さてさて、選挙も終わって通常モードに。皆さんからお題をいただいて感謝しております。よしぞーさん、お待たせしました。今回の質問はこちら。派生する質問は分けさせていただきました〜!

 

Q1)パチスロの開発は2〜3年かかると聞きました。それにしては、出玉率の上限とか下限とか、ルールの変更を受けてから開発するのであれば、もう少し時間がかかると思うんですけど。

開発期間は、まちまちですね。なくなったメーカーのは書きやすいので実例を挙げますと。SNKプレイモアの『スカイラブ3』は2011年6月に導入されましたが、キャラの設定資料が社内の稟議を通ったのは、2010年2月あたりでした。設定資料を作るということは、その前に開発するかを決めていたので、足掛け2年弱かかっていたと予想できます。

しかし、この設定資料。『スカイラブ3』だけではなかったんです。2012年5月に導入された『スカイラブ4』も同時に社内の稟議を通していました。平行開発で、こちらは3年弱ということに。『戦空のキセキ』とかは、いつから作っていたのは知りませんけど(笑)。

他のメーカーですが、「この題材や演出を使って何かを作ろう!」そんな企画段階から数えると、8年目で実機が完成したとかもあるようです。

 

それなのに、ルールの変更を受けて、すぐに何機種か出てくるのは不思議ですよね。簡単に言うと、出玉設計などのメイン基板部分と液晶演出などのサブ基板部分は、別々に開発されていることが多いからです。

4号機から5号機へと遊技機規則が改正された際は、規則の条文がほぼ全面的に書き換えられたこともあって(厳しすぎたので開発意欲が薄かったのもあります)、改正から1年近く5号機は登場しませんでした。今回の5号機から6号機は、新たな内規が発動した2018年4月から半年足らずで『HEY!鏡』が登場しました。これは、出玉率関連を除いて条文がほぼ同じなので、出玉設計以外の技術的な変更点が少なかったというのもあったことでしょう。正確なことはわからないですが、元々5.9号機が長く続いたときのために液晶を作っていて、あとからメインのシステムを作って張り合わせた形かと思います。

5号機AT機で平和・オリンピアの発売ラッシュが凄かったのは、基本システムがどれも同じで良かったからです。モチーフに合わせて特化ゾーンなどの演出を変えるくらいなのは、イチから作るよりも遥かに簡単だったと予想できます。それだけの版権と、同時進行的にいくつも液晶を開発できるところを押さえていたのも凄いことなんですけどね。

 

その逆というか、前時代の無難なシステムに戻すこともあります。5.5号機でボーナス+ART機(?)として作っていたものの、5.9号機となってしまい。あの厳しい有利区間の概念ではムリだと路線変更が余儀なくされたと予想される機種も見かけました。『戦国乙女TYPE-A』『めぞん一刻-桜の下で-』『エイリヤン エボリューション』『ヱヴァンゲリヲン-暴走400-』あたり。一発抽選のボーナスには無意味な特殊ステージとか、チャンスゾーンの予定だったんだろうな……と想像できます。あくまでも予想ですけど。

慌てて出さずに、6号機になるまで寝かせれば良かったのに? 版権には有効期限というものがあることも。延長料金を払えばOKだったり、期日までに必ずリリースしなければならないなど、契約内容もいろいろでしょう。また、市場シェアの関係など、どうしても空き期間を作りたくないとか……ね。

Q2)開発中の台の出玉率を抑えるということであれば、15枚役を7枚役にするとか、その逆もあったりするんですか?

もちろん、あり得るでしょう。それによって大当たり出玉だけでなくベース(50枚あたりの回転数)も変わるので、初当たりを調整したり。出玉設計班はエリートの集まりです。

 

Q3)「もうじきルールが変わりそう」というのがあって、あらかじめそれなりに開発しているのですか?

上で書いたように別個で開発しているもののドッキングが多い……で終わらせたら面白くないので。

ルールが変わりそうというのは、薄々感じることもあるでしょう。5.9号機の内規も6号機の遊技機規則も、私ごときでも正式なものの前にうっすら聞こえてくるものもありました。でも、蓋を開けてみると微妙に違っていたりするんです。なので、ルールが変わりそうという噂段階で、開発さんは頭の中でどういうことができそうか考えることはあっても、会社として作り始めることはないかと思います。

ちなみに、6号機になるまでの一連の規制は、2014年9月から始まりました(5.5号機へ)が、スタートは保通協の出玉試験の変更(すべての押し順を調査)でした。「そろそろ来そう」と業界の誰もが予感はしていましたが「来月からそうするから」と、なかなかに唐突なタイミングで発表されました。このときは少し手間取りましたかね。それでも多くの5.5号機が登場しました。

このように開発の方の対応力は凄いので。遊技機規則を改正する際には、思いっきり変えて新しいゲーム性が生まれるようにしていただきたいものです。5号機初期は冬の時代と言われますが、ゲーム性はいろいろあって面白かったなあ。