ついに、このときがきてしまいました。ズバっとした答えを導きだせないスーパーハイレベルな質問です。どうして私が解説できないのか、言い訳タイムになりそう(笑)。では早速、徘徊さんからいただいた質問内容から。

 

Q)『RE:ゼロ』の配当表を確認したのですが、封じ込め用の1種BBとは別に、CB(普通役物)が記載されていました。個人的な予想としてはシミュレーション試験対策の一環なのかな〜くらいに予想はしてみたのですが、あまり自信がありません。

 

使用している専門用語も然り、超上級者ですね。大抵のシステム推測は正解を導き出せるでしょう。自信を持ってください(笑)。私も考えられたのはそこまででした。ゲーム性に影響を与えないもの(不要なもの)をわざわざ搭載するのは、保通協の試験対策にほかありません。

とあるメーカーの開発さんから、こんな話を聞いたことがあります。「5号機は上限が3枚/Gの自主規制があるので使う必要はないけど、より純増速度を上げるためのアイデアとして“アクセルSIN”というのもある」。この“アクセルSIN”が『RE:ゼロ』の配当表で見られるSIN(普通役物)なのでしょう。徘徊さん、正解です。

 

○内規はコロコロ変わるもの

これ以上、深く考察できないものなのか。我々打ち手には、与えられた材料が少なすぎるのです。前回、『蒼天の拳−朋友−』のようなボーナスを回避したり、揃えたりするゲーム性が作りにくくなる内規の変更があったと書きました。実は、それ以外にも「正確な役構成を表示しなくてOK」にもなっています。このように、内規は“公表されずにシレっと変わるもの”なんです。

出玉性能がかなり変わる際は、表に出てきやすいです。5.5号機や5.9号機のような規制強化だけでなく、再びAT機を作れるようになった6号機スタート時の内規もそうでしたよね。それは、ニュースとして需要があるのと、ある程度の知識でも大枠は解説できてしまうからでしょう。

そういった目で見てみると。普通役物に興味を持つ人は、スロッターの0.1%もいないかと。そんな需要のなさから取り上げられることもなく、現状がどのように運用されているかさらに分からないままとなった要素でしょう。卵が先か鶏が先か。いずれにせよ、ミステリアスな存在なのです。よし、言い訳できた(笑)。

 

○普通役物(SIN)運用の追跡捜査(1)『戦国無双』

SIN(シングルボーナス)という言葉と概念は2号機からあります。4号機までは「1GだけのJACゲーム」として、1枚掛けで15枚払い出される形。文字通り1回きりのボーナスだったのです。このSINの確率が10倍アップする、コインを増やせるゾーンとして“集中”というのも作れました。『アラジン』シリーズの元祖は2号機。アラジンチャンスは、SINの確率アップ区間だったのです。その当時、SINの法律上の正式名称は“役物”。集中は、“十倍役物”でした。

5号機になって集中は廃止。役物という言葉と概念も遊技機規則から消滅しました。それに代わって登場したのが普通役物(5号機版SIN)。揃ったときの払い出しはナシ。簡単に言えば0枚役のようなものです。……と、今では言えますが。メーカーの開発陣もどのように使うのか、見当もつかなかったのかな。まだ4号機版SINのイメージを強く持っていますし、コインを出せないSINに何の意味があるのか。そう思って当然でしょう。

普通役物が一部マニアから脚光を浴びたのは、山佐の『戦国無双』が最初かと思います。当時流行していたのは、ボーナス後のRTがパンク出目出現まで継続するタイプ。ナビが出ているうちは、そのパンク出目を目押しで回避できるゲーム性でした。

多くのメーカーは、このパンク出目を色違いのチェリーなどにしていましたが、パンクを回避するために小役をワザと取りこぼす必要がありました。しかし『戦国無双』は、パンク出目を普通役物とすることによって、小役を取りこぼさせないことに成功しました。小役を取りこぼさないということは、1Gあたりの純増枚数をMAXにできるということです。これが0枚役としての綺麗な使い方かと思います。

 

○普通役物(SIN)運用の追跡捜査(2)『ドリスタ』

4号機時代は、ボーナスのように扱われていたSIN。その名残りの方向を模索した機種もありました。ネットの『ドリスタ』です。この機種は、SIN入賞後の1Gだけ特殊1枚役を抽選。その1枚役が入賞するとRTに突入するというユニークなゲーム性になっていました。

……このシステム。『ドリスタ』だけなんです。「適合させちゃったけど、この方式やっぱりダメね!」と、内規が変更されたようです。その理由は、普通役物入賞後の1G、消化中は「通常時と同じ小役確率でなければならない」ということのようです。

ちなみに、SIN揃い後の1GもBIGやREGといった普通のボーナスを通常時と同じ確率で抽選します。なので、4号機時代のSINを知っている方、無抽選ではないのでご安心くださいませ。今さらかもしれませんが(笑)。こちらは『戦国無双』の開発さんに聞いたんですけどね。携帯サイトで開発さんにリアルタイムに質問できる企画がありまして。素性を明かさずに質問してみたのです。開発さんと直にやり取りできる機会は少ないので、またやって欲しいなあ。

 

○普通役物の運用は分からん!

こういったゲーム性に関わる部分ですら、内規の話はまったく出てきません。『ドリスタ』の話も、いろいろなメーカーの方から「あの方式はダメになった」と教えてもらったから書けますが、この内規変更についてのニュースなどは一切なかったかと思います。

そうそう。パチスロには技術介入が必要で。完全適当打ちで小役もボーナスもすべてを揃えられるゲーム性はNGとなっています。その内規になった際、『ミリオンゴッド』潰しと言われましたが『アナザーゴッドハーデス』は、普通役物があるからOKだとか。実際に殺されるのは『リラックマ』だったのです(笑)。

 

普通役物に関わることで、表に出ていたり推測できるのはこんなところかな? シミュレーション試験対策のための存在とか、普通役物に興味を持つ0.1%の人の中でも、さらに少数でしょう。このニーズのなさから、業界サイトなどでニュースとして見ることは、今後もほとんどないことでしょう。よほど効果があって封じられるときくらいかな。でも、そんなに効果があるなら、打ち手からも簡単に想像ができるかと思います。

普通役物について、こんなにガッツリまとめて書いたのは初めてです(笑)。マニアックな質問をしてくれた徘徊さん、どうもありがとうございました!