スーパープレミアムⅠやソルジャーの攻略法検証に日々慌ただしく動いていたA氏であったが、掲載誌の隔月化刊行が決まり、スタッフ一同ますます忙しくなるのであった。また、CR機なる新規格の機械も登場したのだが、スペック的には何ら魅力のないものであり、このまま消えていってくれれば良かったのだが……。

―月2回発行だと、やはり大変でしたか。

単純に仕事量は倍になりますけど、収入も倍ですから、頑張れば頑張るほど、原稿料収入は増えていきますね。相変わらず、権利モノを中心に原稿を書く日々が続きました。

―普通のデジパチを打って原稿を書いたりとかはなかったんですか。

別冊とか、文庫本等でまとめページのようなものを書くことはありましたが、本誌で書くことはなかったですね。元々、デジパチって好きじゃないんですよ。理不尽なハマリとか食らうじゃないですか、あれがもう気持ち的にやってられんという心情になります。

―でも、それは仕方ない面もあるし、ハマリもあれば早い回転数での大当り=連チャンもあるのがデジパチであり、今のパチンコもその流れの中にあるわけで……。

まあそうなんですけど、元々権利モノって役モノ入賞で権利獲得、そして出玉を得るっていうゲーム性ですよね、ざっくばらんに言うと。そのプロセスがすごく好きだったものですから、デジパチはプライベートではどちらかと言うと消極的に選択して打っていたんですね。権利モノも一発台も羽根モノも打つ台がない、仕方ないから回るデジパチを探そう、その結果、何とか回る台を見つけたから今日はこの台で粘ろうとか、そんな風に立ち回っていましたね。

―ただ、もうほとんど普通のデジパチと変わらないようなゲーム性を持った権利モノも増えてきましたよね、当時は。

デジタル式の2回権利モノとか、3回権利モノとか、確かにほとんどデジパチですよね。ただ、獲得できる出玉が多いわりに大当り確率が高めだから、良心的と言うか、釘さえきちんと見ることができれば安定した勝負が臨めましたね。後は一般電役とか、厳密に言うと権利モノとは違うんですが、こちらも確率高めで回りさえすればカタく勝てると、そんな機種が出てきました。

―その頃だと、確かCR機なるものが出てきた頃でしょうか。

発表されただけで、ほとんど設置はされなかったように覚えています。既存の現金機に確変機能を付けただけとしか思えない機種もあり、大当り確率も低く、魅力はありませんでしたね。特に設定機能というのは必要ないですよね。つい最近も設定機能が復活しましたが、結局普及しないまま、今に至っています。メンテナンスという名目の下、釘調整が黙認されているのですから、内部で大当り確率を変えられたところで、釘の開け閉めで調整されれば意味がないです。

―G誌ではCR機には否定的な立場を取っていたようですが。

機種そのものの魅力のなさもそうですが、カード使ってパチンコ打ってどうすんだということですね、端的に言えば。しかも、警察が大々的に介入している。脱税防止、経理の明瞭化が謳われていましたが、本来なら他の省庁がすべきことです。何か悪いことをしたら警察が捜査、摘発すればいいことで、店の経営にまで口を出すべきことではないでしょう。しかも、射幸性を落とせというのならまだ分かるのですが、確変を認めてしまうのですから、当時の警察庁が何を考えていたのかは未だに分からないです。

―ただ、その後CR機は普及していきました。

CR機の登場から普及、そして現在 (スマパチ) に至るまでに関しては、また機会があればゆっくり話していければと思っていますが、西陣からCR花満開が出て一気にCR機普及に弾みがついたというのが実情ですよね。結局、射幸性を高めて売上を伸ばせれば店側としてもそれでよし、カード会社としては機種の性能に興味関心はないし、システムが売れればそれでよし、警察としても天下り先の業績が上がればそれでよしと、結局馬鹿を見たのは負けた客です。ちょうどこの頃でしたか、パチンコ依存症が言われ始めたのは。2回ループの爆裂CR機の登場、普及で今までにないほどの勝ち負けを経験したお客さんはたくさんいたはずです。

―のめり込みという言葉も良く耳にしました。

まあ、カード会社も警察も変造カード問題で世間の批判にさらされることになるのですが、結局、誰がトクをしたのか良く分からないシステムでした。そして、射幸性という観点だけで見ると、現行機はますますその弊害が強まっているわけで、今も昔も一体全体、業界も警察も何をやりたいのか良く分からないですよね。あぁ、高い射幸性、ギャンブル性と言えばあの頃、台湾パチンコに行ったのを思い出しました。台湾では今でもパチンコやパチスロが打てたりするようですが、90年代は、これからは台湾が面白くなるかもしれないと、業界ではそんな雰囲気でもありました。当時の状況など、次回以降で話していければと思います。