先日のこと、パチンコホールのスタッフ研修などをされている方のセミナーに出席する機会がありました。これが眼から鱗な話だったので紹介させてください。どの業界にも通用する話かと思います。

1%…死亡

3%…転居

5%…ライバル企業からの誘引

14%…商品への不満

68%…従業員の無関心な態度

企業がお客様を失う理由はこういった比率になるそうです。パチンコホールの場合は、ライバル企業に持っていかれる比率はもっと高そうな気もしますが(笑)。

ただ、冷静に考えてみると。いつも通っているホールのスタッフさんたちが総入れ替えになったりしたら、よほどガチでなければそのホールに通う頻度は下がってしまうことでしょう。単なる用心棒でも、単なる作業員でもなく、スタッフさんの魅力も来店動機となります。集客できるスタッフさんを育てることも大事ですよね。

 

○基本的にマニュアルはクレームを生まないためのもの

パチンコホールには、出玉状況という面倒なものもありますが、それは一端さておきましょう。顧客満足という言葉をみなさんも耳にしたことがあるかと思います。どうすれば顧客満足を得られるか。お客様の期待と実際のサービスが吊り合うようにする必要があります。

 

お客様の期待よりもサービスが劣っている状態では、不満(クレーム)を抱かれてしまいます。そうならないように接客・サービスのマニュアルがあることでしょう。

逆に。お客様の期待よりもサービスが上回っている状態は、感謝や感激といった感動を生むことになります。しかし、それはマニュアル通りでは難しいものです。マニュアルを越したアドリブのサービスこそ、感動に繋がりやすいものです。

 

私が昔に通っていたホールでこんなことがありました。新装開店で、珍しく入場は抽選方式。ただ、今のような機械のない時代だったので、割り箸を引いて先が朱色に塗られていたら当選。新機種のあるフロアに入場できることになっていました。

近所に住むジグマです。当然、先頭に並びます。しかし、ハズレ。列の最後尾に並び直し、2回目の抽選を受けようとしたその瞬間、奥から店長が走って出てきます。「おい、コイツは入れてやれよ」設定変更パターンや挙動の操作など、まあいろいろやられたりもしましたが。この時ばかりは、通っているのがコノホールで良かったと思えたものです。

18時開店なのに、新機種の最高設定は4だったらしいですけどね。結局、罠じゃん(笑)。

 

○成果の考え方

京セラの創業者である稲盛和夫さんが、こんなことを仰っています。仕事の結果(成果)とは「能力×熱意×考え方」であると。ポイントとなるのは、足し算ではなく掛け算ということ。

いくら能力が高くても、熱意がゼロだったら何にもなりませんよね。当然ながら、成果もゼロとなります。熱意がいくらあろうが、考え方がマイナスだった場合、熱意があるなど下手に動く分だけ企業に損害すら与えかねません

パチンコホールに限らず、企業のよくある研修は、能力を上げることにご執心だとか。もちろん、スキルの向上もそうですが、それと同等以上に熱意を保たせることと正しい考え方をしてもらうことも大事ということが分かります。

 

○マイナスからゼロとゼロからプラス

スキルアップにせよ、正しい考え方にせよ。スタッフへの教育が必要となってきます。この時にクローズアップされるのが、その教え方です。タイトルにもしたティーチングとコーチング。日本語に直すとどちらも“教える”ですが、その違いを意識することになります。

ティーチングとは、指示やアドバイスをすることで相手に答えを与え、その通りに動かすことです。マニュアルに通じるところがあるでしょう。教える側にとっては手っ取り早くてラクですな。

マニュアル通りのこともできなければ、お客様に不満(クレーム)を抱かせてしまう可能性が高くなります。マイナスの状態と言って良いでしょう。こういった場合は、やってもらわないと話にならないので、ティーチングが有効です。

 

マニュアルをこなせるようになった後は、高みを目指すことになります。そこで有効となるのはコーチング。質問をすることなどで相手から答えを引き出し、自発的に動く動機付けをするのが目的です。自発的に動くことは、お客様の感動を引き出すマニュアルの範囲外のことにも繋がるでしょう。

基本も知らない人に、いきなりこのコーチングをしても検討外れの答えが返ってくるだけ。教える側にとっても、面倒で時間がかかるものです。考え方がマイナスであれば、企業に損害を与えかねません。ある一定のライン以上の“他のスタッフを教育するトレーナー”のような人材を育成したい場合に用いる手法ですね。

 

パチンコホールは、どのような研修をしているのだろう。そんな軽い気持ちで受講しましたが、独りっきりで部下もいない私も、いろいろ頭の中がスッキリしました。

教える側のような原稿を書くことも多いですし。内容によってティーチングとなってしまうことも多々ありますが、どちらかといえばコーチングの文章を心がけているつもりでした。それが感覚ではなく言語化できたのが嬉しい限り。端折りましたが、他にも「悪い言葉(マイナスのベクトル)を使わないよう心がける」とか、ライターに繋がる部分も多くありました。

ただね、顧客満足は考えるだけで怖いので、見て見ぬフリをしますけど(笑)。