散歩がてらいろいろなホールを見ていて思うのです。数少ないお客さんもみんなまだ5号機ばかりだな……と。一斉切り替えを経験するのは、2007年の4号機撤去以来となるわけですが、あの時よりも危機感は強いです。

初期5号機も、それまでの4号機と射幸性を比べられて大苦戦をしました。最盛期には200万台以上もあったパチスロの総設置台数は135万台まで落ち込みました。うーん、今回はそれ以上に減らすこととなりそう。

完全撤去時点からの逆算で比較すると、現在は2007年7月あたりとなります。当時は、ポツポツと検定切れを迎える機種があって、徐々に入れ替えは進んでいきました。5号機でもリプパン方式はもうありましたし『2027』や『スカイラブ』といった意欲作もデビューしております。4号機よりは儲からないけどという注釈はつきますが、5号機で頑張ってみようというホールはまだまだあったように思えます。最後の4号機は『俺の空』と『イミソーレ』でしたが、けっこうシレッとなくなりましたからね。

ところが、今。本来は設置比率で85%は6号機になっていなければいけない(10月末時点)はずのところ、まだ62.5%に留まっています。高射幸性と指摘された遊技機の他、数多くの人気タイトルが姿を消していっても、こんな状況です。6号機の稼働状況が思わしくなく、まだまだ5号機に売上を頼っているのが現状だからです。来年の1月、そんなに一気に入れ替えられるんでしょうか。まあ、レバーを叩いてボタンをペシペシと押すのが好きな人種もいますので、完全6号機となったら、売上などの数値も少しは改善するような気もしますが(超希望的観測)。

 

○6号機はなぜダメと認識されているのか

・2400枚の問題

まずは、ATなどの上限が2400枚ということでしょう。上限があっても初当たりからの期待値は大差ないとか、超大きな一発がなくなった分だけ初当たり確率(もしくは、そこまでの平均投資額)が優遇されているとか考えられるのは上級者でしょう。そんな上級者ほど一撃の逆転には期待をせず、そこまでにいくら負けていようが、その瞬間でベストと思う立ち回りを模索するものです。

しかし、そんな考え方をしない人も多くいるわけで。ここで一撃何枚取れれば逆転勝利などという夢を楽しむ人にとって、一撃の上限2400枚は5万円も入れると逆転が不可能になるという現実を突きつけるだけとなります。投資意欲が薄れますね。そして、その売上減は、そのまま出玉の減少にも直結するので、2400枚を気にしない人も「勝てるチャンスが減る」意識に繋がって稼働が減少することになります。“行列が行列を呼ぶ”の反対ですな。

 

・遊技機規則の問題

私はどちらかといえばこちら。6号機の遊技機規則は、5号機のものから数値を悪くしただけのものです。1Gペナルティとか変わった部分もありますが、それは内規の細かい部分。出玉設計などには影響を与えますが、そのルールが変わったことで得られる新たな楽しみはまったくありません。ATの純増速度も上がりましたがそれも内規。AT機の根本となる作り方やゲーム性は、5号機の『激闘!西遊記』がベースのままです。

5号機になった時は、ほぼすべて作り直しくらいに変更されました。リプレイ確率を変動できるタイミングも法律で明文化。新しく2種BBもできました。確かに出ない。でも、4号機後半になかったゲーム性を楽しむことができました。おまけに今は、正確な役構成も非表示でOKですし、考えて楽しめる余地がほとんどないんですね。引けるか引けないかばっかり。出玉設計的には光る変革とかありますけど、小難しいことを書きがちな私でも思います。そんなゲーム性に直結しないものは、一般ユーザーと共有して盛り上がれるものじゃないって。

 

○ホールに設置される台の向き不向き

“コイン単価”というホール用語があります。1G回されるといくら儲かるかという指標で、基本的に「コイン単価が高い台=吸い込みが激しい荒い台」「コイン単価が低い台=ノーマルのように遊びやすい台」となります。ただ、あくまでも机上値なので、稼働しなければ何の意味もありません。

より儲けるには、稼働するほど客数が多いところで、コイン単価の高い台を並べる……となります。儲かっているから新台も買える。次の新台を買うためにもコイン単価が高い機種が欲しい。このようなループになっていたのが、4号機終盤と5号機の中盤でした。メーカーとしても売れない台を作れませんから、そのような台ばかりを作っていくことになります。事業撤退しましたが、SNKプレイモアとか最たる例ですね。『スカイラブ』も『シスタークエスト』も。穏やかな台として人気になったのに、最後は荒くなってましたもんね。

しかし、そのような台は住宅街にあるような中小規模のホールには向かないんです。そもそもの存在意義が、ゲームセンターに毛の生えた憩いの場ですから。「荒い台を打つなら、出掛けてでも資金に余裕のある大型店」誰しもそう思うでしょう。中小店舗は、さらに新台を買えなくなります。中小規模向きの台を作っても売れない。結果的に、コイン単価の低い中小規模に向いた台が作りにくくなっていったのです。

 

そして今。2400枚の縛りもあるので、なかなかコイン単価の高い台を作れません。いや、作れはしますが、リターンに制限のあるものでコイン単価が高いって……吸い込むだけの貯金箱ですがな。よほど通常ゲームが楽しいとかなければ動きませんがな。いくら係数が高くても稼働がゼロに近ければ利益も見込めません。

荒く作りにくい6号機。本当は穏やかになりやすい6号機って、台数が少ないゆえに設定の上げ下げなど手をかけやすい中小規模のホールに向いていると思うのです。ただ、その中小規模のホールは、大型ホール優遇時代にほぼ絶滅させられています。そして、穏やかな日常的な機種は、わざわざ遠出をして打ちたくなるようなものではないでしょう。卵が先か、鶏が先かという感じですが、ミスマッチだなあ……と感じています。まあ、射幸性の高い機械や、その方向性に頼りすぎたツケですな。それ以外の魅力があるホールは相変わらず強いですし。