前編からの続きになります。とある私鉄沿線の駅からパチンコホールがなくなるまでの話です。

4号機が完全撤去されたタイミングで2号店をオープン。タイミングが最悪だったこともあり、設置機種も微妙なものとなってしまい。狙っていた新規顧客の獲得も難しいまま数年が経過します。

2009年から押し順ART機が登場したこともあってパチスロが復権。恵まれたことに、近くには大学もあります。悪いイメージを持ってしまった学生も卒業し、まっさらな新入生を迎えてくれるのです。

○入れ替え戦略の大失敗

2010年12月の『緑ドンVIVA!情熱南米編』の頃には稼働率30%ほどに回復。毎日通えるほどではありませんが「フラッと様子を見る近所のホール」という位置づけになっていました。なお、私の5号機最高枚数は、昼過ぎから調べ物があって打った2号店の『赤ドン雅』です。閉店時も京都に行きたがっていました(笑)。

この2号店の絶頂期は、2012年1月に『パチスロ鉄拳2nd』を6台ほど導入した時期でしょう。とりあえず、何かは起こりやすい。そんな遊びやすさもあって高稼働となっていました。ゲームの鉄拳に親しんでいる世代、学生さんの支持を集めつつありました。

しかし、そんな好調期も自らの「しくじり」によって手放してしまいます。

2012年5月。当時は新機軸となる5号機版ATとして『パチスロ鉄拳デビルVer.』が登場します。こともあろうに『鉄拳2nd』が全部『デビルVer.』に入れ替えられてしまったのです。

鉄拳の人気だけで稼働していたわけではありません。お金の少ない学生さんにとって、遊びやすいゲーム性だから『鉄拳2nd』が支持されていたのです。そこに気付かず「鉄拳は人気だから、もっと粗利が取れるタイプに交換しよう」という投機的な考え方をしてしまったのだと思います。当然、集い始めた学生さんは、蜘蛛の子を散らすように消えていきました。

教訓:なぜ支持を集めているのか。打っているお客さんを見ることが大事。

数字しか見ないオーナーにありがちですね。もちろん、数字も大事ですが、それ以上に自店に通ってくれるユーザーにマッチするかが大事です。年配層だらけのホールに萌え系を設置したところで、秋葉原のように動くわけがありません。

 

 

○入れ替えの失策は続く

ジャグ系の中では出玉率が高く、ソコソコ幅広い世代で動いていた『ハッピージャグラー』。中古相場で高値ということもあって売却されました。代わりは「そんな機種もありましたねえ」という安い中古機。マニアックな機種を厳選して配置の妙でユーザーに提案するなどの狙いも一切感じられませんでした。

極め付けは、新台購入の『メガミリオネア』だったでしょうか。6台導入されました。この台数を見て笑ってしまいましたよ。特殊な売られ方をしていて、3台買ったら3台オマケしてくれたのです。だからピッタリ6台導入なんです。ゲーム性は、言ってしまえば『ミリオンゴッド』シリーズのパ●リでございまして。1/8192がある荒い機種でした。利益率は高いですよ。しかし、それは稼働があってこそ。学生街では苦戦必至です。『鉄拳デビル』から何も学んでいません

ここら辺りですね。次はどんな「しくじり」を見せてくれるか。それを見ることが楽しみになってきました。性格悪くてスミマセン。だって、斜め上のことばかりされるんですもの(笑)。

 

そこから約5年後の2017年に2号店は閉店します。10年の命でした。中古価格の安い機種だらけの総バラエティのような形を経て、とあるマイナー機を40台以上設置するという凄い光景も見せてもらいました。普通のホールでしたら、これだけで二度見したくなる大事件ですが、ここならそうなりかねませんよね。うん普通、普通。もう麻痺していましたとも。お客さん? パチンコも合わせて、多くて2人とかでしたよ。

教訓:狙いもなく、修正もせずに過去の失敗を繰り返すと、そりゃ潰れる。

もう2013年の時点で結末は見えてしまっていました。「座して死を待つ」にしては、よく持ったな。そう思ったくらいです。

その間、本店は……。やはり、大きな動きがありませんでした。「下手の考え、休むに似たり」という言葉もありますし、むしろそれが良かったのかもしれません(笑)。少なくとも一気に悪くなることもなかったのですから。本店はパチンコも合わせて、お客さんが多くて5人程度はいました。よく続けられるな。税金対策なのかな。そういう認識でおりました。

次回はいよいよ完結編。2号店という足枷がなくなった本店が、ついに沈黙を破って大きな「しくじり」を犯します。お客さん、5人からまだ減らせることができるのか……と。