チワッスあしのです。前回ぶり。
つい先日、ヤフーニュースにこんなのが載ってた。リンクを貼るまでの記事ではないのでタイトルだけ紹介すると──
《水卜麻美アナが謝罪》『24時間テレビ』寄付金を10年にわたり着服した日本テレビ系列局元局長の現在「パチンコ屋からDMが…」(NEWSポストセブン)
……という記事である。これを見た人はおおかた「なるほど、国民が善意で寄付したチャリティ募金を着服した元局長とやらは、そのカネをパチンコにブチ込んだんだろうな、けしからんな、死ねばいいのにな」と思うだろうし、オレもそう思った。
が、実際当該記事を読んでみると、パチンコ屋に関わる箇所はたった一箇所だけで、内容はこうである。クソ文章なのでそのままノーマナーで転載する。
「息子は東京に所帯を持っていて勤めがこちらの局だったので、(事件を起こす前から)ずっとおります。(息子が東京の)家族と今はどうなのかわかりません。(着服事件については)まさかと言ったら世間様に申し訳ないが、そんなことをしているとは気づかなかった。たまにパチンコ屋からDMが届くくらいでした」
こんだけ。で、ビビることにケツにビチグソの如くひっついてる「たまにパチンコ屋からDMが届くくらいでした」という21文字は本文にまるで関係がない。そしてこのまるで関係がないものをタイトリングする意味はジャーナリズム的には一切ない。
じゃあ何でこんなことをしてるかというと、そっちの方が読まれるから。
これを理解するには「NEWSポストセブン」というメディアの特性をまず理解せねばならない。ポストセブンって名前なので「週刊ポスト」が誌名を変えたのかとカン違いしてる人もいるかもしれんが、これは刊行物じゃなくてニュースサイトの名前である。一応運営は小学館であるものの、その名の通り、週刊ポストと女性セブンという雑誌の記事をWEB用に編集し直して掲載するサイトなのである。そしてその旨は当該サイトの「NEWSポストセブンについて」というページにこのような表現で説明がなされている。
「NEWSポストセブン(以下、当サイト)は、株式会社小学館 ポスト・セブン局が運営しています。当サイトは、雑誌『週刊ポスト』と『女性セブン』の記事を再編集したコンテンツに加え、独自の取材・切り口で編集したオリジナル記事を配信する総合ニュースサイトです」
ね。ハッキリ書いてあるね。なので、今回の記事にはちゃんと元になった記事もあって、本来この記事は『週刊ポスト』誌の8月16・23合併号に掲載されている。
Kindle Unlimitedのサービスでダウンロードしてみたところ、当該誌の143ページに、五段組の中程から1/2ページほどを使い「系列局を挙げて取り組んできた」という一文から始まる元記事があった。
別段冗長な部分もなく、着服事件の犯人を中心に、それを取り巻く日本テレビの社長、社員、水卜アナウンサーの対応、そして最後に胸中を語る父親の言葉で締めくくられた、端的かつ目的が明瞭な記事だった。
タイトルについては後で触れるにしても、『週刊ポスト』版と『NEWSポストセブン』版は内容も差異がある。WEB版では元記事の洗練された感じは消え失せ、余計な情報がバンバン付属されていていやらしい感じがする。たとえばこうだ。比べてみよう。同じ場所を抜粋する。
【週刊ポスト版(元記事)】
「局内でも「彼女だけが矢面に立つのはおかしい』と批判の声が上がった(日レビ社員)」【NEWSポスト版(再編集)】
「局内でも『彼女だけが矢面に立つのはおかしい』と批判の声が上がりました。『24時間テレビ』の“顔”ということもあり、総合司会をつとめる自分がやるしかないと会社側の意向を受け入れたそうです。夫の中村倫也さんも心配していたそうです(同局社員)」
キッショ! ほうれんそうとベーコンのパイ食いたくなるわ(それはキッシュ)
