その昔、CR機を遊技中に最も怖いのは「大当り時の玉切れ」でした。

いつ頃からだったか、CRユニットが直接お札を受け入れるようになってからは、そんなこともなくなりましたが、初期のCR機ではシマの端にある券売機でプリベイドカード(パッキーまたはパニーカード)を購入する必要があり、運悪く出玉がなくなったタイミングで大当りしたらさぁ大変。ダッシュでシマの端にまでカードを買いに走り、ようやく席に戻ったら大当りがパンクしていた…な~んて話を友人に聞いたことがあります。

そんなん、隣の人に頭を下げて玉を少し借りればいいじゃん。私はそう言ったんですけどね。友人の左隣の席にいた老婦人には話しかけても無視され、右隣の台を打っていたガタイの良いお兄さんは大ハマリの最中でとても話しかけられる雰囲気じゃなく、結果的に先述したようなパンクの悲劇が起きたそうです。

まぁ、大当り時に玉切れを起こしたのは友人の不注意だし、完全に自己責任ですね…これは。そう思うからこそ私は、パチンコを打つ際には常に下皿に6~7個くらい玉を残しています。現在のホームグラウンドは全台が各台計数機につき、空き台に座って上皿に玉を出したら、まず最初に数個を計数機に流して玉切れに備えるのがルーティンなのです。

 

しかし、これくらい注意深く小心者の私でも、過去に玉切れをやらかしたことが2回あります。

1回目は平成6年頃に登場した、大一の「CRビッグソロッター2」を打っていたときのこと。カードの残り度数がなくなり、上皿の玉も全て尽きて下皿の数個だけになったので、ヤメるつもりで下皿の数個を打ち尽くしたところ、最後の1個がヘソに入ってデジタルが始動したんですよ。

でもまぁ、この機種の大当り確率は設定3で450分の1と超激低。そんなものを引けるはずがないと思い、賞球も全て打ち込んで見ていたら、幸か不幸かこの期に及んでスーパーリーチがかかり、信じられないことにそのまま当たっちゃったんですよ(ただし通常絵柄)。

 

さすがの私もこれには慌てました。いや、向こう三軒両隣で誰かが打っていれば、恥を忍んで玉を貸して頂いたところなんですけど、運悪く時計の針はすでに夜10時を過ぎており、閉店まで残り1時間を切ったパチンコのシマには数人しか残っていませんでした。

仕方なく、落ちてる玉はないかと足もとを探しましたが、ついさっき店員さんが磁石付きの棒でこぼれ玉をごっそり持っていっており、向こうの方まで綺麗なもの。こりゃあもう、間に合わなくても券売機まで走るしかないか…とパンクを覚悟した刹那、ふと気づきました。そうだ、これがあった!

 

当時の大一のハンドルは、なぜだかパチンコ玉が1個だけ挟まる不思議なスペースがあり、誰もがここに玉を挟んで固定遊技していました。まぁ、都合よくこんな構造に偶然なるはずがないというか、もちろんハンドル固定は違法ですが、世の中にはそれでも無理にコイン等を挟む客がいるため、ハンドルを壊されるのを嫌って最初から玉を挟めるようにメーカーが設計したんでしょう。でもって、あまりにも玉を挟むのが自然なため、遊技を終えた客も玉を挟んだままヤメていくんですよ。さすがに閉店後に店側が玉を回収してたみたいですが、あらためて確認するまでもなく、自分の台にもしっかりとハンドルに玉が挟まってます。

玉を外すのも実に簡単。ちょっと斜めに力を加えると、ぽろっと取れるんですよ。ぽろっと。それで自分の台の玉を外し、上皿に入れて「南無三…」と念仏を唱えつつ打ち出したところ、これが見事に中央アタッカーへと向かい、なんとか無事に大当り出玉を獲得できました。この機種の大当り出玉はおよそ2400個。2.5円交換につき約6千円ですが、最後の1個が6千円に化けたと思えば、実際には2万4千円負けていても、なんとなく勝ったような気分になりました。正直、これは本当に嬉しい大当たりでしたね。

 

2回目の玉切れは平成14年のこと。当時、私は中野区に住んでいたんですが、ふらりと立ち寄った駅近くのホールで、かねて打ちたいと思っていた高尾の「CR蛭子能収」に初めて遭遇したんです。この機種は、他メーカーの大ヒット機種の演出をオマージュというかインスパイアというか…まぁ、はっきり言うと堂々とパクって笑いに変えているのですが、通称「1分リーチ」と呼ばれる超クソ長いリーチアクションがありましてね(正式名称は「7セグリーチ」)。藤商事の「アレジン」を彷彿させるような「ピュイッ!」という効果音で絵柄が変動し、最終的に絵柄が揃えば大当りです(当たればたぶん確変確定)。そして、私は「そういうリーチがある」という知識だけはあったんですけど、残念なことにどのようにして発展するのか知りませんでした。

そして、お約束のように最後の回転で「1分リーチ」が発生。いや、この時は最終回転でリーチがかからないことを確認した上で、下皿の玉を打ち切ったんですが、液晶が「7・3・1」で停止すると同時にセグに変化して、ピュイピュイ始まったからさぁ大変。このお店の玉貸しサンドは500円硬貨または100円硬貨のみが入る仕様(当時はCRユニットを外した店が結構ありました)。小銭入れを見ると、こんな時に限って10円玉と50円玉が数枚入っているだけ。ならば…と、シマの端にある両替機に向かってダッシュしましたよ。このリーチはクソ長いのがウリだから(ただしハズレもある)、両替して戻っても十分に間に合う。だけど、これまたこんな時に限って、どこかのお婆ちゃんが両替機でもたもたとお札をくずしていたりしてね。わずか10数秒の出来事ですが、私には1分くらいに思えました。それでまぁ、やっとの思いで両替して台に戻ると、まだピュイピュイやっていたから、実際には40秒かそこらだったんだと思います。そして、この1分リーチは無事に大当りして、確変はわずか3連で終わったけれど、気分良く帰ることができたのでした。

 

 

今回のオチ…というか教訓。

 

パチンコを打っている時は最後まで油断するべからず! 奴らは常に打ち手の隙を狙ってるので、気を抜くと命取りになるかもよ。