7月22日の昼…このコラムを書いています。

前日が参院選の投票日。

前のコラムで紹介した尾立候補が遊技産業の後押しを受けて出馬されました。

結果は…落選。

今回のコラムは今回の選挙の総括と、これから起こることの予測を書きたいと思います。

 

まず、落選の理由について…一言で言ってしまえばパチンコ業界は政治的な票田(支援を受けて一定の得票が見込める団体)ではないということですね。

自民党比例区で上位当選された候補者の肩書を見ると、郵政関係、道路族などがいるのがわかります。

こういった業界は一丸となって投票し、自分たちの意見を国会に届ける気概(伝統?)があった。

しかし、パチンコ業界でそれは難しかったようです。

 

選挙速報を早朝まで見ていて、得票が伸びないことに唖然としました。

事前に業界関係者に聞いた票の予測では「パチンコ業界(ホール・メーカー)で働いている人が20万人ほど。その親族も合わせると100万人ほどいて、そのうち5人に一人が投票しれくれれば楽に当選する」と聞いていたので、当選にヤキモキするとは思っていなかったのです。

 

前回の参院選自民比例の最後に滑り込んだ方の得票が約10万票だったので、当選ラインを楽々超えています。

しかし、尾立さんを支援していた遊技産業側としてはもう一つ先を見ていたのだと思います。

 

一つ先とは、次の選挙での純粋なパチンコ業界人の擁立です。

実は、尾立さんは日本猟友会の支援も受けていて、そこからの得票が5万票ほど見込めると言われていました。

今回、15万票で当選したとする…しかし、そのうち5万票は猟友会からの得票になるので、これでは次回パチンコ業界から候補を出しても当選は厳しいです。

20万票で当選すれば、パチンコ票だけで15万ほどある計算になるので、パチンコ業界単体の支援でも一人議員を送り出せる計算になります。

 

だから、業界的な目標ラインは20万票。

あわよくば30万票以上を獲得して、次回業界の支援を求める議員が出てくることを期待していたでしょう。

しかし結果は…惨敗。

9万票ほどだったので、パチンコ業界の票は4万ほどでしょうか(実際はパチンコを嫌う猟友会関係者が投票しなかった可能性があるので、もう少し多い)。

この数字を見るとパチンコ業界単体での擁立なんて夢のまた夢…。

 

どうしてこうなったか…と考えると、パチンコ業界に一生を捧げようと思って働いている人が少ないのかなと。

例えば、アルバイトの子が尾立さんの話を聞いてもどこか「自分には関係ない」と思われてしまったのかなと。

前のコラムでも書いた通り、だいぶ業界の上の方を向いて選挙活動をしていたのがマイナスに働いたのかもしれません。

パチンコ業界は水が流れるように上から下に意思疎通ができる組織ではないので、もっとドブ板選挙にしなければいけなかったのかなと感じました。

 

また、ファン向けの言葉が少なかったのもどうだったか。

一度ライターとの座談会のようなものがありましたが、原稿があったのかなと思うくらい当たり障りのないやりとりをしただけで「何をどうしたいのか」がまったく伝わらなかったです。

ライター陣も臆せず突っ込んで、もっと言葉を引き出して欲しかった。

この他のファン向けのメッセージは「好きだった機種はなんですか?」とツイッターで聞いたものだけなので、これではファンは投票動機にならないですよね。

 

私のようなライターや業界でパチンコの仕事に従事している人ならともかく、一般の方は遊びとしてパチンコに接しているだけです。

その方にも生活があり、それを良くしますよと具体的な話をする候補がいるのに、息抜きで接するパチンコのこと…しかも具体的な約束がなされないのであれば、仕方ないことだと思います。

 

さて、それではこれからパチンコ業界がどうなるのか…「4号機の頃に戻れなくなった」と答えるのはだいぶ楽観的かと思います。

今回の選挙でパチンコ業界は「法律を根拠にしない恣意的な規制や、その効果に疑問の残るギャンブル障害対策はおかしいのではないか…民意を聞け!!」…と警察にアピールしたに等しいです。

そして、民意は業界の思いと反対の方面に示された。

警察としてはこのまま業界を締め付ける根拠を得たようなものだと思います。

 

また、「次の選挙でもまた誰かの擁立を…」と言うのも楽観論。

「政治家は落選すればただの人」と誰かが言いましたが、我々の業界は尾立さんを浪人にしてしまいました。

一人の人生を大きく変えたのです。

もし、自分が立候補者の立場だったら、今回の得票をみてこの業界の支援を受けたいと、人生を賭けてみようと思うでしょうか?

次は、ないと思うべきです。

 

あり得るのなら、損得とは別に業界を愛している人が業界のために立つこと。

そして、その声に心打たれたファンが応えてくれることくらいかなと思います。

…まあ、この認識の甘さが今回の敗戦に繋がったのだと思いますが…。

 

今はまず、尾立さんに「お疲れさまでした」と「ありがとうございました」を伝えたいです。

風は吹かなかった、潮目は変わらなかった。

パチンコ業界はどこに流れていくのでしょうか。