かつてパチンコ・パチスロライターと呼ばれる方たちは、紙媒体をメインに活動する方がほとんどでした。それが2011年の広告規制をキッカケにパチンコ・パチスロ業界の有名人として集客効果が望める事からホールイベントに駆り出されるようになりました。

ライターイベントが始まった当初はそこまでユーザーサイドも懐疑的に捉えていたわけではないと思います。実際、○○に会いたい、と追っかけをするような人たちがいるのも事実ですし、規制でこれまでのような集客が出来なくなったホールにとってみれば芸能人ほどギャラも高くなく、ニッチな人気のあるライターイベントは渡りに船だった事でしょう。

また、ネットやCSなどの動画コンテンツの隆盛とともに紙媒体の不況も相まって、ライターからイベンターへと華々しく転進を遂げる人が次々と現れました。そしてライターの立場が大きく変化していきます。これまでメディアの中で打ち手側の視点から様々な攻略やエンタメを生み出していたライターたちがどんどんホールサイドに寄っていきました。

多くのイベントをこなしていけば、当然全く良調整の台がないようなガセイベントだって混じり始めます。そうなった時にこれまでだったら遠慮なくホールを非難していたようなライターが、ホールの肩を持つようになりました。一部の大御所を除けばライターの収入なんて微々たるもので、そんな暮らしから一転ホールに大金を積まれて呼ばれる立場になってしまったわけですから、その生活を矮小な義憤で自ら手放そうなんて人間はそういません。

当然の流れだったと思います。

しかし、こうなってくると一般ユーザーとの意識がどんどん乖離していきます。プロを自称していた人が動画に出ることによって文章では見えない粗が出たり、ライターが指定された台に座ってあからさまな高設定を打っている以外お寒い状況のイベントが続いたり・・・・・・。

動画や来店イベントを純粋に楽しんでいる層も一定数確実にいますし、ボクらプロ目線で言えばイベントの真贋を見極めるのは勿論、ライターの動向すら自身が高設定に辿り着くための材料にして勝ちを目指すものです。そういう捉え方をしている層もいます。

一方、そこまで突き詰めていないライト層の中では、○○のココが熱い!!と書かれている文章や、演出に大げさに一喜一憂する動画を見て、「いや、お前ら身銭切って打ってねーじゃん」とシラけたムードが醸成されていったのも事実です。

ライター自身が設定を要求した、なんて話もまことしやかに噂され、徐々にライター=店公認のサクラという見方へと変わっていきました。

長らく現場にいる人間の雑感として、ここ数年はホールの釘・設定を巡る状況は悪化の一途を辿っています。その原因は様々ですが、ライト層がどんどん勝ちづらくなっていく中、お客1人1人の負担は増していき、結果ユーザー人口が激減しているにも関わらず増益を続ける一部ホール、そしてそれに加担するライター。なぜこれが業界を盛り上げるためのイベントと言えるのか。

いわくホールの犬、タレント気取り、大した腕も知識も無いくせに・・・・・・嫉妬と羨望が入り混じる一般ユーザーの怨嗟が溜まっていったのです。

 

実はこういった来店イベントの悪評について、当サイトに寄稿されているドラゴン広石さんがパチスロ必勝ガイドのライターである事から、同誌絡みのとある騒動に対して正直な気持ちをぶつけた事があります。すると

「その某ガイドライターの責任は重い。しかし半年間の謹慎生活を経て、それまでは来店やテレビや動画に引っ張りだこだった過去と完全に決別し、編集部から貰える仕事は攻略ルームでのデータ取りとコメントのみだった。」

「それを1年間続けて、やっと機種物のライティングを任せて貰えるまでになった。私はそのライターとは私的な交流は全く無いが、攻略ルームに何日も泊り込みで頑張る姿を見て、自身がしでかしてしまった事の重大さに気づいて深く反省しているのだと感じたし、潰れて欲しくないと心から思った。」

と少し裏話を聞かせてもらえました。

また、事件とは関係ない話ですが、若手の特に女性ライターは最近人の入れ替わりが激しいそうです。

動画やテレビ番組の華やかなところだけを見て入ってきたはいいものの、この業界でやっていこうという覚悟も情熱も無い有象無象は当然淘汰されるわけで、気軽に来店イベントで稼げるなんて現実はやっぱり無いわけです。

一口に来店イベントといっても様々な形があり、イベントを仲介している代理店やホールも様々。中には設定なんて一切知らされず、高設定が見当たらない状況の中でも自腹で打たなきゃいけない、なんてケースもあります。決して周りが思っているほど、美味しい思いをしているわけではない、というのは事実でしょう。

 

しかし残念ながらそういった話は私たち一般ユーザーには見えません。

結局のところ、ライターイベントは

・自身が呼ばれたお店で

・店長クラスとの接触がある(と思われる)中

・高設定をライターが打った

これだけでそのお店で負けた人から恨まれる構図に変わりはありません。設定を聞いているか聞いていないかは関係ないのです。

本来であれば競馬の関係者が馬券を買えないのと同じように、来店イベンターは打ってはならない立場のはずです。しかし多くの来店イベントでは一般客と同じようにホール内で遊技をしています。この時点で、ライターイベントに反感を持つユーザーを納得させる事など到底無理な話でしょう。

そして、それが分かっているからライティングよりも動画・イベント来店をメインに活動しているパチンコ・パチスロタレントの人々は、一様にベラジオの事件について口が重いのでしょう。

ボクがこれまで見た中では、パチスロ攻略マガジンのしのけん氏が唯一この事件に触れていました。(※スロマガサイト内 徒然草 2017年2月16日付)

しのけん氏は本人が公言されている通り、ライターではなくパチスロ生活者です。そのスタンスは以前から変わらず、スロマガの看板ライターでありながら、来店イベントには一線を引いています。そういった確たる立場を持っているから発信できたのだと思いますが、そうでないライターはベラジオの事件に対して思う事があっても発言できない現実があるのだと思います。

 

かつてユーザーの味方とも言える立場だったライターたちが、いつの間にやら業界サイドの「敵」となり、もはやユーザーの声を代弁してくれる人などいない。そんな一抹の寂しさがここ数年の流れにあったような気がします。

つづく