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ゴートゥヘル

開店30分前から日本酒の臭いがホールに充満し、スタッフ側も振る舞いながらグビグビ飲んで…軍艦マーチが鳴る頃にはもう地獄絵図。客もスタッフも、8割方酔っ払い。常連の田中さんは真正面を向いたまま、真顔でゲロをフィーバーパワフルの上皿に注いでいた。「玉が飛べへん」って、その状況で飛ぶわけないやろうがっ!掃除させられるこっちの身にもなれや!
もうね、酒が飲めない身としては日本酒の臭いだけで気持ち悪いのに、そこに色んなスメルが混じってゴートゥーヘル。もらいゲロしそうになりながらも通常のホール業務をするのだが、スタッフ全員出勤してるとは言え…まともに働いてるのはナカムラ少年とカウンターの看板娘トメ(70歳)をくらいで、後はコインロッカーにもたれ掛かって寝てたり事務所に引っ込んだりして、見事に全滅。

営業不可能

正月調整でガッチガチとは言え、客は満員なのでそこそこ当たるから箱の交換もあるし、何と言っても当時はラッキーナンバー制で全ての当たりを確認して、フダを付け替えねばならない。

( ゚Д゚)ムリじゃボケっ!

となって、事務所で潰れてる店長に刺客トメを送り込んで説教してもらい、全台無制限営業に変更。シマ端全てに「無制限」のフダを付けて、トメの美声で「日頃の感謝を込めましてぇー本日はただいまから全台無制限とさせて頂きますぅー♪」とアナウンスしてもらい、フダ交換の手間は無くなったものの…それでも一人で全コースの箱交換はムリムリ。かと言って御年70のトメにホールへ出てきてもらうワケにもいかない。んで、たまに呼ばれるスロットの補給もいい具合にイラッとさせてくれるので、ここだけはトメに任せることにした。今でこそパチンコは箱交換が遅れて下皿の玉抜かなくても、やかましいだけで打てるけど…昔は下皿に玉がいっぱいになると打ち出しできなくなって当たりがパンクしたんだよ、みんな知らないよね…。

トメ吠える

昼12時に軍艦マーチで他のスタッフ全員が撃沈したのが12時15分、ナカムラ少年とトメだけで14時半過ぎまで満員のホールをまわしたが、異変に気付いた交換所のオバチャンがホールに緊急参戦(カウンターで景品を渡したら小屋に戻る)してくれて…戦力倍増したはいいが、それでもまだいっぱいいっぱいで、新たにゲロった客なんて放置一択である。

そんなこんなで15時を過ぎた頃から、ポツリポツリとまだ酔っ払ってる社員が戻りだし…やっとこさナカムラ少年とトメが休憩を取れる状態になり、ここでトメが事務所の店長に激ギレww 店長はこんだけのスタッフを纏めているだけに超コワモテなのだが、激ギレトメにはタジタジで、ひたすら謝ってホールに飛び出して行った。店長はそのままホールで箱交換しようとしていたが、トメに「ゲロ掃除しろ!」と一喝されて泣く泣く言う通りに…。トメ怖いww

ナカムラ少年はと言うと、ここまで休憩なしで全力疾走を繰り返してヘロヘロだったので、トメから「フルで給料つけとくからもう帰っていいよ!」と言われ、さらにトメが店長の机から出してきた謎の現金(1000円札×14、500円玉×7)を渡されて「ごめんな、これ受け取っとき」だそうだ。
まぁ、受け取ったけどね。

翌日出勤すると、元日のタイムカードは手書きでフル出勤に書き換えられており、店長にも謝られて謎の現金も返さなくていいと。
今では考えられないほどムチャクチャな営業だったが、こういうのがまかり通ってた時代の方が「パチンコという文化」にフィットしていたと思う今日この頃でございますです、はい。

※このコラムは遊技日本・本誌からの転載です※

遊技日本さまのご厚意により実現したものです。ご協力ありがとうございます。