります。プログラム上では「2枚〜35枚」と書いてあるにせよ、ちゃんと説明できないなら「3枚〜39枚」で良いんじゃないの? その方がバグかもしれない部分を含めて挙動のすべてカバーできているんですし。

13Gヤメする人の多さから、1G目で決定する「3+35=最大38枚」というのが正しいと思えます。しかし、小役が揃って(払い出し分は打ち込む必要あり)ズレて38枚ジャストとなった場合、次のゲームを回さずにヤメられる人もそうはいないでしょう。

39枚ジャストで当たったことも普通にあります。浅めのA天井スルーのB天井浅め(最短10枚)で、次のA天井も浅めでヒットとか、解析値でも説明のつく可能性があります。ただ、そうと決めつけて38枚でヤメるのは怖いです。ね、もう3枚〜39枚ということで良いじゃん(笑)。

 

誤った知識で正確な思考を阻むのは、好きでありません。ただ、正確な表現に拘りすぎて伝わりにくくなり、それで損をさせてしまうのも論外です。この機種をどう伝えよう? その葛藤がライターとして大事であり、表現の選択肢の幅を広げるために遊技機規則や業界知識が必要と思わされます。まあ『アニマル』を語ったところで、今さら感は否めませんが。タイムスリップして、この機種が担当になったとき、どう紹介しようかとか考えちゃう性分なのです。

ホールで打てる機種だけがパチスロではありません。ギャンブル性がなくなり、むしろ純粋な遊技とも言えます。しかも、大昔の機種はリールと挙動だけのなので、打てば打つほど経験値が貯まるというのと、まだ解析も創成期で成熟していないところに考えるロマンがあるのではないでしょうか。なんでもかんでも情報がありすぎると、こうやって考えることがなくなってしまうんでね。与えられた情報を伝えるだけのペーパーバックライターになりがちです。

とにもかくにも。業界全体が使い捨てとなる中、昭和の機種でああだこうだ考える機会をくれ、歴史や文化を守ってくれているスロゲーセンには感謝しきりです。令和の時代もよろしくお願いします。私はギャンブルとしてではなく、遊技としてのパチスロが大好きです。それは平成でも令和でも変わることはありません。