グループ最少、最弱のお店に転勤が決まり半年が過ぎた頃、店長代理としてスロットの設定を任される事となった。

任された機械はコングダムとカンフーレディーの合計30台(8枚交換)。
月間粗利は250万・・・

その金額が多いのか少ないのか当時は全く分からなかったが、ただ日割り計算で1台辺り1日に3000円~4000円程度稼げば届くのだから楽勝だと考えていた。

目標はグループ最少最弱のこの店舗の稼働を上げる事・・・

スロットアウト18000 パチンコアウト35000を超えれば優良店と呼ばれた時代、店長代理を任された店の働はスロットアウト6000 パチンコアウト8000程度。

これを何とか優良店の数値に近づけてやる!と言うのが目標だった。

それまで設定6やメリハリを付けない店は駄目だと考えていた私は、初日から設定6を投入しメリハリを付けた機械調整を目指すが、高設定台に稼働が偏ると瞬く間に赤字になってしまう・・・さらに、その逆の低設定台に稼働が偏ると想定以上に利益を取りすぎてしまう。

全ての台が均一に稼働する訳ではないので、安定した利益を得るためには出来る限りメリハリを付けない設定が望ましいが、それでは任される前の状況と何も変わらない・・・

自分のやりたいことが出来ないジレンマに苛立ちながらも、何かいい方法はないか考えていた時に高校時代に小遣い稼ぎをしていたスロットの事を思い出した。

当時のスロットと言えば朝一からの集客を狙ってモーニング(朝一当たり状態)を入れるお店が多く、電車通学だった私は学校に向かう途中、駅で私服に着替えモーニングを取った後、遅刻して学校に通うのが定番だった(笑)

そんなモーニングサービスも1996年(平成8年頃)から警察の規制が入りどこのお店もやらなくなったが、朝一の集客が何倍にもなる事だけは実体験で分っていたので、次長にスロットにモーニングを入れて良いか聞いてみると顔を曇らせながらこう言った・・・

次 長 『お前パクられても大丈夫なんか? わしらの地域の所轄は厳しいぞ~』

次 長 『それとアレはシャブみたいなもんでな~♪一度やったら色んな意味で辞めれんぞ』

次 長 『あと会社を絶対に巻き込むなよ!』

次 長 『パクられてもお前が勝手にモーニングを入れた事にするか、知らないと言い通せるかや』

次 長 『まぁ!お前が責任取れるなら好きにしたらええわ』

ゆきち 『そ、そうですか・・・』

警察に捕まるかもしれない恐怖はあったが、いきなり逮捕はされないだろうし、ヤバイと感じたらモーニングを辞めれば良い・・・

最悪捕まって会社をクビになったらパチプロで一生食って行こうと決心し翌日からモーニングを入れてみる事にした。

設定を打ち終え誰もいない店内でボーナス成立までひたすら回す、店外に音が漏れないようにスロットの音源をオフにしてやるその作業は思っていた何倍も大変だった。

これから毎日この作業を続ける事を考えるとゾッとしたが、なんとかして稼働を上げてやる!という強い思いだけが自分を突き動かしていた。

そして翌朝の開店・・・

いつもと変わらず開店前の並びは無し(笑)告知や宣伝は一切せずにモーニングを入れる事にしたのには理由があった。

高校時代の自分の様に勝ちに貪欲なお客は美味しい部分だけを持っていくので、お客としての価値は無いに等しいからだ、それらのお客に価値があるとすれば設定をいれた時に終日粘り出玉感を演出してくれる部分だけと考えていたのでモーニングに関しては一切の告知宣伝はしなかった。

そして開店してしばらくすると、いつものお爺さん、お婆さんの年配層を中心としたお客達が来店、予定通りいつも通ってくれている常連客へのサービスとしてスロットのモーニングサービスが始まった。

そんなサービスを1週間も続けると次第に効果が表れ始める・・・

そう、開店待ちの並びが出来始めたのだ、私の仕込みの調子が良い時は30台中10台以上にモーニングを入れる事も、また交換率が8枚と低換金だったことも手伝って集客さえあれば、設定を下げずにモーニングを入れる事も出来ていた。

しかし普段並びの無かった店にお客が並びだすと勝ちに貪欲な人が反応してくる、次第に朝一の台取り合戦はエスカレートし、高校時代のモーニング取りに奔走していた当時の光景と同じものが私の管理するお店で蘇った。

朝一の集客が上がったことで勢いがつき稼働も順調にあがっていったが、その反面、深夜遅くまでの仕込みが結構な負担となりはじめ体力的にも厳しくなり始めていた。

このまま続けるのはいつか限界が来ると考え、次長にいい方法は無いか相談してみると、『よし!分った!』と一言、翌日に怪しげな機械を持ってきてくれた。

それは打ち込み機と言うスロットにモーニングを入れる専用の機械、売り上げと稼働が順調に上がっていたので秘密の業者(カバン屋さん)から打ち込み機を仕入れ、それを頑張ったご褒美としてプレゼントしてくれたのだ。

