開店プロとはその名の通り、新装や新規、リニューアル開店を狙うプロのスタイルだ。
今は一般ファンも同じことをやっていて、別に目新しくはない。

違いとすれば、組織化されたメリットか。前記の新装情報を会員の人海戦術で集めるので、個人では手に入らない広範囲のホール情報を得ているわけだ。
今となってはインターネットの発達で、誰でも遠くの店の情報が手に入るが、昔はそれが開店プロの大きな武器だった。

他には人数の利か。誰しも大勢の仲間がいる人間に口は挟みにくい。整理券や抽選システムが無かった時代は、並びへの横入りも横行していたが、そういった面の話だ。
(もちろん、開店プロにも不正をしない打ち手はいたし、一般人やピンの打ち手にもズルい人はいる)

機種や店の把握も大きい。個人の能力には限界がある。大所帯ともなれば、必ず腕が立つプロはいる。そういった人達が何人も集まっているのだが、基本的に新台を狙うスタイル上、多くの勝つ術を得やすい。また、店のクセ等も理解度は高かったはずだ。

成り立ちとしては、一発台の登場に端を発していたと言われたりする。これが真実かは自分のキャリアでは検証できないけれど、短時間で大きな稼ぎが得られる一発台はたしかに儲けやすくて、入れ替え情報と並び勝負で飛躍的に高時給を手にするにはベストだったろう。

組織の形態は在籍した何人かの知り合いによると…。
・ケツモチ
まあ、「ヤ」の付く自由業の方々ですね。バックを貰い、トラブル時の対処役を担うと言われていました。
・会長~幹部
現実の打ち手のトップで、取りまとめ役です。世間の会社の上層部と一緒かも。聞いた話だと「会費の中から取り分があるのは幻想。あっても大した額じゃないよ。ボランティアみたいなもん。それは我々が日々打っていることからわかるでしょ」とのことです。
・他
電話番は会員の交替制だったと聞いたことがあります。
会費の徴収は班長(そんな役職もあったような…。幹部と勘違いしていたらごめんなさい)が行う組織の話を聞きました。会費は同じ組織内でも多少違うとか(入った時期しだい?)、「たくさん勧誘したら自分の会費が安くなると聞いてたけど、結局下がらなかったよ」なんて笑い話もあります。
そうそう、月に一度は交友会があるという組織の話も…。まあ、グループといっても基本的に稼ぎは個人の才覚によるもの(時にはノリもあったでしょうが)。現場で諍いが起きぬように、普段からコミュニケーションを取るってことですかね。
あとはその日の報告を毎日しなくてはならず、シンネコ(内緒で美味しい思いをすること)のご法度だとか、割り当て地域の開店告知のチェック等、掟もあったようです。

ちなみに、関東には5大組織があるらしく、S、H、D、K、Tという名を聞きました。これはちょっとした揉め事があった時に(自分は部外者でしたが)、誌上メディアでもコラムを書いていた村上プロから聞いた名です。
他にも独立系(ケツモチがいない? 理由はよくわからないです)の組織は存在していて、西東京では「O」という名を何度も聞きました。釘読みが多摩でNo.1と謳われたI氏や、自分が小僧の頃から独自の立ち回りをしていたT氏などはそこだったのかな。
I氏には自分を一時誌上で活躍したアビコ君の弟子と勘違いされて、苦笑いもしたなあ。
T氏はポチが若い開店プロに絡まれていたところを助けてもらったと聞いたこともありました。後日たまたま同じ店で打った日にお礼を言ったら、恐縮されたりもした。

正直、世間が狭かった小僧の頃は、組織だった打ち手に良いイメージは無かった。けれど、パチンコの世界へ深入りして知り合いが増えるうちに、自分は考えを変えていったのです。「やっていることは似たようなもん。マナーが悪い打ち手は苦手だけど、そんなのはピンの打ち手にだっている。いい人もいるし、所属する友人もできた。毛嫌いするのも違うかな」という具合にね。