前回のコラムの冒頭でも触れました、旗艦店「本店」。
2年の工期を経て、いよいよグランドオープンです。
※前回のコラムはこちら
「グランドオープン準備」
このグランドオープンに伴い、従来の本店の店長が、社長の独断によって「複合施設全体の支配人」となり、パチンコから外されました。
店長が不在の為、既存の系列店の店長・役職が分担して準備に臨みます。
ですが、分担したが故に、みんな「自分の持ち分だけやれば良い、あとは知らないよ!!」こんな雰囲気です。
全額借入金20数億円の投資による、社運を賭けた1大プロジェクト。失敗は許されません!!
・・・しかし、何度も会議を重ねたが、社長が怖い為、みんなイエスマン。私も新参者の為、角が立つのが嫌だから遠慮がち。
内心「これは、絶対に失敗するな。。。」と、私は確信していました。
グランドオープンを迎えた本店ですが、設置内容は以下の通りでした。
- 1階:4パチ 360台(等価交換) ※40台1ボックス×計8ボックス
- 2階:1パチ 80台(0.5円交換) / スロット 80台(等価交換)
更に、パチンコでは沿線初となる各台計数器を全設置台に設置!!
2年の休業だった為、遊技台はジャグラー以外は全部購入!!
特に、当時のパチンコで主軸であった「北斗の拳 剛掌」、「花の慶次~愛」、「牙狼」はBOXで構えるべき状況だったのですが、1台70万~100万以上の中古相場で手が出なかった上に、一部再販も年末の為、10台ずつしか用意出来なかったのも痛い。
これら状況を踏まえ、社長不在の会議で私は言った。
ホワイトボードに手書きの島図面を描き、「この戦いを制するには、下記が必須条件となる!」と。
【 猫店長 推奨理想1階 360台】
- 「海」シリーズ:2BOX 80台
- 「北斗」:1BOX 40台
- 「慶次」:1BOX 40台
- 「牙狼」:1BOX 40台
- 「仕事人」「ヱヴァ」「アカギ」「加山雄三」など:各10台 計 1BOX 40台
- ミドル、マックススペックのバラエティー:1BOX 40台
- 遊パチ「海」1BOX 40台
- 遊パチ バラエティー 1BOX 40台
すると、先輩店長が鬼のような剣幕で私に詰め寄りました。
「そんなの皆分かっている!誰がそれを社長に言うんだ!!猫くんは言えるのか?北斗、牙狼、慶次だけで軽く1億円超えるし、店全体の機械代だけで2億円以上になるじゃないか!」と・・・
この一言で私は頭に来てしまい、「1階360台の選定に助言をするのは止めよう。。。」と決めたのです。
結局、私が推奨理想として描いたうち「海:80台」だけは新台で確保出来たのですが、他は遊パチも無く、ただ「安い中古機種を並べただけ」の島図になったのです。
このとき、口を出すまいと思いつつも「流石に遊パチが無い状況では、等価で高単価過ぎてヤバイ。」と警告したものの、先輩店長は「1パチが有るから。」と、聞く耳を持たなかった。
また、ある店長は私に「海は液晶横のバラ釘と”ぶっこみ”も開けた。」と、笑いながら言って来ました。←「オイオイ!!その釘、後で誰が戻すの?」と、思わず心の中で叫びました(笑)
ともあれ、こんな状態じゃ成功する訳がないです。
とは言え、無常にも刻一刻とオープンは近付いて来ますので、並行して以下のような準備も進めます。
↑島補給メーカーの作業が、他の工事と重ならないよう仕切るのが通例
↑柱が無い最新の工法らしい
↑↓制服選定のモデルは、猫店長と私の店のスタッフが担当
※猫店長が担当したのは・・・
- 2階1パチ全80台、スロット80台の機種選定、配置、調整(設定配分)
- 1階4パチ80台の調整
- 従業員採用面接(共同)
- ユニフォーム選定
- 販促(折り込み、駅貼り、宣伝カー、ティッシ配布、イベコンさんなど手配)
更に、私の店がこの旗艦店に一番近い為、突発的な事は全て請け負うことに。。。
いよいよグランドオープン
どうにかグランドオープンを迎えたものの、社長から具体的な赤字予算、放出額の指示も無く、試し打ちも殆どしていないと言う状態。
これでは、稼働が伸びないのも当然ですし、オープン4日目にして4パチは2割稼働を切り、悲惨な状態に陥っていました。
※なお、私の担当した2階の1パチについては連日満席、同じく担当したスロットも6割稼働と、グランドオープンから上々の滑りだし(実話)。特に、1パチは自分の店での成功例を踏まえ、0.5円交換(20割分岐)でブン回したのでした。
ただ、私の守備範囲が上々であっても、店舗全体の稼働率は日に日に下方に推移していく窮状。。。
グランドオープンから2週間が経った頃、社長に呼ばれます。
社長「猫さん、、、こんな屈辱は初めてだよ。。本店の店長を頼むよ!建て直してくれ!!」
猫店「それは出来ません。先輩店長達が居ます。先輩達を差し置いて若輩者の私が本店の店長を勤めるのは、流石に角が立ちます。」
社長「それでもお前しか居ない、他の奴には出来ない!分かっているよな?」
猫店「(先輩達がなんと言うやら・・・とは言え、これは逃げ道が無いな。。。)どうしても私がと言うなら承知しました。但し既存店の方も有るので、そちらを担う店長クラスの人間をもう1人入れないと無理です。私が連れて来ても宜しいでしょうか?」
社長「いいよ。その呼ぶ人の給料も猫さんが決めればいい!」
ちなみに、この頃の私は「自分の店」と「本店」の掛け持ちで、クタクタ70日連勤。。。
朝9時~翌日3時までの18時間勤務とかが普通でした。
まぁ、ちゃっかりと途中で少し抜けてデートしたり、クリスマスイヴだけは休みましたが(笑)
本音を言えば、自分の既存店に彼女が居る為、本店の店長については引き受けたくありませんでした。
また、既存店スタッフとの関係もすごく良好でしたし、本当に愛着があった。と言うのも、引き受けたくない理由のひとつでした。
とは言え、本店の店長を引き受けた以上は、どうにかするしかありません。
そこで、既存店に「後輩で業界経験15年の友達」を店長として、更に、「SNSで交流があった人」を「昔からの知人」と偽り、副店長として招きました。
ただ、この人選と任命の結果、とんでもない裏切りを受けることになってしまうのでした。。。
次回は、この失敗を建て直すお話です。
とんでもない裏切り、、、次回も楽しみですね。
猫店長のお話をお聞きし、当時自分の町にも社運をかけたであろうお店が何軒かオープンしましたが内情は色々あったんだなあと拝察しました。
どこの業界でも人間関係は大変だなあとも思いました。(^_^;)
たけきちさん★
そうですね、皆さんオープン時は必死だったと思います。
また、人間関係はどの業界も大変です。
この頃は北朝鮮がテポドンを発射した事により、政府から総連系の店には融資、リースをするな!!圧力が
あり、真面目なホール業者は資金計画の変更を余儀なくされ大変な時期だったのです。
オーナーにも社運を賭けるくらいの意気込み派と、金なんか無ければ借りればいい!!と楽観的な人がいました。