前回は新宿駅東南口のホールの想い出を書きましたが、今回は“街とパチンコ”というテーマでもう少し小さな駅を書いてみようかと思います。音楽と演劇の街として若者に人気の下北沢です。私が大学を卒業するまで生まれ育った街。パチスロを初めて打った街でもあります。

小田急線と井の頭線のみと巨大ターミナルではありませんが、新宿にも渋谷にも出やすい立地。どの方向も住宅街なので昼夜問わず人口も多く、山の手と下町が一緒になった住み心地の良さがありました。

1990年に私がパチスロを始めた当時、パチンコ屋は5軒。最盛期でも6軒。閉店と新規開店を繰り返していましたが、2010年あたりからは3軒に。2018年以降は2軒の中型店のみとなっています。

井の頭線も小田急線も両隣の駅にホールはありません。徒歩圏内の住民をむしろ若者に人気と言われる街ほど閉店ペースは早いように感じます。下北沢の近くでは三軒茶屋もそうですかね。

 

駅前の一等地は、女優の小池栄子さんの実家のパチンコ専門店でした(現在はゲームセンター)。商店街では「パチンコするならフジ」という有線の広告アナウンスが流れていたのをよく覚えています。それを毎日のように聞き、お菓子がたくさん入った紙袋を持った大人が出てくる姿を見て育ったわけです。

今の子供はどうでしょう? 3日ほど情報収集用のSNSや専門サイトを見ないで普通に生活してみてください。恐ろしいほどパチンコ関連の話題は入ってこなくなります。かろうじて耳にするのは、良くないニュースでしょうね。これが普通。大人になったらパチンコをしてみたいと考えるわけがありません。育った環境が違いすぎるのです。

作詞家の松本隆さんがこのようなことを言われていました。「そもそも少子化なのに音楽シーンは若者向けばかりあふれている。人数の多い年配層向けのものも」……と。

これはパチンコにもそのまま当てはまるのではないでしょうか。機種は変わっていっても”居場所となる空間”を保ってあげることが大事。それもできず、若者への訴求効果も低い状況。下北沢のパチンコ事情が、いまの業界の苦境を物語っているように感じます。

いかん。連続して暗い話だな(笑)。