その打ち込み機の性能は実にすばらしかった♪

スロットに取り付けるとボーナス成立までの一連の流れを全て自動で行ってくれる、さらに驚いたのは基盤に直接つなぐためリールも回らないし、コインも払い出されないのだ(笑)
リールの停止音と演出音だけが台から聞こえてくる不思議な感覚、そしてボーナスが成立すると自動的に打ち込みを停止し、その種類(BIGかREG)までランプで判る優れものだった。

そんな高性能な打ち込み機のお蔭で、安定的にモーニングを供給できるようになり順調にスロットのお客は増えて行った。

だが、どうしてもパチンコの集客は上がらなかった。

釘調整に対して口出しすることはご法度だった事もあり、スロットコーナーの様にいい集客方法が見つからなくて頭を抱えていた時、スロットの様にパチンコ台にもモーニングを入れる事は出来ないものか?と考え始めるように・・・

当時は台にバックアップ機能が付いている台が少なく、確率変動状態を維持するためには台の電源を常にONの状態にしておかなくてはならない、そうなれば開店前から台枠ランプが光っているので、開店と同時に台を確保するだけとなり、スロットの様な蓋を開けるまでのドキドキ感を味わえないので面白みに欠ける。

何とかできないだろうか?と、考えながら開店待ちのお客の会話を聞いている時にふと閃いた。

それはスロットのモーニングがどの台に入っているのか?と盛り上がる常連客の会話からだった。

前日の最終出目と違うや、本来止まらない位置で絵柄が止まっているなど・・・

確かにモーニングを始めた頃は手で回していたので出目が違えばかなりの確率でモーニングが入っている事もあるだろう、打ち込み機を導入してからは直接基盤に打ち込むためリールは回らない、ただ打ち込み機を取り付けるときに体の一部が触れてリールがずれる可能性はある。

ようするに客側に何か希望や期待感を持たせることを演出してあげれば、それをきっかけにパチンコにも集客できるんじゃ無いだろうか?と考えた。

そしてスロットのモーニング狙いで開店を待つお客の前でパチンコの島に行き台の内部をゴソゴソと触る・・・

あからさまに何かをやっているように怪しさを演出してみた(笑)別に何をしている訳では無いけど電源ONと同時デジタルをまわしてみたり、アタッカーに玉を入れてみたり、リーチが掛かった瞬間に台の電源を落としたり、とにかく客側が絶対に何か仕込んでいると思わせるような立ち振る舞いを行なった。

そして開店からしばらくしてスロットコーナーのモーニングにありつけなかった常連の一部が普段は打たない海物語コーナーにやってきて、先ほどゴソゴソと触っていた台を打ち始めた(笑)

その常連客の行動を見た瞬間コレはいける!と直感した私は翌日から怪しい演出を続ける事にした。

その結果スロットとは別に海物語にも朝から並びが出来始め、パチンコにもモーニングが入っているお店と勝手に噂が広まり始めていた・・・(笑)

結局何もしていないのだが、朝一からお客が集まって一斉にスタートすると必ず数台は開店からスグに当たりが発生する、その当たりはお客が勝手に思い込んだ架空のモーニングだ。

さらに年末の釘が甘くなる時期も手伝って集客は絶好調、結果を出すにはこれ以上は無いタイミングで仕掛ける事ができたモーニング戦略はパチンコ・スロットの稼働を倍増させることができた。

そしてグループ最少最弱だった店舗の売り上げが突如倍増したことにより社長の目にとまり本社へ呼び出される・・・

そこで話した内容をきっかけに更なるビックチャンスが訪れる事となる。

次回更新へ続く

みなさま、こんにちは

今年も残りわずか年始の準備は整いましたか?
ゆきちはこの記事を書いている12/22現在全くと言って良いほど何もできていません(笑)

さて今年はずっと休んでいたパチンコの稼働を10月から本格的に再開した訳ですが、約3か月が過ぎようやく稼ぎも安定してきました。株が終わって夕方からの稼働ですが貯玉を駆使すればまだまだ何とかなりそうです(笑)

さて、そんな今年を振り返って一番好きだった機種 天下一閃 あれ?あれは登場したのは去年だったかな?(笑)まぁいいや、とにかく好きなんですよね♪

パチンコは玉の動きが楽しさの基本だと思いますし、若い子たちが打っている姿を見ると何だかうれしくなる♪

Vに決まった瞬間に赤く輝く瞬間が実にヤバイ♪中毒性がありますよアレは・・・

いまお世話になっているホールに1台だけ置いてあるんですが釘が厳しくて凌ぎにはならない、でも稼働が終わって帰るときに500円だけとか打ちたくなるんですよ(笑)

やっぱパチンコはアナログでしょ♪

来年には新しいアナログ系機種も出て来るようですし、人気機種になってくれることを祈りたいですね。

さて今年一年ありがとうございました、月1回と少ない投稿ではありますが頑張って続けて行きたいと思いますので釘師ゆきちのコラムと『ガラスの向こう側へ』を来年もどうぞよろしくお願いします。

それではみなさま良いお年をお迎えください。