昭和64年1月7日、午前6時33分。昭和天皇が崩御されたことに伴い、昭和64年はわずか1週間で幕を閉じました。私はこの頃、大分市にある某商社で見習い営業マンをやっていたんですが、その日の朝礼で社長が「今日は仕事をするんじゃないぞ。仕事をしてたら右翼に叩かれるからな…」と言って、総務部に半旗を掲げることを指示し、そのまま社員全員が早退させられたことを覚えています。

さて、どうしよう? 家に帰ったところで何もすることはないし、だったらパチスロを打ちにいこうか…と思ったのだけど、残念、パチンコ店も喪に服して店を閉めており、家で読書をするしかありませんでした。ただ、関西の一部地域だけは警察の要請によりパチンコ店が営業をしていた…という話を聞いたことがあるんですけど、実際はどうだったんでしょう? 個人的に凄く気になります。

無駄話はさておき、この年はいわゆる「2号機時代」の真っ只中。前述したように、私はサラリーマンをやっていたので、スロプーの頃と違って打ちにいくのは日曜&祝日だけでした。

平成元年のトータル

1月   +42,200円
2月   +51,400円
3月  +160,000円
4月   -16,200円
5月   -160,000円
6月   +14,000円
7月  +298,000円
8月   +26,000円
9月   -58,000円
10月  +234,100円
11月   +86,500円
12月  +117,700円

合計 プラス 795,700円

それでも、年間トータルで80万弱のプラスを叩き出しており、今よりも遥かに勝てる時代だったことがわかります。

この頃、私がメインで打っていたのは、アークテクニコの「アニマル」です。この機種は、差枚数吸い込み+確率抽選という違法なプログラムで「連チャン」と「ハマリ」と「フルーツ(集中)」の状態をループさせており、他の2号機よりも遥かに波の荒いゲーム性でした。

 

具体的には、設定変更時およびボーナス終了時の「Aゾーン」では、最初に吸い込み予定枚数(最小2枚~最大35枚)がセットされ、予定枚数に到達した瞬間に約60%の確率でボーナスを抽選。以後はこの抽選をパスするかぎり連チャンが発生するのだけど、運悪く抽選に漏れた場合はボーナス抽選をいっさい行わない「Bゾーン」に進みます。Bゾーンは最大800枚につき、現金で1万6千円突っ込めば天井に届くのだけど、そこで必ずボーナスが出てくるのかというと、そうではありません。Bゾーンを抜けた後は約50%の確率で抽選を行い、これに当選すれば「Cゾーン」に移行します。Cゾーンとはフルーツの集中で(25G継続)、終了後は再び50%の抽選を行い、これに当選するかぎりフルーツの集中がループするのだけど、抽選に漏れるとAゾーンに戻ります。

つまり、A~Cの3種類の「どの状態に居るか」でボーナス期待度が激変し、Bゾーンに滞在中はコインを吸い込むだけ(差枚数吸い込み方式なので小役は揃えるだけ時間の無駄)、いかに早くCまたはAゾーンに移行させるかがポイントでした。

悲惨なのは、Bゾーンのデスループ。現金で1万6千円突っ込めば天井に届くと前述しましたが、ここで言う天井はあくまで「仮天井」であり、CまたはAゾーンに移行するにすぎません。つまり、Cゾーンに移行してフルーツに突入すればまだいいけれど、フルーツにハズれて、更にAゾーンでのボーナス抽選にもハズれたら…待っているのは例外なくBゾーンです。実際には、必ずしも800枚の仮天井が選ばれるわけではなく、最小10枚でBゾーンを抜けることもあるんですが、デスループにハマると延々と現金を突っ込むだけになっちゃうから怖い。いわゆる「天国と地獄のゲーム性」であり、大勝ちか大負けがスタンダードなのだけど、アニマルは全国のプレイヤーから圧倒的な支持を得て大ヒットを飛ばします。てゆーか、みんな荒波機種が好きなんだなぁ…。

ちなみに、こうしたプログラムの中身が判明したのは平成元年の夏頃。当然、それまでは自分も連チャンの仕組みなんて全く知らなかったのですが、経験則からボーナス後にどれだけ回してヤメるのがベストかは体感的にわかっていたし、おそらく結構な頻度で高設定を掴んでいたと思うので、先に紹介したような収支を維持していました。

うーん…今になって考えると、私もそれなりにヒキが強かったのね。というか、この頃にヒキを使いすぎた反動で、今はヒキ弱キャラに甘んじているのかしら?

なお、昭和63年&平成元年には多くの2号機…正確には「2-1号機」がデビューしましたが、それらの一覧を下に記しておきましょう。

バニーガール(オリンピア)
フラッシュ(ニイガタ電子精機)
サファリラリー(エーアイ)
チャレンジマン(尚球社)
ウィンクル(高砂電器)
アストロライナー(山佐)
アメリカーナX-2(ユニバーサル販売)
ファイアーバードEX(瑞穂製作所)
トロピカーナA(メーシー販売)
スーパーセブン(パイオニア)
ペガサスラビット(パル工業)
アペックス301EX(サミー工業)
ガルーダ(タイヨー)
ベンハー(大東音響)
フルーツチャンス(日活興業)
デートラインZ-1(興進産業)
ガリバー(北電子)
ジャンプ(バルテック)

自分はいろんな機種に思い出がありますが、最も打ち込んだのは「アニマル」です。違法プログラムで連チャンを実現したとんでもない機種だったけど、今となってはセピア色の記憶の中でただひっそりとたたずんでいるのです。