前者は「社内の人間が批判していた」というのだから社内の関係者への聞き取りで裏取りが出来る事実ベースの話だろう。が、再編集版は水卜アナの内心や中村倫也の気持ちにまで踏み込んでる。なので少なくともどちらかに直接聞かないと裏取りできないのだが、果たしてそれをやった上で書いたんだろうか。オレはこれやって無いと思う。もしやってたら鼻からペペロンチーノ食いながら御徒町を一周してもいい。でも大丈夫。だってやってないもんこいつら。
で、これね。これを見て「再編集だ!」って思うやつなんか、まず居ないと思うんだよね。オレはこれソースのあるちゃんとしたニュースに余計な作文をくっつけて魔改造してるだけだと思うし、同じように感じる人がほとんどだと思うんです。
ただまあ、こういう形のやりかたっていうのは今の時代は確かに溢れてて、例えばWEBニュース業界では「リライト」っていう呼び方で、それ専用のクソライターが居たりするくらいには一般的なのね。
だからこれだけ粒だててクソクソ言うほどでもないんだけど、ただちと今回のはタイトリングが悪い意味で秀逸。
はいでは、本題いくよ。今回の記事のタイトルね。内容をいじってるんだからタイトルも当然触ってるんだけどね。今回問題になった(なってるか?)記事のタイトルをもう一回見ようか。これね。
《水卜麻美アナが謝罪》『24時間テレビ』寄付金を10年にわたり着服した日本テレビ系列局元局長の現在「パチンコ屋からDMが…」(NEWSポストセブン)
これスゴイよね。水卜アナ、元局長の現在、パチンコ。気になるキーワードマシマシ。ね。そしてそれについて全部ほとんど書いてない伽藍洞のようなタイトルだ。じゃあ、元の「週刊ポスト」では何ていう記事だったのか。リライト前の、ちゃんとしたタイトルね。それがこれ! バシーンッ!
『24時間テレビ』寄付金着服社員 同居の父が明かす「息子との会話」
これだよほんとは。すごくないかい? これよ? これをね? リライトクソライターが「こっちのがPVハネる」つってパチンコ屋ってつけたり水卜ちゃんの名前を頭にくっつけたり、カリカリにチューンしてズドンってやってるわけです。で本文みたらパチンコは全然関係ないんだもん。モンキービジネスが過ぎるぜ。こういうやつらが松本人志さん叩いたりしてんだからな? やってられるかよマジで。
まあモラルのウンコさは置いといて。
で、なんでそもそもここでパチンコって単語を持ってきたかというと、簡単に解説すると「パチンコを悪モンにしたらパチンコ好きが見る」んだよ。要はオレみたいな奴ね。文句言ってやろう、あら捜ししてやろうって、そのページ何回も読むし、リロードもするわけですよ。オレもこれ調べるのに「NEWSポストセブン」にアクセスしてインチキ粗悪通販サイトtemuのゴミクソ広告何回も見たし間違ってクリックもしたし、なんなら週刊ポストさんのほうは実際の誌面をダウンロード(デジタル版)をちゃんとスクショしてるからねそれ。
スポッとハマってるわ。我ながら術中。マジで。肩までスッポリハマった。で、ボロクソいったけど、NEWSポストセブンってそういうサイトだし商売のやり方としては正しい。DM来たのも事実だろうし、嘘は言ってないだろうからね。ほんとに虚偽の捏造偏光だったら全日遊連か日遊協かどっちかがちゃんと光の速さで指摘するんだけど、そういう意味では今回のはそうでもない。
そういうラインを見極めてタイトルで稼ぐ、というのは、これはもうWEB系のゴシップメディアは持ってて当たり前のスキルであって、そんな卑しいメシの食い方するんじゃありませんというのは、門外漢の綺麗事なのです。
チワッス、あしのさん!
メシを喰うための外連味なのは仕方がないとして、広義のエンタメ業界としてのメディアの方達が、こんなレベルのモノで稼いだお金で自分の家族や友達をちゃんとエンタメ出来る人間なんでしょうかね?
ストイックな松ちゃんにたくさん笑わせて貰った自分としては、別に難易度の高いお笑いとかでなくて全然良いから、それぞれの観点でもっと頑張って楽しいことや興味深いことを産み出して欲しいなと思いました
ギャランさん。
チワッス! あしのです。いやーほんと、週刊誌って印刷物のかたちだからまだマシなのかもなと思いました。WEBになるとタガがはずれてとんでもねぇ方向に踏み外すんですねぇ。いかんいかん。