私も肩身の狭さを年々痛感している喫煙者です(笑)。それにしても、愛煙家と嫌煙家の議論は不毛となりがちですよね。いやいや、ここでマナーや喫煙そのものの是非を書くつもりはありません。もっと適切な場が設けられるはずなので。

 

ただ少しだけ。パチンコ屋という場所に限って言わせていただければ。喫煙者は非喫煙者がいることに配慮し、非喫煙者も「配慮はしてくれているんだなあ」くらいは感じてくれれば(足りているかは個人差あり)と思います。

ご存知の通り、残念ながらパチンコ業界は衰退産業となってしまっています。喫煙者を締め出して、非喫煙者だけでは成り立ちません。喫煙者から見ても、より非喫煙者に参加してもらいやすい環境となれば、通っているホールの売上も上がり、お気に入りの場所で打つ機会を守れます。

賭場という側面もありますが、18歳未満が立ち入れない大人の社交場なんです。思いやりを持っての“共存共栄”がわからないお年頃でもないでしょう。

 

ま、その前に。東京五輪に合わせて、2020年4月に健康増進法が一部改正されて喫煙環境は大きく変わります。私が聞いたところでは、もう間もなく正式な改正案が出てくるのかな。昨年の夏にあった遊技機規則の改正と同様にパブリックコメントが開かれます。思うことがある方は、厚生労働省に向けて書いてくだされば。

……で、終わっては何なんで。正式案の前段階を参考に、パチンコ業界への影響について書いてみようかと思います。

 

 

○喫煙室の設置問題

健康増進法の一部改正によって、受動喫煙を強いられることはほぼなくなるかと思います。特に室内はほぼ禁煙となり、タバコを吸える場所が限られるからです。問題となるのは、その喫煙スペースの作り方ですね。屋外に喫煙スペースを作れるホールは、打っている台から遠いなどの利便性を除けば最悪なんとかなりそうです。

しかし、駐車場もないような都会のホールは大変。喫煙室を作らなければ、完全禁煙のホールとなるだけ。営業面積を削ってでも作ることになります。

 

現段階では、喫煙室へと空気の流れを作り、外に有害物質が出ないよう閉じ込め、その中で空気清浄をする方式となりそうです。煙の出る普通のタバコと煙の出ない加熱式・電子タバコによって、喫煙スペースの扱いが若干異なります。

煙の出るタバコに関しては、喫煙室の中でのみ吸うことができます。ここでは飲食不可です。パチンコ・パチスロを遊技することもできません。

煙の出ない加熱式タバコについても、喫煙室(スペース)の中でのみ吸うことができます。加熱式タバコ専用の喫煙スペースでは飲食が可能。転じて、パチンコ・パチスロを遊技することが可能と言われています。こちらの喫煙遊技可能スペースの広さについては、これから決まっていくのでしょう。加熱式タバコであれば、ほぼすべてのスペースを喫煙可能と解釈できるのかはわかりません。また、別個に普通のタバコ用の喫煙室は必要です。

実は加熱式タバコのみ喫煙可能としている実験店舗も大手チェーンで既に存在します。それが好評なのかまでは勉強不足で存じませんが、加熱式タバコが吸えるスペースなど正式決定を待っているホールが多いように感じます。

 

ちなみに、ユーザーから見える部分だけでなく、バックヤードも同様で事務所も禁煙に。従業員専用の喫煙スペースも必要でしょう。大昔は休憩所のベンチをパンチパーマの店員さんがタバコを吸いながら常駐していましたな。休憩時間だったかは知りません(笑)。

最後に大事なことを書きます。どの喫煙スペースにも、20歳未満は従業員でも立ち入ることは許されません。こんなところかな?

 

写真はエスパス日拓赤坂見附新館の喫煙室。全面禁煙店舗にする予定で作られたものでしたが、結局は普通にタバコを吸いながら打てる形でオープンしました。なお、扉の下の形状を見てわかるように、これも改修が必要となります。

 

○パチンコ業界は後手を踏んでいる?

居酒屋はファミリー層の取り込みなども考えられますが、ホールは完全禁煙であろうが18歳未満の入場は親子連れでも禁止です。そもそも喫煙者の比率が他よりも高い業界。いずれにせよ喫煙室は必要でしょう。

喫煙室目当てに、今までパチンコに縁のなかった人が入店し、そこからユーザーとなってくれる可能性もあります。数少ない新規ユーザーを発掘するチャンスでもあると私は考えます。

 

よし作ろう! 間違いなく立ちはだかるのが、パチンコ業界を縛る風営法です。設置台数や営業面積の変更にも申請が必要に。リニューアルの休業期間も地域によって日数は違いますが必要です。

高いお金をかけて作るなら先のことも考えておきたいところ。いまは室内循環式の空気清浄ということになっていますが、数年後にはさらなる改正で外に排気を義務化する可能性もゼロではありません。壁に穴を開けてダクトを付ければ……喫煙室を予定している位置は、穴を開けて建築基準法にかからない場所なのか? そういう問題も出てきます。

詰めるところは、厚生労働省だけではありません。風営法・消防法・建築基準法・その地域の条例……実にややこしいのです。また、喫煙室が必要となるのはパチンコ業界だけではありません。ホールの何倍もの数がある飲食店もそうです。施工業者の奪い合い。全業界の望む店舗のすべてが2020年4月までに設置できるものなのか。

 

問題はそうしたハード面だけに留まりません。答えを待っているように、加熱式タバコの喫煙遊技可能スペースをかなり大きく取れたとしましょう。

20歳未満の従業員がそのスペースで働くことはできません。というか、20歳未満のユーザーも立ち入れません(笑)。そもそも普通のタバコ用の喫煙室は必要になるんですし、2020年4月という開始時期は動きません。時間も限られています。なに待ってるんでしょうね? ほんとに。

こういった危機感を持っているホールオーナーは多くないかと思います。早めに動けば、自治体から喫煙室設置工事の助成金を貰えたりもするんですけどね。

 

ユーザーの皆さんには、良くも悪くもそういう時代が来るとしか言えません。ひとまず、健康増進法の一部改正以降も頑張るつもりのホールは、必ずリニューアル休業をすることとなります。いつまで経ってもやらなければ、潰す予定なのかもと慎重に見極める対象になるかな。

2020年4月に間に合わなかったホールは、喫煙者を近隣競合店に奪われるだけでなく、そういった疑いの目で見られるリスクもあるのです。経営方針のミスで出玉が減らされることは避けていただきたいと願うばかりです。

 

……と、偉そうにワーワー言っとりますが。この原稿、タバコが吸える喫茶店で書いております。私は書き仕事のリズムを変えなきゃならんことも心配だったりします(笑)。